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利益とコストで7割を客から吸い取る日本の生命保険。マスコミはなぜこの闇を絶対報じないのか=神樹兵輔

テレビや新聞、雑誌やネットでも、生命保険の広告で溢れかえっています。なぜ、これほど広告費用をかけられるのか?皆さんが支払う保険料はほとんど還元されず、生命保険会社の利益とコストになっているからです。しかしマスコミは大スポンサー様である生命保険の批判はできない構造になっています。今回はそんな日本の生命保険の闇に迫ります。『神樹兵輔の衰退ニッポンの暗黒地図――政治・経済・社会・マネー・投資の闇をえぐる!』)

※本記事は有料メルマガ『神樹兵輔の衰退ニッポンの暗黒地図――政治・経済・社会・マネー・投資の闇をえぐる!』2022年7月25日号の一部抜粋です。ご興味を持たれた方はぜひこの機会に今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール:神樹兵輔(かみき へいすけ)
投資コンサルタント&マネーアナリスト。富裕層向けに「海外投資懇話会」を主宰し、金融・為替・不動産投資情報を提供。著書に『眠れなくなるほど面白い 図解 経済の話』 『面白いほどよくわかる最新経済のしくみ』(日本文芸社)、『経済のカラクリ』 (祥伝社)、『見るだけでわかるピケティ超図解――21世紀の資本完全マスター』 (フォレスト出版)、『知らないとソンする! 価格と儲けのカラクリ』(高橋書店)など著書多数。

日本の生命保険はコスパ最悪の商品

今回は「日本の生命保険」における闇をえぐっていきます。

ちょっと考えていただければ、おわかりになるかと思いますが、テレビや新聞、雑誌、ネットには、生命保険商品の広告が毎日のように溢れ返っています。

こんなにも膨大に生命保険商品の広告宣伝費がつぎ込まれているわけですが、いったいこうした費用はどこから捻出されているのでしょうか。

言うまでもありませんが、みなさんが支払う保険料からです。

みなさんが月々支払う生命保険料の大部分が、あなたの万一の時の補償に使われる金額よりも大幅に多く、顧客獲得のための広告宣伝費をはじめとする、もろもろのコストとして費消されているのが実態なのです。

つまり、その分あなたの万一の時の補償を極小にさせるというのが、日本の生命保険商品の設計ベースになっているのです。生命保険加入者と保険会社はまさしく「利益相反」の関係です。

いかに日本の生命保険が、コストパフォーマンスにおいて最悪の商品であるかがわかります。

つまり、日本の多くの生命保険商品は「無駄の塊」なのです。

支払保険料のうち、万一の補償に回る部分は非常に少なく、保険会社の販売コストや利益に多くが消え去る仕組みだからです。

このことに早く目覚めていただき、ご加入の生保商品をさっさと解約し、しかるべき有効な対策を講じていかないと、貯蓄も投資もおぼつかないこととなるでしょう。

これから先もずっと、割高な保険料を数十年も払い続けるのは愚の骨頂といえるからです。

大スポンサー様の生命会社の闇を暴かぬマスコミ

公益財団法人・生命保険文化センターが、3年毎に行っている調査によれば(令和3年度=2021年度)、生命保険の世帯加入率は89.8%、世帯の年間払込保険料は37.1万円(月間平均30,916円)になっています。これは家計における住宅ローンに次ぐ多大な出費といえます。

日本人の生命保険好きが見て取れますが、ピーク時の1997年には、世帯平均で67万円(月間平均55,833円)も払い込んでいたのですから驚かされます。

日本の生命保険料は、欧米諸国と比べても非常に割高ですが、マスメディアはスポンサータブーなので、そんな記事は掲載しません。

唯一、毎日新聞が2001年8月5日付の記事で、欧米の同内容の生命保険商品と比べて、日本の生保商品は、2~3倍も保険料が高いと報じた事例があるくらいです。これはこれで業界を震撼させました。

欧米の生命保険料が安いのは、事業管理コストが日本と比べて大幅に安いのと、資産運用利回りが高いことが指摘されています。それに対して日本の生保会社は、人件費や広告宣伝費に対してべらぼうなお金を使っているからです。

テレビやネットには生命保険の広告が垂れ流されていますが、ゆえにマスメディアは生命保険商品を批判することが出来ません。

記事として報じるにしても、似たような内容の商品をいろいろなメリット中心に据えて比較し、こことここがこの生保商品の特徴などと、それぞれを玉虫色にランキングして並べたりするぐらいです。

むしろ、こうした記事においては、マスメディアは生保会社の広告宣伝の片棒を担いでいるのが実情です。

こうした高額の広告費や人件費(生保社員の給与、販売外務員・販売代理店などへの手数料や奨励金など)の経費に、加入者がせっせと払い込んだ保険料の多くが流されます。

そして、肝心の加入者が万一の時の補償分は僅かです。どれだけの方がこのことを認識されているでしょうか。

つまり、民間の保険は、加入者の万一の時の安心を得るための「相互扶助」ではなく、日本では企業の金儲けのために利用される「騙しの商品」になっているわけです。

Next: 大手生保商品は「利益」と「コスト」で7割を客から吸い取る



大手生保商品の「利益」と「コスト」は約7割

たとえば、30歳男性の保険期間10年での死亡保険金3千万円の大手生保の月額保険料は、7,000円前後ですが、加入者の万一の保障に回される「純保険料」の比率は、35.2%程度しかありません。飲食店の食品原価並みのレベルなのです。

