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始まった日米株価「崩壊」、個人投資家はどう投資すべきか?元外資系レジェンズから4つの助言

18日の米株市場でNYダウは前日比1,116ドル安と2年半ぶりの下げ幅を記録しました。今の米国や世界の株式市場は乱高下して壊れ気味です。コロナショックのように株価はすぐに戻る可能性はあります。しかし、世界中が過去最高の金融緩和、過去最高級の財投をしたコロナショック後とは環境が違いすぎます。金利上昇、インフレ、景気後退懸念という今の環境では、株式市場がV字で戻るという想定は少し甘いかもしれません。今回は「市場崩壊時にはどう投資するべきか?」について4つのアドバイスをお伝えします。(『元外資系レジェンズ Team xoxo あなたに寄り添う投資情報』ロン)

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プロフィール:Team xoxo
元外資系金融機関出身3人で結成した『あなたに寄り添う』をテーマに金融リテラシー向上で人生を楽しむお手伝いを目標にするチームです。

かえるさん:証券歴27年だがTeam xoxo代表兼癒し担当。サラリーマン生活のそのほとんどが欧米外資系証券だが実は大手日系証券会社出身。地方個人営業から外資系証券でのマネジメント業務までありとあらゆる証券業務を日本とロンドンで経験。趣味は食とクルマ。

ロン:証券業界歴37年でTeam xoxoの精神的支柱兼ご意見番。セールストレーダーとして外資系証券の第一線で活躍。スモールキャップアナリストがキャリアスタート。それゆえに銘柄発掘と企業分析が得意。趣味はスキー、ランニング、登山とベイスターズ。

JB:業界歴20年以上でTeam xoxo唯一のバイサイド出身。日系・外資系資産運用会社におけるグローバル株式ファンドマネジャー経験。現在は軸足の半分を海外に置き、個人投資家や中小企業支援。保守的取引と積極取引のバランス感覚に定評。

株式市場崩壊時の投資アドバイス

アドバイス1:損失の拡大を防ぐことがプライオリティ
アドバイス2:ディフェンシブ、最小分散投資
アドバイス3:長期の積み立て投資は継続
アドバイス4:崩壊なら絶好の買い場が来るはず

「TEAM xoxo」のロンです。今の米国や世界の株式市場は乱高下して壊れ気味です。毎朝配信の「xoxo投資部朝会」でも「市場崩壊時にはどう投資するべきか?」を1つのポイントとしています。

今回は緊急で「株式市場崩壊時の投資の考え方」をトレードの先輩としてアドバイスさせてください。

相場混乱時は損を拡大しないことがプライオリティ

個別株、株式ETF、株式投信への投資で含み損を抱え始めた投資家も多いのではないかと思います。レバレッジをかけていなければ、ひたすら回復を待つのも1つの作戦ではあります。誰しも損を確定するのは嫌ですから。

ただ、損が大きくなると取り戻すのも大変です。投資の世界で覚えておきたいのは、3割の損を取り返すためには43%の上昇が必要だと言うことです。100が3割下がると70。70を100に戻すためには43%上昇しないと戻りません。含み損が拡大するほど、取り戻すのは難しくなります。

投資で成功したトレーダーたちが必ず、「ロスカットが大事だ」というのはこういう理由です。金融市場ではボラティリティはリスクそのものです。乱高下する相場では損の拡大を防ぐことが一番大事です。

普通の相場環境ならナンピンやスイングトレードはワークすることが多いでしょう。しかし、相場が崩壊した場合にナンピン、もしくはロスカットできずに退場する人を多く見てきました。

バブル崩壊で塩漬け、ナンピンした投資家の多くが退場!?

日経平均を89年のピーク時3万8,957円に買ったとします。平成バブル崩壊後の安値は2008年10月のリーマンショック時の6,994円です。底打ちするのは19年後で82%も下げるのです。33年たった今でも含み損です。持ち続ければいつかは戻るというのは、あくまでも希望的観測に過ぎません。長期投資なら塩漬けにすればだいたいは勝ちますが、こういう例もあるのです。あとで話しますが買い続けた場合はまた別です。

仮に30年後に買い値に戻ったとしても、投資として考えると効率的に運用できていいないことになります。お金に働かせていないですよね。

トレンドが変わってしまった銘柄を持ち続ける方がいいのか?許容範囲のうちにロスを確定し、戻りが早そうな銘柄に乗り換えるのがいいのか?どちらが効率的かをいつも考えるべきでしょう。

