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4月から親の同意不要、18歳のクレジットカード破産をどう防ぐか?キャッシュレス専門家が提唱「Suica」を使った金銭感覚の鍛え方=岩田昭男

民法改正により、今年4月から18歳になれば親の許諾なくクレジットカードを持てるようになります。マネー教育が十分になされないまま放り出される若者たちがクレジットカードやリボ払いで破綻することも考えられます。どうすればキャッシュレス時代のマネーリテラシーが身につくのか。クレジットカード専門家の岩田昭男氏が解説します。(『達人岩田昭男のクレジットカード駆け込み道場』)

※本記事は有料メルマガ『達人岩田昭男のクレジットカード駆け込み道場』2022年2月15日の一部抜粋です。ご興味を持たれた方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月すべて無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール:岩田昭男(いわたあきお)
消費生活評論家。1952年生まれ。早稲田大学卒業。月刊誌記者などを経て独立。クレジットカード研究歴30年。電子マネー、デビットカード、共通ポイントなどにも詳しい。著書に「Suica一人勝ちの秘密」「信用力格差社会」「O2Oの衝撃」など。

18歳から「親の承諾不要」でクレジットカードが持てる時代に

民法の改正で、2022年4月から成人年齢が18歳に引き下げられます。18歳以上なら、親権者の同意がなくてもクレジットカードを持てるようになります。

これまで通学でSuicaを使ってきた高校3年生が、大学1年生になったらクレジットカードを簡単に持てるようになるわけです。

しかし、これで生活が一変することは、あまり理解されていません。

例えば、JR東日本のビューカードをSuicaと連携させれば、ポイント還元を受けられますし、カードの使い分けが可能になりますから、買い物(暮らし)がもっと便利になるでしょう。

しかし、同時に自分でSuicaにチャージ(入金)して、自分でお金を管理する生活が始まりますから、これが大変。これまでお金回りはすべて親任せでよかったものが、突然、自分に責任が降りかかって来るようになります。

無計画では大変なヤケドを負いかねないので、注意が必要です。

小中高でマネー教育はほぼゼロ

ようやく2022年4月から、高校の家庭科で「資産形成」の授業が始まります。

しかし、多くの大学生は、小中高を通じて実践的な金融やクレジットカードに関する教育をきちんと受けてきていません。

何をどうコントロールすればいいのか、わかっていない人も少なくないでしょう。

そこで私が提案するのが「毎月1万円でSuica生活をする」というトレーニングが役に立つのです。

これは電子マネー初心者向けに考えられた処方箋です。電子マネーの使い方をわかりやすく説明するとともに、キャッシュレスの基本的な知識が身に付きます。

このトレーニングで対象とするSuicaは前払い式のプリペイドカードですから、最初にお金をカードにチャージして使うという形になります。

Next: 破産は起こりうる。クレジットカードの扱い方は「Suica」で練習を



自分でお金を管理する感覚を養う

特に東京でひとり暮らしを始める学生にとっては、毎月の仕送りが限られているので、Suicaに割り当てる金額も限定されてしまいます。そうした中で野放図にSuicaを使っていては、すぐにお金がなくなり、「破産」に追い込まれます。

そうならないために毎月の利用金額を決めておくことが大切です。さらには、チャージの方法を熟知しておく必要もあります。

Suicaへのチャージは現金でもできますし、クレジットカードからでも可能です。現在のところは多くのクレジットカードからSuicaにチャージできるようになっています。

チャージできる場所は駅の券売機やATMに限られていましたが、最近はセブンイレブンなどのコンビニでも簡単にできるようになっています。またスマホ(モバイルSuica)を使えば、どこにいてもチャージができますから便利です。

ポイントが貯まるのも魅力のひとつ

なかにはチャージするたびにポイントが貯まるクレジットカードもあります。

たいていは、ポイント還元率は0.5%ですが、ポイントが3倍の1.5%になるカードもあります。それがJR東日本の「ビューカード」です。

3倍ですからお得ですが、この特性はもっと評価されてもいいと思います。というのも、電車やバスの利用はもちろん、普段使いの買い物や食事の支払いをSuicaで済ますことで、いつでも実質1.5%還元を享受できるからです。

