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食品値上げ、8月中に2万品目突破の公算。円安が招く過去最悪の「値上げの秋」。最低賃金は過去最大の引き上げも「焼け石に水」か

物価高が叫ばれて久しい今日この頃だが、今年に入ってから値上げされた食品や飲料の品目数が、この8月中に2万品目を超えるのが確実な情勢だと報じられている。

これは帝国データバンクが、上場する食品メーカー主要105社における価格改定動向について調査した結果、判明したもの。それによると、今年7月末までに累計1万8,532品目で値上げが判明し、この8月も2431品目の値上げがあるとのこと。

各品目の価格改定率(各品目での最大値)は平均で14%となり、6月末時点からさらに上昇しているとのこと。食品分野別では、水産加工品やハム・ソーセージなどの加工食品が7,794品目と最も値上げが多く、値上げ率は平均で16%に達するという。他には酒類や飲料が15%、ドレッシングやマヨネーズなどの調味料も14%と、高い値上げ率となっているようだ。

今年10月には6,305品目で値上げの計画が

このところは食料品以外でも値上げの話は続出しており、PCメーカーのエプソンは今年9月からPC製品38製品を最大約15%値上げするほか、パナソニックも今月1日から、冷蔵庫などの出荷価格を最大で約2割値上げしたとの報道が。これらの家電製品の値上げは、銅やアルミなどといった原材料の高騰、さらに半導体不足の長期化が影響しているようだ。

いっぽうで、先述した食料品の物価上昇に関してだが、その理由として昨年から言われてきたのは、小麦や油脂の世界的な価格高騰、そして原油価格の高騰による物流費や包装資材などの値上がりだった。

ところが、これらの原材料費の高騰にくわえて、ここに来て急激な円安による輸入コストの上昇が、値上げ理由として挙がるケースが増えているとのこと。さらに、このところ様々な物品で値上げが相次ぐなかで、各社の間でも値上げに対しての抵抗感が薄まっているとの見方もあり、そのことも相次ぐ値上げに拍車をかけているようである。

実際、先述した帝国データバンクの調査によると、来る今年10月には食料品だけでなんと6,305品目で値上げの計画があるとのこと。昨年も同じようなことが言われていたような記憶があるが、今年も「値上げの秋」となることは確実といった情勢だ。

SNS上では、今年に入り食料品で値上げされた商品が2万品目にも及ぶという衝撃な調査結果に対して、逆に「いっそ値上げしない商品を教えてくれ」といった声も飛び出す状況。また、原因が原材料費の高騰ならまだしも、政府や日銀があえて招いた感のある昨今の円安が、値上げの理由となっている点に関しては、納得がいかないといった声も多いようだ。

最低賃金30円アップも「全然足りない」の声

このように度重なる値上げが家計を直撃するなか、厚生労働相の諮問機関である「中央最低賃金審議会」の小委員会は、2022年度の最低賃金の引き上げ幅に関して、過去最大の上げ幅となる「30円以上」とすることで最終調整に入ったと報じられた。

毎年、この時期に決められている最低賃金の目安だが、今年は円安などによる物価高騰もあり、労働者側から大幅な引き上げを求める声があがっており、そういったことも考慮したうえでの今回の上げ幅となったようだ。

とはいえ、昨今のあらゆる品目での値上げやその価格上昇を勘案すれば、時給で30円の賃上げぐらいでは全然足りず、焼け石に水だという声も。

確かに超ザックリと計算しても、仮に時給が30円アップしたとして、1日8時間労働の月20日勤務なら月に4,800円ほどの賃上げ。それに対して、昨今の食料品の値上げ率は先述の通り平均14%となっており、よほど食費を切り詰めている家庭でない限り、時給の30円アップぐらいでは値上げ分のカバーは到底困難のようだ。

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SNS上では、他国における最低賃金と比較するとともに、わずか30円のアップで“過去最大”と大騒ぎしている日本の状況を憂う声も。今月から導入のショボすぎる「節電ポイント」の際にもあった、政府は困窮する国民を救う気が本当にあるのかとの声が、今回の件を機に再び噴出しているといった状況だ。

Next: 「300円あげて欲しいくらいだ」



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