中国が金利据え置きの予想に反して「利下げ」に踏み切りました。「緩和を行えば買い」というのがここ最近のトレンドですが、今回の中国の緩和は対策が十分なのか否かが問題です。十分だとマーケットが判断すれば、中国株は続伸するでしょうが、しなかった場合、「日経はひどいことになるよ」ということです。すなわち、中国株が上伸してこないと、また日本株は売られることになるでしょう。つまり、日本株の上昇などは「フェイク」の可能性の方が高いのです。(『 角野實のファンダメンタルズのススメ 角野實のファンダメンタルズのススメ 』)
※本記事は有料メルマガ『 角野實のファンダメンタルズのススメ 角野實のファンダメンタルズのススメ 』2022年8月16日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め 今月分すべて無料のお試し購読 今月分すべて無料のお試し購読 をどうぞ。
プロフィール:角野實(かどの みのる)
大学卒業後、金融機関に10年ほど勤務。独立して投資家の道へ。現在は企業経営者として活動、FX関連の執筆を多数行っている。
中国、予想外の利下げへ
中国が利下げを行いました。その結果、市場金利は以下の通りに。
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— 角野實 (@ytk172jp) August 15, 2022
歴史的にみてもかなりの低水準となりました。
数字的には悪くはないと思いますが、6月からの上海ロックダウン解除後から経済が再開すると思われたのが、予測以上に伸び足が鈍化しています。おそらく、上海以外の地域でいまだにロックダウンが解けていないのでしょう。
誰にもわからぬ中国経済の実態。数字で推し量るしかない
中国のことを語る輩は非常に多いのですが、そもそも中国の状態は共産党の幹部以外、誰もわからないことなので、こうして中国の状況は数字で推し量るしかありません。
上海が中国一の経済都市であることは否定はしませんが、中国全体の経済活動状況などは誰にもわからない、ということです。このことをもっと認識すべきだと私は思います。
隣国で、これほどまでにわからない国というのも珍しく、1970年代の国交正常化のときよりはわかるようになってきましたが、いまだにベールに包まれているということです。
同様にロシアも同じで、これだけ国土が広いと掌握しきれません。
Next: 3月から続く円安は終焉?為替への影響は
3月から続く円安は終焉?為替への影響は
まず、為替に関して記していきましょう。
世界の基軸はドルです。それに対抗するのはユーロになるのですが、ここ最近のユーロ相場の下落によって、世界経済規模のランキングは「1位:アメリカ、2位:中国、3位:ユーロ圏」となっています。従前までは、「1位:アメリカ、2位:ユーロ圏、3位:中国」でした。
つまり、為替の世界では「ドルが強くなれば、ユーロは安くなる」というのが定説となっていたのですが、ここ最近は「ドルが強いと、ユーロと元が安くなる」という構造変化が起こっているのです。
為替市場は「ドル高→ユーロ安」から、「ドル高→ユーロ安・人民元安」という形に変化をしています。もちろんこれがドル安になれば、反対方向になります。
今回の場合、中国が利下げになり、金利が低水準に移行をしましたので、金利狩り(イールドハンター)と言われる人たちは一斉に中国から逃げ出し、金利の高いアメリカやオセアニアに逃げることになると思います。
つまり人民元安は放置される、ということになります。
上記は世界的な流れで、ローカルの流れになれば、「人民元安→円高」ということになることは以前から言っています。
つまり、アジア地域内では人民元安になれば、円高になる傾向があります。3月から続く円安の流れはこれで終焉の可能性もあることを念頭に置いてください。
3月からの円安というのは、ドル高人民元高によってある意味示現された相場であり、その片割れの人民元高がほぼ解消をしたことになりますので、大幅な円高にはなりませんが、円安の要因が1つ消えたことになります。
円が急騰するのには、ドルが安くなることが見込まれればよい、ということだけです。
では、総合的に考えると「人民元安→ドル高(グローバル)・円高(ローカル)」という動きが基本になるのではないか、と思います。
ドル高・円高ですので、クロス円は下がりやすくなります。ドル高・円高なのに、なぜ株価(日経)は高いのでしょうか?(笑)
この人民元安、中国市場オープンで一息はつくでしょうが、息の長いものになりそうな予感もあります。
Next: なぜ日本株が買われる?チャイナ・ショック再来となるか
なぜ日本株が買われる?株式市場の焦点
上記で示した中国金利の状態もひどいのですが、株式市場、香港、上海の状態もひどい状態です。世界全体の状況をみていきます。
明確に回復をしているのは日本だけですので、日本株が買われています。アメリカは2期連続マイナスですが、前期よりは回復しています。ユーロは横並びですが、今後インフレの影響が出てきます(天然ガスが再度、高値圏内です)。中国は悪くなったばかりです。
言えることは、買えるのは日本だけ。しかも円高になってきましたので、外国人は安心して買える状況になっています。
日本株の上昇は「フェイク」?
