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次の半導体トレンド「3次元化」で躍進する日本企業5社とは?“技術の日本”に商機到来=田嶋智太郎

半導体の技術開発の最先端では、多くの関連企業が複数のチップを積み重ねて性能を高める「3次元(3D)技術」への関心が強まっている。生産にはこれまで以上の精密さが求められ、そこはまさに日本勢の出番である。今回はこの半導体「3次元技術」で成長が期待できる日本企業5社を解説したい。(『田嶋智太郎の先読み・深読み!株式マーケット』田嶋智太郎)

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※本記事は有料メルマガ『田嶋智太郎の先読み・深読み!株式マーケット』2022年2月18日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール:田嶋智太郎(たじま ともたろう)
慶応義塾大学卒業後、現三菱UFJモルガン・スタンレー証券勤務を経て転身。転身後の一時期は大学教諭として「経営学概論」「生活情報論」を担当。過去30年余り、主に金融・経済全般から戦略的な企業経営、地域金融機関改革、引いては個人の資産形成、資産運用まで幅広い範囲を分析研究。民間企業や金融機関、新聞社、自治体、各種商工団体等の主催する講演会、セミナー、研修等において、累計3,000回超の講師を務めてきた。これまでに数々のテレビ番組へのレギュラー出演を経て、現在はマーケット・経済専門チャンネル『日経CNBC』のレギュラー・コメンテーターを務める。主な著書に『上昇する米国経済に乗って儲ける法』(自由国民社)などがある。

半導体の「3次元技術」で日本勢にも商機到来!?

半導体の技術開発の最先端では、多くの関連企業が複数のチップを積み重ねて性能を高める「3次元(3D)技術」への関心が強まっている。

既知のとおり、これまではチップ上に描く(露光する)回路の線幅を小さくして集積度を高める「微細化」への挑戦がメインテーマとなっていたが、もはやそれだけでは求められる性能レベルに達しないことが懸念されるというわけである。

すでに、世界最大のファンドリーとして名高い台湾の「TSMC」も3次元構造の半導体の開発に着手しており、その一環として茨城県つくば市に研究開発の機能を設けている。

そうした時代の流れの中で重要視しておきたいのは、3次元化技術の肝となるのは「後工程」の技術であるということ。チップを3次元方向に集積させて動かすには、熱や電流など細やかな問題に対処せねばならない。

つまり、前工程で製造されたウェーハを丹念に磨き上げ、チップに切り分けて基板に装着、封止するなどの行程で、これまで以上の精密さが求められるということになる。

まさに、そこが日本勢の出番であるというわけだ。

これまでの「微細化追求」の世界では、とかく前工程に光が当たりがちで、そこでの日本勢の活躍の機会は限られたが、後工程の分野はもともと日本勢の牙城であった。

あまり目立たないところでコツコツと技術を積み上げてきた日本勢にとって、いままさに商機が巡ってこようとしている。以下に関連の企業をいくつか取り上げておきたい。

【東京精密<7729>】

半導体ウェーハの薄片化とダメージ除去を1台の装置で実現する「ポリッシュ・グラインダー」や、チップの良品、不良品の選別を行うウェーハテストのためにウェーハ上に形成された全てのチップの電気的特性を試験する「プロービングマシン」などに強みを持っており、ウェーハテスト用製品では世界シェアトップを誇る。

足元は、半導体製造装置需要が堅調に推移するうえ、半導体デバイス国産化を推進する中国からの需要も引き続き高水準を維持している。増産効果や円安などを追い風に採算性が向上していることもあり、22年3月期の営業利益は前期比+70.1%増の265億円を見込んでいる。

東京精密<7729> 週足(SBI証券提供)

株価は、一目均衡表の週足「雲」の中でもみ合っており、この週足「雲」上限を上抜けると。そこから上値余地が拡がると考えられる。

Next: 日本企業にも商機到来。半導体「3次元技術」関連銘柄



【岡本工作機械製作所<6125>】

平面研削盤で国内シェアトップを誇る。液晶製造装置や半導体製造装置も手がけており、2月10日の3Q決算発表時に通期業績予想と配当予想の上方修正を行った。

工作機械が半導体・EV関連向け中心に国内外で好調に推移する一方、半導体業界の旺盛な投資意欲を映して半導体関連装置も伸びが高い。

また、ポリッシュ装置やラップ盤の拡販に向けて、ウェーハ業界向けの新機種開発やサポート体制の強化などの諸施策を進めて、拡大する半導体関連装置の需要を着実に取り込む。