残りの64.8%が「付加保険料」と呼ばれる保険会社の利益とコストに消えるのです。

ネット生保での同内容の保険なら月額保険料は3200円前後ですが、それでも万一の時の補償に充てられる「純保険料」に相当するのは77%ぐらいにすぎません。

利益とコストに相当する「付加保険料」が残りの23%にもなっているのです。

このようにネットの生保商品のほうが、「付加保険料」相当分が低く、まだましな補償といえますが、ネット生保であってさえ、2割以上が利益やコストで消えているのです。

これでは到底、日本の生命保険は、「相互扶助」が反映された商品とはいえないでしょう。

保険会社が、営利を目的とする限り、加入者とは「利益相反」の関係になるよりないからです。

生命保険業界の悪辣手口の数々

保険商品の「利益相反」のよい例が、保険会社の加入者への保険金不払い事例です。

保険加入時には、さまざまな特約を付けるべく販売側は薦めますが、2001年から2010年までの10年間で、金融庁が把握した保険金の不払い事例は116万件、総額は1,136億円にも上りました。

保険会社は管理体制がアバウトで、「加入者から特約の請求がなかったので、保険金の支払いを見逃した」などとトンデモナイ言い訳をしたものでした。

こうした杜撰で悪辣な体質は、医療保険の契約においても見られます。

契約書には、ものすごく小さな文字で「脳卒中で倒れても、医師の診断後60日以上にわたって言語障害などの後遺症が続かなければ保険金の支給は対象外」などとなっているのです。

脳卒中で倒れても、保険金がスンナリ降りるわけではないのです。こんな付帯条件だらけの医療保険にメリットがあるでしょうか。

その他の疾病についても、かくも同様の厳しい補償制約の諸条件が付いています。一度、契約書面をつぶさにチェックすることをおすすめします。

民間生保の医療保険は、イザという時でさえ、頼りにならない条項だらけだからです。

Next: そもそも医療保険など日本では必要ない



そもそも医療保険など日本では必要ない

そもそも医療保険など日本では必要ないのです。

日本の公的な健康保険制度には「高額療養費制度」があり、どんなに高額の医療費がかかっても、平均的な所得の人では月額10万円以内の医療費負担になるよう、後から健保組合が医療費を補填してくれる仕組みがあるからです。

こうした公的健保制度の「高額療養費制度」について、説明してくれる生保販売に携わる人は、まずいないでしょう。

医療保険の契約が取れなくなるからです。

近年では「保険の見直しサービス」などと宣伝する保険代理店もありますが、30~50社の保険会社と提携し、それらの生保商品の中で一番高い販売手数料の生命保険を薦め、当初2年間で月々の保険料の40~50%もの手数料バックを得ています。

中には、2年間で保険料額の100%バックの高額手数料が稼げる商品もあり、2年毎に保険を解約させ、新規加入させる手口が横行しています。

生命保険の販売手数料は3年目からガクンと下がるからなのです。

加入して、2年経ったら、「このたび、新しく、素晴らしい商品が発売されましたので、乗り換えのチャンスです」などと、持ちかけて、新商品に加入させるのが、お馴染みの手口になっています(2年以内に解約されると、ペナルティで販売員の手数料がマイナスになる)。

世界最高水準のコスパの都道府県民共済「生命共済」

こうした生命保険に入るぐらいなら、保険と同内容ではありませんが、「共済」に加入したほうが 最強のコスパ になります。

共済組合には、全国64団体ありますが、保険的意味合いでの補償共済で有名なものには、都道府県民共済、JA共済、全労災、……などがあります。

ここからは、都道府県民共済の草分けでもある 埼玉県民共済 の事例で説明いたします──

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2022年7月配信分
  • 日本の生命保険は加入者とは「利益相反」の矛盾だらけの高額で無駄な欺瞞商品!(7/25)
  • 「ふるさと納税」は金持ち優遇で税金の無駄遣い! ただちに廃止すべき、その理由!(7/18)
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※本記事は、神樹兵輔氏のルマガ『神樹兵輔の衰退ニッポンの暗黒地図――政治・経済・社会・マネー・投資の闇をえぐる!』2022年7月25日号の一部抜粋です。ご興味を持たれた方はぜひこの機会に今月分すべて無料のお試し購読を

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神樹兵輔の衰退ニッポンの暗黒地図――政治・経済・社会・マネー・投資の闇をえぐる!』(2022年7月25日号)より一部抜粋
※タイトル・見出しはMONEY VOICE編集部による

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1990年のバブル崩壊から続く「失われた30年」を経て、ニッポン国の衰退ぶりは鮮明です。デフレ下でGDPは伸びず、賃金は上がらず、少子高齢化で人口は減り、貧富の格差も広がりました。いったいどうしてこんなことになったのでしょう。政治、経済、社会、マネーや投資に瑕疵があったのは否めません。本メルマガは、そうした諸分野に潜む「闇」を炙り出しグイグイえぐっていこうとするものです。

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