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海外投資家も注目“メタバース”で大躍進する日本企業4社とは?キーワードは「総合力」と企業間の「連携」=田嶋智太郎

米国ラスベガスで毎年開催されるテクノロジー見本市(CES)では、相場のトレンドとなる新しい技術が発表されることでも有名です。今回とくに目立ったのは「メタバース」関連の技術。日本企業も関連商品を発表するなど、今年は「メタバース」が相場の大きなトレンドになりそうです。注目される日本企業をご紹介します。(『田嶋智太郎の先読み・深読み!株式マーケット』>田嶋智太郎)

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※本記事は有料メルマガ『田嶋智太郎の先読み・深読み!株式マーケット』2022年1月14日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール:田嶋智太郎(たじま ともたろう)
慶応義塾大学卒業後、現三菱UFJモルガン・スタンレー証券勤務を経て転身。転身後の一時期は大学教諭として「経営学概論」「生活情報論」を担当。過去30年余り、主に金融・経済全般から戦略的な企業経営、地域金融機関改革、引いては個人の資産形成、資産運用まで幅広い範囲を分析研究。民間企業や金融機関、新聞社、自治体、各種商工団体等の主催する講演会、セミナー、研修等において、累計3,000回超の講師を務めてきた。これまでに数々のテレビ番組へのレギュラー出演を経て、現在はマーケット・経済専門チャンネル『日経CNBC』のレギュラー・コメンテーターを務める。主な著書に『上昇する米国経済に乗って儲ける法』(自由国民社)などがある。

メタバースが「CES 2022」の主要テーマに

1月7日まで米国ラスベガスで開催されていた世界最大のテクノロジー見本市「CES 2022」。EVや自動運転などモビリティ関連の発表が非常に目立ちました。

一方、仮想空間「メタバース」も主要テーマの1つとして注目されていました。

今回のCESは、オミクロン株感染拡大の影響で現地出展を見送る企業も相次ぎましたが、オンラインでは米クアルコムがマイクロソフトと「ARメガネ用チップ開発」での提携を発表したり、エヌビディアがメタバース向けコンテンツを制作するアーティストやクリエーターに、同社のソフトウエアを無償提供すると発表したりするなど、メタバース関連のトピックも数多く飛び出していたことが印象的でした。

もちろん、日本から現地に飛んだ企業も数あり、それぞれに将来が楽しみな目新しい話題を振り撒いていました。

そのなかでも、とくに目立った企業をご紹介します。

注目企業その1:ソニーグループ<6758>

まず注目を浴びたのは、ソニーグループ<6758>です。既知のとおり、22年春にもEV事業を担当する新会社を設立するという計画や、公開されたSUVの新たな試作車(VISION-Sプロトタイプ)が大きな話題になりました

加えて、プレスカンファレンスのなかではスポーツの判定を支援するカメラシステム「ホークアイ」を活用したスポーツの新たな映像サービスも紹介されています。

同サービスは、ライブ映像で捉えた動きを、高度なAI認識や画像処理でデータに変換し、そのデータから3次元コンテンツをリアルタイムで生成。自分のアバターを作ったファンが仮想空間で交流し、楽しめるといったサービスが数カ月のうちに提供される見通しとのこと。

それ自体が直ちに収益に結び付くわけではないのかも知れませんが、メタバース関連の魅力あるサービスを提供できる企業としての「総合力」を示し、市場から一層の信頼を得るということには着実に結びつくものと見ていいでしょう。

ソニーグループは、エンタメ領域4事業が強いシナジー効果を発揮しているうえ、エレキとエンタメ領域の間でも多くのシナジー効果が発現しており、その結果として醸成されている「複合経営企業としてのプレミアム」はメタバースやEVの展開によって一段と拡大することが期待されます。

ソニーグループ<6758> 日足(SBI証券提供)

株価は5日に昨年来高値1万5,725円まで上値を伸ばして目先は一服。一目均衡表の日足「雲」上限が下値サポートして機能するかどうか見定めたいところです。

Next: VRの世界で温度を感じられるシャツ?パナソニックの驚くべき発表



注目企業その2:パナソニック<6752>

パナソニックは、2018年4月に完全子会社化したシフトールを通じて、メタバース向けのVR機器3製品を今年の夏までに発売すると、今回のCESで発表しました。

眼鏡型のVRヘッドセット「メガーヌエックス」は、今春中に一般販売。画面には有機ELパネルを小型化した「マイクロ有機EL」を採用し、5K相当の高精細な映像を映し出します。