岡本工作機械製作所<6125> 週足(SBI証券提供)

株価は、昨年9月に7,200円の高値を付けてからの調整局面。すでに20年3月安値からの上げ幅に対する61.8%押しの水準まで一旦下押しており、目下は再浮上のきっかけを待つ状態。足元で、予想PER=9.7倍、PBR=1.11倍。予想配当利回り=2.85%と、バリュエーション面から見て割安な状態にあると言える。

【メイコー<6787>】

車載用とスマホ用が2本柱のプリント配線板製造で国内上位。ことに、車載向けの基板が自動車の電装化の進行に伴って好調を維持する。また、感染症の影響による当社グループへの転注もあったことなどから大幅に販売が増加している。

スマートフォン向けの基板は、顧客の挽回生産によって好調に推移している。結果、第3四半期連結累計期間の売上高は過去最高を更新した。

メイコー<6787> 週足(SBI証券提供)

同社は、昨年6月に「2022年にも約100億円を投資して山形県に新工場を建設する」と発表。自動車各社が車の電子化を進める中、車載基板事業を強化する。車の制御の中核を担うECU(電子制御ユニット)に使用される「ビルドアップ」と呼ばれる先端基板などの生産能力を3倍まで増やす計画を掲げている。

22年3月の純利益は前期比+93.9%の90億円と過去最高を更新する見通し。

Next: ここからさらに株価上昇?まだある期待の半導体銘柄



【キョウデン<6881>】

プリント配線基板の製造を中心とする電子事業において、国内の半導体製造装置をはじめセンサー・モジュールデバイス、5G関連通信機器、IoT関連機器、インフラ関係、パワー半導体関連などの受注が伸びている。

2022年3月期4Q以降も堅調に推移するものと見込まれ、2月8日に通期予想を上方修正。営業利益は前期比+111.3%の50億円を見込んでいる。

キョウデン<6881> 週足(SBI証券提供)

足元の株価は予想PER=10.5倍、PBE=1.35倍、予想配当利回り=2.65%と割安水準にある。

【住友ベークライト<4203>】

住友化学傘下の樹脂加工大手。半導体向け封止材料で世界首位(世界シェア4割)

2月7日に発表した2021年4~12月期の連結決算(国際会計基準)は純利益が前年同期比37%増の161億円。新型コロナウイルス下でのデータセンター関連機器やパソコン向けの引き合いが旺盛で、半導体封止材の販売が好調に推移している。

半導体関連製品のほか、自動車や電子部品向けの高機能プラスチックの売り上げも好調。
2023年にも台湾で半導体封止材の生産能力を倍増する。33億円を投じて新工場を建設し、増産体制を整えることで、データセンターやパソコン向けなどに引き合いが強い半導体需要を取り込む構え。

住友ベークライト<4203> 週足(SBI証券提供)

目下の株価は、当面の下値サポートとして意識される一目均衡表の週足「雲」上限付近にあり、興味深い局面と言える。

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2022年2月配信分
  • 半導体の「3次元技術」で日本勢にも商機到来!?(2/18)
  • 活躍の舞台が一層拡がる「協働ロボット」関連が興味深い(2/11)
  • ■米アップル最高益でサプライチェーン銘柄の魅力もアップ(2/4)

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2022年1月配信分
  • 国内外で需要が急拡大している塩ビ樹脂の関連企業が興味深い(1/28)
  • 相場大波乱のなかで訪れる!?半導体関連銘柄の押し目買いの好機(1/21)
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image by:Quardia / Shutterstock.com

田嶋智太郎の先読み・深読み!株式マーケット』(2022年2月18日号)より一部抜粋
※タイトル・見出しはMONEY VOICE編集部による

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