ドル円は米債金利の上昇の後押しを受けていとも簡単に137円にタッチする動きとなりました。しかし、その後は3歩進んでは2歩下がるような推移で、4月の相場なら3日と明けずに簡単に140円に到達しそうな状況は残念ながら足もとには存在しないのが現実です。ドル円で半年近くトレンドが継続するというのは、過去20年でもほとんどなかった状況です。そのため日柄的に上昇の終了がやってくることも意識すべきです。(『今市太郎の戦略的FX投資』今市太郎)
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米ドル円はとうとう一時137円に到達
史上最短とも思える梅雨明けによるいきなりの猛暑にかまけているうちに、ドル円は米債金利の上昇の後押しを受けていとも簡単に137円にタッチする動きとなりました。
米ドル/円 日足(SBI証券提供)
しかし、その後は毎回お伝えしているとおり往年の水前寺清子の『365歩のマーチ』のように、3歩進んでは2歩下がるような推移で、4月の相場なら3日と明けずに簡単に140円に到達しそうな状況は残念ながら足もとには存在しないのが現実です。
ただ、日銀は延々と国債の指値オペを継続中ですし、7月からは超長期の増額さえ考えている様子。
債券を通じた日銀の事実上の円安介入は続くことになるわけで、依然として140円突破の可能性は高まるものと思われます。
しかし、30日のNY市場はインフレよりもリセッションに対する警戒感が俄然高まりを見せ、米国10年債利回りは3%を割りこむというまったく逆さまの動きを示現しはじめています。
これまでのように円売りでドル高とはならない状況になることも、意識しておかなくてはなりません。
日柄的には7月中に突破できないと反転下落の可能性が高まる
7月は、21日に日銀の政策決定会合があります。
ここで何も「政策変更なし」となれば、毎回お馴染みの火柱高のドル円上昇が期待できそうですが、果たしてそれがドル円のどの水準で起きることになるのか。
それによって140円ぎりぎりの突破になることもあるでしょうし、逆にさらに上値を試すこともありそうな状況です。
Next: 米財務長官イエレンが緩和継続を命令するため訪日?突然の円高に要警戒
イエレンが日本に「緩和継続」を命令か
7月初旬には、あのイエレンが来日するようです。
米財務長官のイエレンは、このまま世界の金融市場の流動性確保のために「日本には死ぬまで緩和を続けて欲しい」と懇願するのか。
もうロシアも中国も第三世界も米債は買わないので、日本政府、日本の機関投資家にもっと米債を買うように促しに来るのか。
いずれにしても、ロクな話はしに来ないことが予想されます。
突然の「円高」転換に要警戒
今週のメルマガにも書きましたが、日銀がヘッジファンドの売り浴びせに降参してYCCの金利上限を上げるなどなんらかの政策変更があれば、ドル円は大きく円高になるでしょうし、それを予見させるように黒田日銀がまさかの辞任となれば、これまた円高進行、さらに米株の暴落などがあればリスクオフから円高に走ることが予想されます。
こうした材料が一切示現しなかった場合でも、ドル円はすでに4か月上昇を続けていますから、例年円高が示現しやすくなる8月前に140円を突破する動きになるかどうかが日柄から見たもう1つのポイントになりそうです。
ドル円で半年近くトレンドが継続するというのは、過去20年でもほとんどなかった状況です。そのため日柄的に上昇の終了がやってくることも意識すべきです。
7月に入りますと調整が進み130円台前半まで下押しするといったことも十分に考えられますので、ここからはとにかく買っていればそれでOKといったイージーな相場ではなくなりそうですが、7月いっぱいはトレンド継続を視野に起きながらトレードしていきたいところです。
クロス円も当然のことながらこのドル円の動きに大きく影響されますので、常にチェックしながらトレードすることが肝要となることでしょう。
Next: ドル円140円を見据えてどうトレードする?足元の投資戦略は
ドル円140円を見据えてどうトレードする?
もっと冷静な発言をしますと。137円で140円を目指しても取れるのはたった3円分です。
この上昇相場の最終曲面に参加しているというのは精神的には達成感があるかも知れませんが、ほかの場面で50銭を6回ゲットして3円分の利益を確保するほうが気楽でしかも簡単なトレードになることも予め意識しておきたいところです。
相場の上昇の最終曲面は、必ず大きな上下動をともないながら上昇するものです。
迂闊について行くと振り落とされて、結果的に大きな損を食らうこともあります。日頃にも増して注意深いトレードが必要です。
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『今市太郎の戦略的FX投資』(2022年7月1日号)より抜粋
※タイトル・見出しはMONEY VOICE編集部による
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