マネーボイス メニュー

米国市場ついにメルトダウン。予想を越えた消費者物価指数の上昇で投資家の金利ピークアウト論への期待が完全崩壊=新天地

8月のCPI(消費者物価指数)の予想外の悪化で、米国市場はメルトダウン。リバウンド無きまま「パウエルショック」級の下げ、金利ピークアウト論は完全崩壊してしまった。(『新天地の株式投資日記』)

【関連】米国株式市場は“異常な金融引き締め”に耐えうるか?「先行銘柄」とインフレ・ウクライナ・半導体で読み解く22年後半相場の行方=新天地

※本記事は有料メルマガ『新天地の株式投資日記』2022年9月14日号の一部抜粋です。興味を持たれた方は、ぜひこの機会に初月分無料のお試し購読をどうぞ。実際に配信されたサンプル号もお読みいただけます。

プロフィール:新天地
祖父の影響で子どもの頃から株の売買を行う。証券会社で自己売買業務を経験後に退社、現在はデイトレーダー。メルマガでは主に脱初級・中級者向けに、東証・NYの市況(市場雑感)、相場の考え方、取引手法などを解説。一般に書かれることが少ない空売り戦略や取引アルゴリズムに関してもプレーヤーの立場から丁寧にフォローする。

米国市場はメルトダウンとしか言いようない

NYは8月分のCPI(消費者物価指数)の「予想外の悪化」によるクラッシュ・メルトダウンになった。ほとんどリバウンドのない大陰線で下げ、「パウエルショック」(ジャクソンホール演説)級の下げになった。ダウは今年最大の1000ドルを超える下げ、ナスダックの下げ率も今年最大で5%を超えた。

昨日の夜メルマガで速報したように 「予想外」にCPI、とくに原油や食量などを除いた「コア部分」が悪化。数字が出る前は「ピークアウトを示す」数字が出るんじゃないかと期待していたマーケットに、バケツで氷水を大量にぶっかけたような相場になった。

CPI、前年比8.1%増加予想が8.3%増加。 コア部分が6.1%増加予想が6.3%増加

要するに原油が下がったから全体としては先月よりは良化したけど、それ以外の部分が悪化した。

これでは目先も利上げは緩められないし、さらに利上げ局面が長引く、あるいは利上げが止まったとしても、その状態が長く続かざるを得ないんじゃないか?そういう悲観論が一気に力を増した。

タカ派発言後に関わらず予想以上の物価上昇

タカ派が先月上旬以降、ジャクソンポールのパウエル公演、先週のパウエルの発言を含めて「少々物価のピークアウト感が出たって利上げは続くよ」って言ってる中で、株価は値を保ってたというか「物価ピークアウトの方向性を期待して株価は上げてた」。にもかかわらず、ピークアウト間のかけらもない数字が出てきたことで「これはたまらん」という感じで株が売られた。

CMEのFedWatchによれば、FOMCの利上げの確率はCPIの発表前は「0.5%利上げ確率10%、0.75%利上げ確率が90%」というのがマーケットの読みだった。 しかし原稿執筆時点(AM5:10)では「0.75%利上げ確率が68%、1.00%利上げ確率が32%」と大幅に利上げに対する警戒感が増す結果になった。

参照:Stay up-to-date with the latest probabilities of FOMC rate moves with the CME FedWatch Tool.-CME Group

これに合わせて金利は長短共に上昇。特に2年ものの上昇が大きい。 さすがにこうなると株価はたまらない。みんなまとめて投げ売り状態、いつものアメリカ人楽観的だから、の買いも入らなかった。

Next: 時価総額の高い株が総崩れ



時価総額の高い株が崩壊

いつも通り、 急落には時価総額の大きな銘柄を売ることで指数に負けないようにする 、という機関投資家の動きが活発になった。

テスラが4%の下げ、アップル5.9%、アマゾン7.0%、マイクロソフト5.5%、メタ9.3%、アルファベット5.9%の下げ。

テスラ<TSLA> 日足(SBI証券提供)

Amazon<AMZN> 日足(SBI証券提供)

メタ<META> 日足(SBI証券提供)

インフレなら消費関連でもあるAmazonの下げがキツくなるし、景気悪化なら広告収入に頼るメタやアルファベットがきついだろう、というのが数字に出てるのが面白い。

半導体価格も下落予想/h3>

セクター別で商いを伴って下げがきついのは半導体。 何回も書くけど、今までは「需要の価格弾力性が低い」ことで需要が供給を上回っていた結果「数量も価格も大きかった」。

しかしインフレで需要が減少したらその分数量の減少に加えて、価格の低下が大きいだろう、という読みが出てくる。当然売り上げが減りそれ以上に利益が急減するだろうと。エヌビディアは9.5%の下げ、AMD8.9%下げ、インテルは売買代金11位に入って7.2%の下げ。メモリのマイクロンも7.4%の下げ。

エヌビディア<NVDA> 日足(SBI証券提供)

SOX指数は実に6.18%の下げ。ほとんどリバウンドのない大陰線の下げになっている。

SOX構成銘柄ではASML6.7%の下げ、AMAT6.1%下げなど半導体製造装置株がメモリ・ロジック半導体の下げに続く。

グロース株の下げもきつい

どうしてもグロースの下げがキツくなる。

ネットフリックスが7.8%下げ、アドビ7.0%下げ、ペイパル2.7%下げ、スノーフレーク4%の下げ、ショッピファイ7.0%下げ、ブロック7.5%下げ、コインベース8.8%下げジースケイラー6.4%下げなど。

貸出減予想で下げる銀行株

金利は上昇したが「利鞘拡大メリットよりも不景気になって貸出が減るデメリット」を反映して銀行が下げる。JPモルガン3.5%安、バンカメ3.6%安。

インフレ、景気悪化の予想で消費関連も下げる

インフレの景気悪化側面を捉えて消費小売関連下げる。コストコ5.4%安、ホームデポ6.6%安、ビザ3.3%安。景気敏感もボーイング7.2%安、3M3.0%安。

ディフェンシブも「価格上昇には弱い」。J&J2.6%安、ペプシ3.7%安、コカコーラ3.2%安、ユナイテッドヘルス3%安

個別では創業者の辞任が発表されたペロトン10%安。

有料メルマガ好評配信中!初月無料です

【関連】個人をカモる機関投資家の“罠”はしたたか。株売り抜けのシグナルは最高値圏で現れる=新天地

(筆者注:このメルマガは新天地の考え方を書いたもので、特定の銘柄及び指数に関する商品の売買を推奨または指示するものではありません。銘柄の値動きについては想定と違う場合もあります。投資される場合は読者の方独自の責任で

シェアランキング

編集部のオススメ記事

この記事が気に入ったら
いいね!しよう
MONEY VOICEの最新情報をお届けします。