また、今春に発売する「ペブルフィール」(販売予定価格は2万円前後)は、手のひらサイズの冷熱装置で、同装置を付けた専用シャツを着ると、首元が熱くなったり冷たくなったりし、仮想空間での体験を現実により近づけられるそうです。

さらに、口に装着すると音漏れを少なくできるマイク「ミュートーク」は、メタバース内で会話を楽しんだり、テレビ会議をし始める際に、自分の声が外に響くことを防ぎます。

CESでは、同社が21年5月から国内で予約販売を始めたVR向けセンサー「ハリトラックス」(2万7,900円)を今春、米国でも発売すると発表しました。同装置は体の下半身に装着して動きを読み取るセンサーで、VR上のアバターの動きと連動させられる。これまで読み取りが難しかった股下の動きまで捕捉できる点が愛好家に受け、生産が追いつかない人気となっています。

22年3月期の連結純利益(国際会計基準)が、前期比45%増の2,400億円になる見通しであると発表。電子部品が堅調に推移するうえ、米ソフトウエア大手の完全子会社化に伴って、既存持ち分の再評価益も計上します。

パナソニック<6752> 日足(SBI証券提供)

収益全体をけん引するのは電子部品や車載電池です。電子部品は通信基地局など通信分野や工場向けが伸長し、固定費抑制効果も発言しています。なお、テスラに供給する車載電池事業も販売増加で収益が改善しています。

Next: カメラで撮影した人物を3次元で仮想空間に再現?キヤノンの先見性



注目企業その3:キヤノン<7751>

今回のCESで、同社はデジタルカメラで撮影した人物を3次元で仮想空間に再現できるアプリの開発を進めていると明らかにしました。市販のゴーグル型のVR端末を用いて、遠隔地にいる人とビデオ通話することが可能です。

1台のカメラから複数の画像を生成する技術を開発し、22年春をメドに提供を始めると発表。ビデオ会議などでの使用を見込んでおり、実際に会議に参加しているのと近い感覚を得られるようにするといいます。

新たに開発した技術は「AMLOS(アクティベート・マイライン・オブ・サイト)」と呼ばれ、会議室に設置したカメラなどから、同時に複数の画像が取り出せます。米国マイクロソフトとの協力で開発を進めており、まずはマイクロソフトのコラボレーションツール「Teams(チームズ)」と、クラウドプラットフォーム「Azure(アジュール)」との連携を行います。

足元は、フルサイズミラーレスカメラが引き続き好調に推移しています。また、医療機器についてはCT 装置やX線診断装置などが売上を牽引しています。半導体露光装置も堅調に推移し、FPD(フラット・パネル・ディスプレイ)露光装置は、前年同期を大きく上回る伸びを示しています。

キヤノン<7751> 日足(SBI証券提供)

株価は足元で調整含みの展開となっていますが、差し当たり25日移動平均線が下値を支える役割を果たすか注目しておきたいところです。

Next: リコーにも注目!建設現場を360°LIVE配信できるシステムを開発



注目企業その4:リコー<7752>

なお、CESとは無関係ながら、昨年12月にリコーと鹿島が、建設現場で周囲360度を映し出せるライブ映像の中に、何人もの関係者が遠隔参加して現場の状況把握や相互の打ち合わせができるシステムを、新潟県長岡市の水路工事現場などで導入したと発表したことも大いに注目されます。

これは「リコーバーチャルワークプレイス」を導入した取り組みで、製造業やBtoB(法人向け)ビジネスで使える産業用メタバースの事例の1つです。

リコー<7752> 日足(SBI証券提供)

昨秋以降、株価は一目均衡表の日足「雲」上限で上値を押さえられるパターンを繰り返していますが、同水準を上抜けると上値余地は拡がりやすくなると見られます。

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2022年1月配信分
  • 企業の「総合力」と企業間の「連携」がモノを言うメタバース関連企業が興味深い(1/14)
  • ニッポンの「再生エネ主力電源化」に不可欠な次世代送電網整備が注目度アップ!(1/7)

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田嶋智太郎の先読み・深読み!株式マーケット』(2022年1月14日号)より一部抜粋
※タイトル・見出しはMONEY VOICE編集部による

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