マネーボイス メニュー

株価は残酷。もはや「材料視されない」戦争激化、米国株の大幅高に2つの要因=新天地

2日のアメリカ株式市場は大きく上昇。要因は2つ。ロシアが停戦協議を続けると表明したことと、パウエル議会証言で利上げペースがマイルドになるという見込みが増えたこと。株価は残酷なので、よほどのこと(戦術核兵器の使用とか、ポーランドなど第三国の参戦やロシアの攻撃拡大)がない限り、戦争の激化が株価下落につながりにくい状態になっていく。(『新天地の株式投資日記』)

【関連】2022年、NYダウは「いつ」下げに転じるか。ラウンドトップ形成後に急落? QTと出来高で“株高の後”を読む

※本記事は有料メルマガ『新天地の株式投資日記』2022年3月3日号の一部抜粋です。興味を持たれた方は、ぜひこの機会に初月無料のお試し購読をどうぞ。実際に配信されたサンプル号もお読みいただけます。

プロフィール:新天地
祖父の影響で子どもの頃から株の売買を行う。証券会社で自己売買業務を経験後に退社、現在はデイトレーダー。メルマガでは主に脱初級・中級者向けに、東証・NYの市況(市場雑感)、相場の考え方、取引手法などを解説。一般に書かれることが少ない空売り戦略や取引アルゴリズムに関してもプレーヤーの立場から丁寧にフォローする。

3月3日(木)7:30 配信号

2日のアメリカ株式市場は大きく上昇。要因は一応、2つ。ロシアが停戦協議を続けることを表明したことと、パウエルの議会証言で3月の0.5%利上げがなくなるなど利上げペースがマイルドになるという見込みが増えたこと。

(もっともロシアは緒戦の手痛い「失敗」を受けて軍の体制をととのえたり補給を急いでいるとみられる。明らかに時間稼ぎに思えるが……。もちろん国際的な圧力に耐えかねている面もあるんだろうけれど。)

参考:ダウ日足(SBI証券提供)

別で説明するけど、戦争の戦術的には見え見えの時間稼ぎに入ったロシアの和平交渉でさえプラス材料になるってことは、それだけ下げが大きすぎた反動だと思われる。ちょっと売り飽き気分が蔓延してて……。

一般論だが下値を売り叩くのは避けたい。今は特に値動きが大きいので。

【無料公開中】グランビルの法則とプログラム売買の見方と(2021/08/11号) 有料メルマガサンプルを読む

マーケットは「利上げペース鈍化」と判断

火曜日までの混乱の中、 注目のパウエルFRB議長の議会証言が行われた。ウクライナ戦争について「注意深く監視する」と述べたことで戦争によって経済回復がやや遅れる、だから利上げについてもより慎重になるだろうというマーケットの読みを再確認する形になった。

今後インフレが高止まりすれば0.5%の利上げを行うこともありうる、とマーケットにあらかじめ釘を打ったものの(次回以降に0.5%上げを行なっても過剰に反応しないようにあらかじめ注意喚起はしたということ)3月については0.25%の利上げを示唆。

マーケットは、3月のFOMCは0.25%の利上げにとどまると確信するとともに、今後の利上げスピードは戦争開戦前のコンセンサスよりもゆっくりとしたものになると判断した 。開戦前は今年は5〜6回の利上げが行われるというコンセンサスができていたが、いまは大きく後退している
(政策金利と連動性が極めて高いとされる2年もの短期国債の利回りは1.5%水準で安定している。これだと今年は4回の利上げペースといったあたりか)。

これも何度か書いたけど、経験則からは利上げについては利上げするかそのものよりも「利上げのペースが早いか遅いか」によって株価がマイナスの影響を受けるかどうかが決まる傾向が強い。事前予想よりも利上げのスピードが遅いならば、1月に早いスピードの利上げ予想のもとで下落した株価を取り戻す余地がある。

【無料公開中】プログラム売買深考(2021/04/27号) 有料メルマガサンプルを読む

ウクライナ戦争のマイナス面はすでに織り込まれた?

またウクライナ戦争によるロシア原油や天然ガスの供給削減の影響や西側対ロシアの経済制裁合戦による経済の悪影響は避けられないものの、 今ひととおり経済制裁が出揃ったなかで、ある程度マイナス面は織り込まれた、というふうなやや楽観的にすぎる見方も相場上昇に寄与した。

もうひとつテク二カルな背景として、ここまで地政学リスクを狙ってショートポジションを取ってきた比較的短期の投機筋が、ポジション解消の買い戻しを取ってきた部分もあるだろう。

Next: よほどのことがない限り、戦争の激化が株価下落につながりにくい状態へ



戦争の激化が株価下落につながりにくい状態へ

1月からの「スピードの早い利上げ」(株価を下げうる)を警戒して下げた3,000ドル強については幾分戻り余地があるだろうというのがマーケットの判断。

ウクライナ戦争については2,000ドル下げたことで「ある程度織り込んだ」というのがこれまたマーケットの判断。

さらに過去の経験則から言えば、地政学リスクは織り込まれると比較的短期間で株価が戻す傾向があるとも(ただし太平洋戦争や湾岸戦争のように石油が絡むと戻りが遅くなるのも経験則)。