結果論にはなりますが、平成バブル崩壊後、日本株を持ち続けるよりも見切りをつけ米国株を買うのが正解だったというのが解りやすい例です。

Next: シートベルト着用を。株価暴落時に有効な4つのアドバイス



ナスダック下落はリーマンショック以来。シートベルト着用を

ナスダック総合指数は4月に月間で13%下げました。月間の下落率は08年10月(18%下落)のリーマンショック以来の下げ幅です。

主力銘柄「GAFAM+T」の下げ幅も厳しく、月間で、アマゾン24%、テスラ19%、アルファベット18%、マイクロソフト10%、メタ10%、アップル10%下げました。

「GAFAM+T」は多くの成長株ファンドに組み入れられている銘柄です。世界中の投資資金が買っています。日本からも21年には米国成長株を中心とした海外株ファンドに10兆円規模の大量買いが入りました。もし、これが解約ラッシュで逆回転しはじめたら、底は深くなる可能性があるのです。バブル崩壊時はいつも来た道なのです。

2000年以降でナスダック総合指数が月間10%以上下げたのは15回だけ。10回がITバブル崩壊時、3回がリーマンショック時、1回がコロナショック時です。

今回は、名前こそついていませんが、普通じゃない下げ、つまり「コロナバブル崩壊」で連発する可能性もあるのです。

<ナスダックが月間10%以上下落した月(2000年以降)>

★ITバブル崩壊時
2000年4月 16%
2000年5月 12%
2000年9月 13%
2000年11月 23%
2001年2月 22%
2001年3月 14%
2001年8月 11%
2001年9月 17%
2002年2月 10%
2002年9月 11%

★リーマンショック
2008年9月 12%
2008年10月 18%
2008年11月 11%

★コロナショック
2020年3月 10%

★今回
2022年4月 13%

ITバブル崩壊時はアップル、アマゾンですら7~8割下落

ITバブル崩壊時のアップルは、ITバブルが崩壊した2000年には7割も下落します。崩壊後に底打ちするのは3年後の2003年。2000年高値を更新するには2005年まで5年かかります。

アマゾンはITバブル崩壊で2000年に8割下げます。1年後には崩壊後の安値をつけますが、1999年高値を回復するのは2009年。10年かかります。

確かに、アップル、アマゾンを20年持ち続ければとんでもない資産になりました。しかし、7~8割下げて、戻るのに5年~10年かかる銘柄を持ち続けるようなグリップのある投資家はそれほどいないでしょう。戻ったらヤレヤレの売りを出してしまうのが普通の投資家です。

アドバイス1:損失の拡大を防ぐことがプライオリティ

コロナショックのように株価はすぐに戻る可能性はあります。しかし、世界中が過去最高の金融緩和、過去最高級の財投をしたコロナショック後とは環境が違いすぎます。金利上昇、インフレ、景気後退懸念という今の環境では、株式市場がV字で戻るという想定は少し甘いかもしれません。

一番大事なのは大切な自分の資産を守ること。損失を許容範囲でとめておくこと。取り返せる損なら、相場が明確に底打ちしてから参入しても取り返すチャンスがあります。

相場崩壊時はどん底をつかもうと思わないこと。「落ちてるナイフはつかむな」という格言は、ナイフをつかもうとして退場した人が多いからでしょう。崩壊時に、中途半端なナンピン、押し目買いはしないほうがいいでしょう。

レバレッジを掛けたポジションは縮小。ロスカットは自分の決めた範囲、もしくは普段より早くロスカットして、損をしなければ勝ちというくらいの心を持つほうが精神的にもおすすめです。

超短期では、空売りを活用すべきかもしれません。通常、株価の上昇時はユックリ、下落時は急落ということが多いので、短期売買に徹するのならショートは有効です。

Next: 景気後退時でも業績が落ちない業種は?長期の積立投資は継続を



アドバイス2:ディフェンシブ、最小分散の投資

機関投資家は、分散投資の観点から必ず株式ポジションは取らなくてはなりません。資産を守るためにできるのは、相場崩壊時には株式比率を下げるくらいです。

いい例がコロナショック時の「ひふみ投信」です。コロナ初期に「やばい」と感じ、20年1月末の0.7%のキャッシュ比率を2月末には一気に31.2%まで高めました。早めに動いたことで、他のファンドに比べて損失を防げたようです。早めに切れば、早めに再参入できます。ちなみに、「ひふみ投信」の22年3月末のキャッシュポジションは6.2%です。