中国株は、今回の利下げという緩和によって、資金調達がしやすくなり、そして輸出も回復することになるでしょう。しかし、これは、悪いから緩和を行ったのであり、今後、その効果は数字を見ることによってしか確認ができません。
日本株はおそらく、中国が待望の緩和を行ったということから、中国経済に大きな影響を受ける日本が続伸とは言い難い状態にあると考えるのが妥当でしょう。すなわち、中国株が上伸してこないと、また日本株は売られることになるでしょう。
つまり、日本株の上昇などは「フェイク」の可能性の方が高いのです。
「緩和を行えば買い」というのがここ最近のトレンドですが、今回の中国の緩和は対策が十分なのか否かの問題です。
十分だとマーケットが判断すれば、中国株は続伸するでしょうが、しなかった場合、「日経はひどいことになるよ」ということです。
Next: 中国の利下げをどう見るか?中期的には中国株は「買い」だが…
チャイナ・ショック再来も
中期的な見方は中国株は買いになるでしょうが、それはあくまでも経済の数字が今回の緩和によって戻った場合のみ、です。
戻らなかったら、中国発の株価急落場面になる可能性があるということです。現時点で安易に「買いだ」なんて言えない状態です。
世界の経済に浸透しているチャイナパワーが、今回はどうなるのか、というのが一番の問題です。
中国パワーは欧州でも浸透しているのに対し、ジャパンパワーは欧州ではそれほどでもないという事実をきちんと認識すべきです。
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- 中国経済、米国経済(8/17)
- チャイナショック再来?(8/16)
- 資金需要が活発になる?(8/15)
- CPIとPPIの低下(8/12)
- 労働コスト上昇(8/10)
- インフレ率はマーケットで上昇するというが(8/9)
- インフレ懸念よりもデフレ懸念の方が高くなってきています(8/8)
- 雇用統計の結果がなぜわかったのかの話と今後(8/7)
- 金利は反転上昇へ(8/5)
- 貸出基準金利も急騰(8/4)
- ようやくドルが戻る(8/3)
- マーケットは中国に注目をしています(8/2)
- 中国経済はやはり問題あり?(8/1)
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- ドルは反転上昇するであろう(7/29)
- FRB議長発言と乖離するマーケット(7/28)
- ユーロ危機再来(7/27)
- きのうは円安ドル安(7/26)
- 金利の話が注目されています(7/25)
- 今週もドル安でしょう(7/24)
- なぜドル安になるのか、そして今後は?(7/22)
- 米2年債が急騰しています(7/21)
- ドル安とドル高にマーケットは左右されている(7/20)
- 短期的な見通しの変更(7/19)
- もう一度大きな流れの確認と読者の方からご質問がありました(7/18)
- 今のマーケットはどうなっているのか?(7/17)
- 民主主義と宗教、そのほかサウジの石油増産など(7/16)
- 失業保険申請者数とドル(7/15)
- 消費者物価指数から米国経済をみていきましょう(7/14)
- いろいろな計算方法(7/13)
- なぜドルは急騰するのか?(7/12)
- 悲しい事件があっても前を向く 明日はきっとよくなるさΣ(・ω・ノ)ノ!(7/11)
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- マーケットの流れを考えてみよう(7/5)
- そんなに下がらないとは考えています(7/4)
- 今のマーケットはどうなっているのか?(7/2)
- 7月これからどうなるのでしょうか?(笑)(7/1)
『
角野實のファンダメンタルズのススメ
角野實のファンダメンタルズのススメ
』(2022年8月16日号)より一部抜粋
※タイトル・見出しはMONEY VOICE編集部による
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