これからロシアはチェチェン紛争やシリア戦争でやったようにブラックジャック大型爆撃機や榴弾砲を使った都市部への無差別大規模攻撃を加えるだろう。数万人単位で民間人が死ぬ。

しかし株価は残酷なので、よほどのこと(戦術核兵器の使用とか、ポーランドなど第三国の参戦やロシアの攻撃拡大)がない限り、戦争の激化が株価下落につながりにくい状態になっていく。

もう戦争の激化が材料ではなく、西側とロシアの相手への嫌がらせと反動のみが材料になっていくだろう。

もちろん戦争が早期終結すれば株価にプラスインパクトはあるだろうけれど。

有料メルマガ好評配信中!初月無料です

・マーケットは「売り飽きた」か。商品価格上昇を無視して買われた銘柄
・テスラは売買代金首位で1.8%高も、2日のEVの主役は「フォード」だった
・GAFAMも総じて買われたが、昨年夏までの勢いはナシ
・原油関連が大活況、クライマックス感が出始めたか
※これらの項目は有料メルマガ購読者限定コンテンツです →いますぐ初月無料購読!

(筆者注:このメルマガは新天地の考え方を書いたもので、特定の銘柄及び指数に関する商品の売買を推奨または指示するものではありません。銘柄の値動きについては想定と違う場合もあります。投資される場合は読者の方独自の責任で行われるようお願いします。)

【関連】FIREを夢見るレバナス民が虫の息。最低限の資産「6250万円」に届かぬ若者たちがレバレッジをかけて人生滑落=鈴木傾城

<初月無料購読ですぐ読める! 3月配信済みバックナンバー>

※2022年3月中に初月無料の定期購読手続きを完了すると、以下の号がすぐに届きます。

2022年3月配信分
  • ロシア軍失敗まとめ(3/3)
  • NY雑感、パウエル証言で3月は0.25%利上げに決定か。ロシアの態度軟化?もプラス。(3/3)
  • ADP雇用統計(3/2)
  • 相場雑感。アメリカの写真相場。金利低下と商品相場高を映す。(3/2)
  • NY雑感。戦闘激化から経済制裁拡大懸念で売られる。企業の「自主的ロシア制裁措置」も相次ぐ。(3/2)
  • 書き忘れ(3/2)
  • 相場雑感。ひとまずリスクオフの揺り返し。ロシア関連の悪ふざけも。(3/1)
  • NY雑感。制裁懸念で下げるも政策金利上げ速度低下期待もあり戻す。防衛関連人気。(3/1)

いますぐ初月無料購読!


※本記事は有料メルマガ『新天地の株式投資日記』2022年3月3日号の一部抜粋です。興味を持たれた方は、ぜひこの機会に初月無料のお試し購読をどうぞ。実際に配信されたサンプル号もお読みいただけます。