逼迫(ひっぱく)した暮らしを送らざるをえない大学生にとっては、強力なサポーターとなるでしょう。

また、Suicaにチャージできる金額としては、1度に2万円が限度となっています。基本的に乗車券ということもあって、それほど大きな額を入れることができないのです。

そうした成り立ちから、Suicaは最初から小額利用を目的としたツールとしてスタートしたといえます。

そう考えるとチャージ金額も細かく分けて入れるようにすればいいと考えられます。私などはSuicaが誕生した21年前(2001年)から愛好しています。その体験からいって、切りの良い3,000円を単位としてチャージしますが、最近はSuicaの使える店やシーンが非常に多くなっていますから、すぐに使い過ぎてしまいます。そうならないようにしっかり注意をしなくてはなりません。

Next: 「Suica生活」でクレカの練習を。何を削って何を残すかを考えよう



「Suica生活」でクレカの練習を。何を削って何を残すかを考えよう

それには、先に述べた毎月1万円でSuica生活をするトレーニング法が役に立ちます。

これはSuicaに1万円入れて1ヶ月暮らすというものです。しかし、Suicaの1万円で生活のすべてをまかなうわけではありません。

1万円を使ってSuicaに慣れ親しむこと、長期にわたってSuicaを使い続ける「癖」をつけることが目的です。

ルールは2つだけ。

1つは「少額でもSuicaを毎日使い続けること」。1万円を30日で割ると、1日330円ほどです。大したものは買えませんが、Suicaを使うのに慣れる意味があります。

2つ目は「1ヶ月後もSuica口座にお金を残していること」。1円でも残ればOKです。1ヶ月という期間全体を眺め、お金の流れを考えることができたということです。

こうしたルールを決め、Suicaとともに1ヶ月暮らしてみるのです(ウィズSuicaです)。

私たちはキャッシュレス社会の中で、長く生きていくことになります。何を削って何を残すか、考えることが大切です。

1万円と提案しましたが、「月2万円は絶対必要」という人は2万円で始めても良いでしょう。

こうしたトレーニングで、Suicaや電子マネー利用のイロハがわかり、経済的自立のための生活が軌道に乗ると思います。ぜひ試してみてください。

Next: 15年前、「WAON」の恩恵に感動した静岡県の女性たち



15年前、WAONの恩恵を受けた静岡県の女性たち

交通系電子マネーのSuicaが誕生したのは2001年。続いて流通系電子マネーのnanaco(イトーヨーカドー・セブンイレブン)、WAON(イオングループ)が誕生したのが2007年です。

その後、静岡県富士市でイオン系のスーパーがリニューアルされて話題になりました。というのも、この時に新しく出た「WAON」の本格運用が始まったからです。

取材に行った私が驚いたのは、地元の主婦の方たちが張り切っていたことです。なぜそんなに元気なのか聞くと、「WAONを持ってイオンに通うようになったから」というのです。

それまでは、食費、交通費、遊興費といった項目ごとに現金を袋に入れる「袋分け」で家計を管理していたそうです。ところがWAONというICカードのおかげで毎月の買い物代金をICチップに入れて使うようになり、非常に暮らしやすくなったというのです。

彼女たちはまさにキャッシュレスの恩恵を15年ほど前に受けていたことになります。

この4月から、全国の18歳の若者たちもキャッシュレスの入り口に到着します。くれぐれも使い過ぎに注意し、電子マネーを使いこなして欲しいと思います。

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  • 若者にはSuicaのトレーニングが必要だ(2/15)
  • 公共料金とガソリン代に強いユニークなカードを二枚紹介(2/1)

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image by: Bankrx / Shutterstock.com

達人岩田昭男のクレジットカード駆け込み道場』(2022年2月15日号)より一部抜粋・再構成
※タイトル・見出しはMONEY VOICE編集部による

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達人岩田昭男のクレジットカード駆け込み道場

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世の中すっかりカード社会になりましたが、知っているようで知らないのがクレジットカードの世界。とくにゴールドカードやプラチナカードなどの情報はベールに包まれたままですから、なかなかリーチできません。また、最近は電子マネーや共通ポイントも勢いがあり、それらが複雑に絡み合いますから、こちらの知識も必要になってきました。私は30年にわたってクレジットカードの動向をウォッチしてきました。その体験と知識を総動員して、このメルマガで読者の疑問、質問に答えていこうと思います。ポイントの三重取り、プラチナカード入会の近道、いま一番旬のカードを教えて、などカードに関する疑問にできるだけお答えします。

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