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アベノミクスの今さら批判に空虚な「新しい資本主義」。希望なき参院選に投資家が心得ておくべき日本の未来=街のコンサルタント

参院選の選挙日が近づいてきていますが、世界情勢が混沌としている中で、与党も野党も中味のない論戦に終始しています。大荒れ市場に対して、日本の政治能力のなさが露呈されるばかりです。こんなときに投資家はどう行動すればよいのでしょうか?(『億の近道』街のコンサルタント)

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プロフィール:街のコンサルタント
20数年間を金融(主に証券)会社で過ごし、投資銀行業務や事業育成の業務を担当。「金融機関に籍を置く(安全な)立場で客観的なことを言うより、いっそのこと経営者と同じ立場で事業拡大のお手伝いを出来ないものか」と思い立ち、2005年春に証券会社をリタイアしてコンサルティング会社を設立。

大局観なき野党のアベノミクス批判

選挙が近づくと財源無視のバラマキ発言や憲法9条などでの無責任発が急増するのは毎度のことです(苦笑)。

今回はウクライナ侵攻を目の当たりにして社民党や共産党の自衛隊違憲発言は無くなりましたが、依然として具体性の乏しい選挙向けのスローガンに終始しています。

最近では「日銀の異次元緩和が円安を助長したために物価高を招いた、アベノミクスの失敗だ」と、これまた国民を小馬鹿にした無責任発言が増えています。異次元緩和がスタートして既に10年目を迎えているのに、今頃になって選挙演説用の無茶ぶりですから呆れます。加えてバラマキ発言のオンパレードとなっています。

一部には若年層を意識した「小出しの(笑)」若者向けバラマキ論も併用していますが、いずれにしても大局観は感じられませんね。毎度のことですが(呆)。

無責任な発言ばかりというのは党首による選挙向けであり、実際のところ所属議員や党員には真面目な方が多いとは思われますが、これはこれで問題であり、政治制度自体を改め、真っ当な論戦ができる政治態勢にせねばなりません。

バラマキ財源を大企業の内部留保への課税や金融資産課税、中小企業のためにインボイスの廃止、高所得者への増税、消費税減税…等々と並べますが、どれについても整合性が見られず、思慮の浅い大衆迎合発言でしょうか。

論理的解説も批判もないマスコミ

間接税の利点や所得税に偏る弊害、益税の問題、将来へ向けた税制の在り方やデジタル化による正確なデータの利用、行政予算の開示への言及などなど、時間をかけて議論すべき重要な論点を避けていては課題解決が進みません。

マスメディアもこれらへの論理的な解説や批判が不足しているため、いつまで経っても烏合の衆的な主張を伝えるだけの選挙・政治が続きます。

「骨太政策」とか、「新しい資本主義」とか、訳の分からんことを言ってないで、さっさと政治資金の透明化や天下りの全開示、規制緩和など、必要なことをやっていけば自然と日本は良くなります。どこの国でも落ちぶれる原因は腐敗です。

Next: 国内産業へ還元できる方法で防衛費を増額できるのか?



増額させる防衛費は国内産業へ還元せよ

個人的には防衛費の増額や若年層向けの支援は積極的にすべきと考えています。

ただし、増額する防衛費の使途については武器輸入などと並行して国内産業への貢献を踏まえて欲しいと考えています。今までのように批判を避けつつコソコソと防衛省利権を積み上げたり、文科省や経産省との縦割り利権の弊害で税金(防衛予算)を無駄に使うことは避けてもらいたい。

国防は国家の最優先課題であり、最近のロシアや中国などの独裁政権の言動を見聞きするに、従来にも増して露骨な嘘や背信行為が目立ちます。某〇-チン大統領に至っては、ほぼ全ての発言を嘘と捉えねばなりません。連中に対しては平然と嘘をつくくらいでないと相手になりません。

暴れる金融市場にはドルコスト平均法で対抗を

さて金融市場では、先週辺りから米国の急速な利上げが景気の腰を折るという考えを織り込み始めています。中国のロックダウンも先が見えません。GDP Nowでは0%の数字が出てきました。随分と変化の激しい市場です。

価格高騰による需要減少などでの資源価格の落ち着きどころや、生産の抑止などがどの程度なのか?または物価高が続き、本当にスタグフレーションへと進むのか?今はとても微妙な時期と考えています。

投資については底値を買うことはできませんし、高値を売ることもできません。偶然の結果としては起こり得ますが…。

やはり、様々な日々の出来事や発言を気にするより、まずは自身の分析を基に「資源高はそろそろピークかも」「この会社の収益はそろそろボトムかも」という判断を基準として、底値圏であると考えられる対象に、少しずつ(ドルコスト平均法で)分散投資をするという粘り強い投資をしていかねばなりません。

余談ですが思い付くままに…無茶な資源高はいつまでも続かない、政治的対立は続く、脱炭素投資は続く、自動車のEV化や半導体生産の増加は続く、中国やインドなどは西欧よりエネルギー資源を安く手に入れ続ける、これから食糧難が拡大する、日本の少子高齢化は
続く…といった基本構造は当分変わらないとの前提で考えています。

Next: G7の小出し支援では、ウクライナ戦争を終わらせられない



G7の小出しの支援にイラつくウクライナ

それにしてもと。G7諸国による経済制裁に即効性はありませんし、まだ資源エネルギーを大量に輸入しており、かつ抜け穴もたくさんあります。小出しの支援とパフォーマンスばかりのG7首脳にウクライナの人達は苛立っているのではないでしょうか。

ロシアはウクライナ側が音を上げるまで無差別攻撃を続けるでしょうし、弱ってくれば東部地域に限らず、いくらでも侵攻してくるはずです。敵基地を攻撃できなければ、ひたすら弾を撃ち込まれるだけの守勢ですから、戦うにも限界があります。にもかかわらず、なぜに敵基地を攻撃できる長射程や高度な武器を急いで供与しないのか?

ウクライナ軍が善戦することなく膠着と後退を続けている状況では、世界からの関心も薄れ、支援疲れが出てくることは目に見えています。避難民も国に帰れません。NATOの中核である西欧主要3カ国は、ロシアからの資源輸入を維持したいがために、ウクライナが戦争で荒廃しても構わないと考えているかのようです。

資源の乏しい日本こそ他人事ではありません。

この選挙戦においても国民は本気の政策論争を切望しています。

手遅れになる前に。

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image by:Ned Snowman / Shutterstock.com

億の近道』(2022年6月30日号)より一部抜粋
※タイトル・見出しはMONEY VOICE編集部による

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