※参考:「ひふみプラス」現金比率一段と引き下げも警戒モード継続、「10%以下に下げない」 – モーニングスター(2020年6月9日配信)
※参考:ひふみ投信 22年3月度 月次報告書(PDFファイル)

株式投信の場合は、全部キャッシュとか、全部債券に投資するわけにいきません。株式に投資するファンドですから、最小のキャッシュ比率が決められているはずです。したがって、相場波乱時には、ディフェンシブ銘柄、バリュー系銘柄などに乗り換えます。今、まさに機関投資家がこういう状態なので、グロースが下がり続けています。

ディフェンシブ銘柄というのは、景気後退時でも業績がそれほど影響を受けない業種です。たとえば、景気が悪くても、食品、薬品、電力・ガスなどの需要は生きるために必要なのでそれほど落ちません。こういう銘柄の保有比率を増やすのが、株を持たざるを得ない投資家の緊急時のポートフォリオです。景気で業績の振れの大きい銘柄は避けるようになります。

もっと詳しく知りたいなら、最小分散という考え方を勉強してみてください。日本株のベータは押さえながら、リスクを最小にするというポートフォリオの一例です。iシェアーズ 最小分散のサイトでどのような銘柄を組み入れているかもわかります。

ただ、相場崩壊時には、個人には機関投資家と違い「株を持たないという選択肢」を戦略として持てますので、ディフェンシブや最小分散を考える必要はないかもしれません。

※参考:株式運用概念の転回 最小分散ポートフォリオ – 野村総合研究所(PDFファイル)
※参考:iシェアーズ MSCI 日本株最小分散 ETF
※参考:iシェアーズ MSCI 日本株最小分散 ETF(iS最小分散)【1477】の株価チャート – 株探(かぶたん)

アドバイス3:長期の積み立て投資は継続

今までは比較的短期から中期の投資に対するアドバイスでした。長期の場合は別です。安い時こそ多く買えるドルコスト平均法が効くからです。

過去のS&P500の例では景気が底打つ5ヶ月前に買うのが一番のパフォーマンス。景気の下降は平均11ヶ月。1年後に41%、3年後に66%というスーパーパフォーマンスが出ています。これから景気が下降するとすれば、まだまだ買い始めるのは早いかもしれません。

ただ大底を当てるのは難しいので、長期積み立ては絶対に辞めないように。

Next: 絶好の買い場が来る?株価「崩壊」時に効く投資アドバイス



アドバイス4:崩壊なら絶好の買い場が来るはず

過去最大級のキャッシュポジションだったバフェット氏のバークシャー・ハサウェイも株価の下落をみて1~3月には株買いに転じました。

1~3月で約5兆3000億円買いましたが、まだ約13兆7000億円現金があります。まだ全力勝負ではないですね。あと2~3回は出動できます。

※参考:バフェット氏のバークシャー、株式積極購入スタイルに回帰-1~3月 – Bloomberg(2022年5月1日配信)

バフェット氏は、市場の崩壊時に大きな投資をすることで成功しています。リーマンショック時も、私が所属していた米系証券も含めて多くの米系証券がバフェット氏の出資を仰いで救われました。たぶん、残りの資金はそういう時待ちでしょう。バフェット氏のような資産家でないのなら、相場混乱時は大きな勝負をするべきではないでしょう。

※参考:バフェット氏、ゴールドマン株8割売却 金融危機で出資: 日本経済新聞(2022年5月16日配信)

相場が崩壊したとしたら、大きくトレンドが変わる「ターンラウンド」時に「象徴的なイベント」が置きることが多いです。もし、インフレ、金利上昇、景気減速が酷くなり相場が完全に逆回転しはじめたら、「象徴的なイベント」が買いチャンスと覚えてきましょう。

上記、平成バブル崩壊後は山一証券倒産、リーマンショック時はリーマン倒産でメディア等が暗い話ばかりしはじめたら底が近いサインです。過去の底の打ち方を参照して、チャンスを待ちたいですね。

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image by: Standret / Shutterstock.com

元外資系レジェンズ Team xoxo あなたに寄り添う投資情報』(2022年5月19日号)より一部抜粋
※タイトル・見出しはMONEY VOICE編集部による

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