<こちらも必読! 月単位で購入できるバックナンバー>

※初月無料の定期購読のほか、1ヶ月単位でバックナンバーをご購入いただけます(1ヶ月分:税込5,500円)。

2022年2月配信分
  • 相場雑感。ロシアのSWIFT一部追放で売られるも和平期待で戻す。(2/28)
  • 威力を発揮するウクライナに供与された携帯ミサイル。ロシアはアウトレンジ攻撃へ戦術変更か。(2/28)
  • 携帯型対空ミサイルなどドイツが提供へ(2/27)
  • 相手の思考パターンとレベルを考える(2/26)
  • SWIFT問題。最大の焦点へ。ロシアの排除決定ニュース流れる。(2/26)
  • 相場雑感。和平交渉期待で大幅上昇。ただし戦闘は続いている。週休0日。(2/26)
  • 今後「制裁」で注意すること(2/25)
  • 相場雑感。「開戦したらリバウンド」のセオリー通り(2/25)
  • 戦争開始後の値動き(2/25)
  • 地政学リスク(2/25)
  • ちょい訂正(2/25)
  • NY雑感続き(2/25)
  • NY雑感(AM4:00に書かれています)(2/25)
  • 相場雑感。プーチン、開戦にゴーサイン。売られる。(2/24)
  • 48時間以内に攻撃開始というのは当たりだと思う(2/24)
  • NY雑感。ウクライナ下げ、ニッケルでEVが売られネオンで半導体メーカーが下げる。(2/24)
  • 徒然に。僕が株で役に立ったと思った本。古いのばかりだけど(2/23)
  • 相場雑感 プーチンのばかー(2/22)
  • より前雑感(2/22)
  • NYおやすみ雑感(2/22)
  • 相場雑感。アメリカ人お休みのせいで大きく下げるも米露会談見込みで下げ幅縮小(2/21)
  • ヒップ・ハボック・イスカンデル。=電撃戦・短期決着予想(2/20)
  • NY雑感(2/19)
  • 相場雑感(2/18)
  • 今日の相場雑感遅くなります(2/18)
  • NY雑感。リスクオフ。ファントムブレーキ、クッキーレス、原油下落、半導体安、フィンテックの暴落続く(2/18)
  • 相場雑感。今日もウクライナ。飽きたらないな。(2/17)
  • プライバシーサンドボックスとは(2/17)
  • より前雑感(2/17)
  • NY雑感ウクライナ懸念再燃もFOMC議事録公開あと変わらずへ。(2/17)
  • まあ可能性は極めて低いけどクーデター待ちありかなと(2/16)
  • 相場雑感。とりあえず買い戻し、で大幅高。(2/16)
  • つづき(2/16)
  • NY雑感。ロシア軍一部撤退報道でリスクオフの反動高。半導体高い。(2/16)
  • 続き。INPEXのタスキ線は気になるが・・・(2/15)
  • 相場雑感。またウクライナか。って言ってたら一部ロシア軍撤退報道(2/15)
  • 続きの続き。高官(タカ派)発言続くもウクライナの影に。(2/15)
  • つづき(2/15)
  • NY雑感。下げ幅は週末に比べれば小幅。でも「ウクライナ下落」続く。(2/15)
  • 相場雑感。ウクライナ危機懸念で大幅安。後場は日銀買い観測も戻しきれず。(2/14)
  • ウクライナ戦争今後のスケジュール(2/12)
  • 続きの続き(2/12)
  • NY雑感つづき1(2/12)
  • チャート再送(2/12)
  • NY雑感。消費者信頼感指数でふらついたところにウクライナの緊張加熱がとどめ。(2/12)
  • NY債券雑感(2/11)
  • NY雑感続き。半導体とITが売られた。としか書くことない。アファーム21%安。(2/11)
  • NY雑感。CPIの数字には耐えたもののブラード発言で下げ幅大幅拡大(2/11)
  • 相場雑感。「アメリカ株上昇とショートカバー」で買われた。だがCPI警戒で伸び悩み。(2/10)
  • NY雑感(私用により大引け前執筆原稿です)(2/10)
  • 相場雑感。SQを前に17500円回復。好業績買われる。(2/9)
  • 原油相場。イラン核問題解決で相場は動くか?(2/9)
  • NY雑感。金利は上昇するも押し目買い意欲強い。アフターコロナと金融株に買いもの。ビッグテックも強い(メタ除く(2/9)
  • 相場雑感。やや小動き。アメリカに倣って金融、バリュー、アフターコロナしっかり。決算に伴う下げあり。(2/8)
  • NY雑感。メタ続落が大きく影を落とす。単なる金利高からのグロース売りじゃない。(2/8)
  • 新高値をつける時、前の高値は古ければ古い方がいい(2/8)
  • そんきりの重要性(2/7)
  • 相場雑感(2/7)
  • 決算いろいろ。(2/5)
  • NY雑感。雇用統計が金利上昇呼ぶも決算効果でグロースは大きく反騰。(2/5)
  • 相場雑感(2/4)
  • つづき(2/4)
  • NY雑感。メタショックでナスダック急落。しかしAmazon好決算で時間外下げ幅大幅圧縮(2/4)
  • 相場雑感。決算に絡む上下動目立つ。メタショックは半導体安に直結。(2/3)
  • サードパーティクッキーの件再掲(2/3)
  • つづき(2/3)
  • NY雑感。上がったんだけど、それを吹き飛ばすメタの時間外急落(暴落に近い)(2/3)
  • 相場雑感。決算には敏感。全面高も今日はリスクオフの揺り戻し目立つ。(2/2)
  • アルファベット、20分割。「NYダウ採用」への布石か(2/2)
  • おまけ(2/2)
  • NY雑感。小幅上昇。時間外でアルファベットとAMD急伸(2/2)
  • 相場雑感(2/1)
  • いまさらながら、海運株の上昇とコンテナ船(2/1)
  • NY雑感。売られた銘柄買ってみましたでナスダック急騰。(2/1)

2022年2月のバックナンバーを購入する

【無料公開中】グランビルの法則とプログラム売買の見方と(2021/08/11号) 有料メルマガサンプルを読む

image by:lev radin / Shutterstock.com

新天地の株式投資日記』2022年3月3日号より一部抜粋
※タイトル・見出しはMONEY VOICE編集部による

初月無料お試し購読OK!有料メルマガ好評配信中

新天地の株式投資日記

[月額5,500円(税込) 毎週水・土曜日(祝祭日・年末年始を除く)]
発行者は証券会社の自己売買業務を経験後に退社。現在はデイトレーダー。メルマガはトレーダーの視点で東証とNYの市況解説(市場雑感)を中心に取引手法などを書いていきます。特に脱初級、中級の方向けに市場で何が起こっているのかと、取引手法や相場の考え方を書いていきます。また普段あまり書かれることが少ない空売り戦略や手法をプレーヤーの立場で書いていきます。法規制により、具体的な銘柄商品の売買の指示や助言などはありません。あらかじめご理解をお願いします。

シェアランキング

編集部のオススメ記事

この記事が気に入ったら
いいね!しよう
MONEY VOICEの最新情報をお届けします。