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GW急落がどうした!今こそ外国人投資家の立場で日本株を見定めるべき時=炎

株式相場は大型連休前に急落し、連休の間においても円高の進展もあり大きく値を下げてきました。連休明け後は企業業績の発表が相次ぐことになる中で下値模索ないし下値固めが続くものと考えられます。

というのが一般的な前振りのコメントではありますが、これは日本の投資家が感じることです。外国人投資家、とりわけ欧米の投資家から見た日本株への印象は別のものとなります。(『億の近道』炎のファンドマネージャー)

プロフィール:炎のファンドマネージャー(炎)
小学生から証券会社に出入りし、株式投資に目覚める。大学入学資金を株式の利益で確保し、大学も証券論のゼミに入る。証券会社に入社後は一貫した調査畑で、アナリストとして活動。独立系の投資運用会社でのファンドマネージャーの経験も合わせ持つ。2002年同志社大学・証券アナリスト講座講師を務めたほか、株式漫画の監修や、ドラマ『風のガーデン』(脚本:倉本聰)の株式取引場面の監修を行う。

株価の低迷時期こそ投資のチャンス、今こそ市場に関心を持とう

ドル建て日経平均の下げ率は大きくない

外国人投資家、とりわけ欧米の投資家は、為替相場が円高となったことで、ドルベースでの日経平均を円ベースの指数とは異なった印象で受けとめているものと見られます。つまり、円ではなくドル評価の日経平均株価は、私たちが見ているよりは下げ率は大きくない点に留意しておく必要があります。

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また、マザーズ指数に限って言えば、決して弱い動きではなく、ミニ調整後の上値追い期待を指摘した方が良いのかも知れません。

更には業績悪化のユニクロに影響されがちな日経平均をまともに見ると間違いとなります。また日本株の象徴であるトヨタ<7203>が5256円という安値(高値は8783円)まで値を下げ、この先も為替次第では調整を余儀なくされる可能性がある点も日経平均にとっては不利に働く点です。

トヨタを筆頭にした自動車株の弱さは中国市場の停滞と1兆円とも試算される回収費用捻出で存続すら危ぶまれているタカタ製エアバック問題、三菱自工の虚偽データ問題など、スポンサーに遠慮したマスコミの報道手控えの中で、さほど騒がれてはいませんが、熊本の大地震によるサプライチェーンの問題も含めて根幹が問われています。

また、消費税の引き上げ凍結が言われており、輸出主体の自動車業界にとっては輸出戻し税の還付益の拡大恩恵が得られない可能性がある点も期待外れとなっているのかも知れません。

また、三菱UFJFG<8306>などの銀行株も日銀によるマイナス金利導入以来、株価の調整が見られます。

日経平均は為替相場次第となり、この先も為替に連動した展開を余儀なくされそうですが、指数に組み入れられている銘柄の中ではKDDI<9433>やNTT<9432>、NTTドコモ<9437>など通信株や清水建<1803>、大成建<1801>をはじめとしたゼネコン株など比較的業績が安定していると見られる内需系を中心に物色されそうです。

とりわけ、財政出動による景気浮揚策、デフレ脱却に向けた施策の恩恵を受けそうなセクター銘柄には期待が高まる可能性があります。大型連休明けの物色の潮流を冷静に眺めつつ皆様の投資成果向上を祈願致します。

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一時は年初来安値水準まで下落、現在の株価をどう見るべきか?

億の近道』はバブル崩壊後8年を経過し、疲弊した日本の株式市場に多くの個人投資家の皆様に関心を持ってもらおうと1999年に有志3名が立ち上げたメールマガジンです。

マスメディアの情報発信にはない市場関係者の生の声をメルマガにして情報発信して参りましたが、その後の株式市場は不動産バブルならぬITバブルを経て大勢はその後10年以上にわたり右肩下がりの展開を余儀なくされました。

2008年のリーマンショックはサブプライムローン問題を引き起こした米国の株式相場でも大幅な調整、経済の停滞を招きましたので日本株にも大きく影響を及ぼしたのですが、それによって実物資産からデリバティブ(派生商品)の膨張による途方もないリスクを改めて知ることになりました。

失われた10年が失われた20年となり、デフレ経済を引き起こしたことが日本株にとっても足かせとなって投資家及び企業経営者のマインドは明るさを取り戻すことなく2011年3月を迎えました。

付加価値税ともいうべき消費税が3%から5%となり日本の景気回復にとっては緊縮財政をベースにした民主党政権下での経済運営の失敗もあってリーマンショック後の疲弊からなかなか立ち直れない状況を醸成してきましたが、その時期に起きた東日本大震災が日本国の方向を改めて示してくれました。

大規模な自然災害の発生で日本の国力が弱まりそうだとの悲観が市場で広まる一方で、復興に向けた国策が発動されこれを契機にした経済の復活期待が高まることになり、復興相場が展開されるに至ります。

これとともに自民党が政権を奪い返したことで発足した第2次安倍政権は極めてアグレッシブな施策を示した結果、円高による株価下落に翻弄されてきた日本株も同政権が発足しアベノミクスが打ち出されてことで8000円台から20000円台まで日経平均を押し上げる結果となったことは皆さんよくご存じのことです。

しかしながら2015年の高値20900円台から日経平均は円高局面が1ドル=125円をつけた後、一旦終焉。先週は1ドル=105円台までの円高となるなど波乱の展開です。

日経平均は既に2月に1万5000円割れを演じ、年初来安値水準にまで低迷しましたが、その後4月14日に熊本で大地震が再び発生。地震国日本の宿命でもあるいつどこで起きるか分からない大地震は今でも余震の発生で熊本県民の生活に不安が募っています。

とは言え、急速な復興に向けた政策対応が取られたこともあり一旦17500円前後までの戻り相場を見せました。ただ、大型連休前から連休中には再び16000円割れまで演じるなど先行きの不安感が急激な株安につながりました。

この株安は市場で期待されていた日銀の追加緩和がなかったことに起因していますが、それは米国からの為替介入への警戒に配慮してのものとも言われ、日銀の黒田総裁の真意とは異なった対応が見られたことが大きく影響したと考えられます。

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6月会合ないしそれ以前のタイミングで日銀追加緩和へ

次回の日銀政策決定会合は伊勢志摩サミットが終了する6月上旬ですので、さすがにそのタイミングを待って、ないしはそれよりも早く追加の金融緩和が打ち出されるものと推測されます。

更に安倍首相は7月の参院選挙を睨んだ景気対策として思い切った財政政策をG7諸国と絡めてサミット前に打ち出し市場にインパクトをもたらすとの思惑があるものと考えられます。

また、消費税増税(8%を10%に)の凍結ないし、5%への減税まで含めたサプライズ感のある施策を打ち出す可能性があります。

このように株式相場は思惑を込めて上下して参りましたが投資家はそうした上下変動をじっくりと見ながら個人投資家の皆さんをリスク分散を図りながらリスクマネーを投じるチャンスがやってきています。

特にファンダメンタルズを重視して投資される皆さんにとっては業績の動向や中長期的な業績の成長見通しを踏まえて企業を評価して頂くことが必要です。

そうした皆さんの行動自体が株価の動向にも影響をもたらします。株価の低迷時期こそ投資のチャンス。株式投資のベテランもこれから株式投資をしてみようという若い皆さんもぜひ株式投資に関心を持って頂きたいと思います。

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億の近道』(2016年5月9日号)より一部抜粋
※太字はMONEY VOICE編集部による

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