マネーボイス メニュー

日経平均インデックス投資でも勝てる無敵の超長期投資。投資経験ゼロの人でもわかる株式投資のメリットとは=山本潤

投資未経験の人が資産を形成するには、10年以上にわたりコツコツと投資を続ける長期投資がオススメです、とくに色んな種類を集めたインデックス投資では、リスクはかなり軽減されます。今回は日経平均に連動したインデックス投資をしていた場合に、どのような結果になったのかを3つのポイントで解説します。(『億の近道』山本潤)

【関連】仕事は60歳でスパッと辞めよ。人生100年は嘘、死ぬ間際に後悔しない「FIRA60(ファイラ60)」の人生プラン=榊原正幸

プロフィール:山本潤
セゾン投信株式会社 国内株式運用部長 ポートフォリオマネージャー

株式の特徴は、定期的な配当収益が期待できること

株式という投資対象についての特徴を少し述べてみます。

株式会社は株主から集めた資本を活用して、事業を営む事業主体といえるでしょう。事業からの収益が上がれば、株式会社から株主へ投資に対する見返りである配当が支払われます。

株式投資の際立った特徴は定期的な配当収益が期待できることです。

ゴールドや原油などの商品投資には、このような利益分配の手段である配当がありません。

配当による収益をインカムゲインと呼びます。

インカムゲインは基本的に毎年、あるいは半期ごとに支払われます。累計すれば配当額は積み上がっていきます。

ただし、インカムゲインは年間数%に過ぎず、一方で株価の値動きは年間数十%に達することがあります。

投資家の多くは株価にだけ感心がある

投資家の多くは配当よりも株価に関心があります。

株価の値上がり益はキャピタルゲインと呼ばれます。

もちろん、キャピタルゲインも大事なのですが、長期の保有になればなるほど、インカムゲインの重要性は増していきます。配当が累積していくからです。毎年のインカムゲインの積み上げが資産形成には着実に効いてくるのです。

短期の株式投資家は、配当よりも株価のことを気にしますが、残念なことに株価の値上がり益であるキャピタルゲイン、つまり株価値上がり益の予測はとても難しいものです。株価は法則性なく、日々動いてしまいます。

株式投資は、預金とは違い元本は保証されません。

キャピタルゲインがどうなるかは相場の環境にも左右されます。

インカムゲインについては、株価ではなく事業の環境に左右されます。景気動向や競合状況の変化に業績が影響を受けてしまいます。

当然、不景気には収益が上がりにくくなります。そのため、業績が悪化すれば配当を支払う余力が減少してしまうのです。

配当は約束されたものではありません。収益が運よく出れば、その範囲で配当を得られるという類のものです。企業の中には恒常的に事業が赤字の企業も存在します。そうした「万年赤字」の企業では、配当を期待することはできません。

Next: 代表的な日本株インデックスの配当は長期なら右肩上がり



日本の上場企業の配当はどうなっている

日経平均などの代表的な日本株インデックスの配当は、10年20年という長期で見れば右肩上がりなのです。

例外的に不景気には配当が下がることもあります。

さすがにリーマンショックやコロナショックの時には、配当は一時的に下がりました。配当は業績が下がると下がってしまう場合が多いのです。

しかし過去を見ると、インデックスの配当がゼロにまで落ち込むことはありませんでした。個別株では業績によっては無配に転落するものもあります。

ポートフォリオを組むことで、無配転落のリスクを大方回避することができるのではないでしょうか。

受取配当を再投資していく

資産形成を長期で考えるとき、受け取り配当の累計額が初回の投資額を超える時が、いつかやってくることが予想されます。

ただし、ポートフォリオ企業群の配当が、長期的に存在することが前提となります。

仮に2%の利回りであっても、再投資によって株数が複利で増えます。

今後35年間の利回りが2%とすれば、1.02の35乗を計算すると、およそ2倍になります(税金・再投資コスト等は一切考慮していません。以下同じ)

初回に100を投資して、1年後に2が配当として入ってくる。そこでこの2の配当を再投資することによって株数が増えます。

株価が横ばいならば、100に2を足した102が資産額になります。102に対して翌年配当利回りが再度2%とすれば、102の2%ですから

2.04の配当(2.00ではない!)が入ってきます。

この配当で買える分だけ再投資により保有株数が増えます。

次の年も2%の再投資利回りとすれば、そして株価が再び100だと仮定すれば、2.08円の配当(2.04ではない!)となります。

再投資時点の株価にもよりますが、2円を単純に累積していくよりも株数の増え方が大きいのです。

2の配当であれば、初期の100の投資を回収するのは50年かかります。しかし再投資によって、実際にはもう少し短い期間で株数を倍にできます。初期投資の株数が2倍になる目安は50年ではなく35年程度です。

(再投資期間は株価が低い方がよいが、株価が高い期間をあえて避けると。複利効果が犠牲になる。定期的な積み立てで株価の高い低いに関わらず再投資することで、資産形成するのが、長期投資家の基本戦略)。

1.02を35回かけることを、1.02^35と書くことにします。

1.02^35=2.00

2022年7月のように日経平均で2.5%の利回りがあると、同じ期間ではどうなるでしょうか。

1.025^35=2.37倍ですね。

配当利回りが高いと株数が増えやすいのです。

Next: 株価の上昇で配当利回りが低下しても慌てない



配当利回りの低下には注意が必要

このとき注意が必要です。初期投資の時点の利回りを2.5%としていましたが、再評価時の利回りが同様であることが前提です。再投資時点の利回りは想定できないのです。もしかしたら利回りは大きく低下しているかもしれません。その場合はおそらく、低い利回りに見合った高い株価となっているでしょう。高い利回りが持続していれば、再投資では有利になりますが、株価は下がってしまっているかもしれません。

このように利回りと株価の関係は反比例ですので、インカムゲインとキャピタルゲインを総合的にとらえるのが、トータルリターンには必要なことです。

株価の高い安いに一喜一憂するのではなく、株価が安いときには将来の利回り的に有利だと考え、株価が高いときには株が上がってよい状態だなと考えるのが、長期投資家の好ましい態度だと個人的にわたしは思います。

株価の判断は誰にとっても簡単ではなく、簿価と単に比較して株価が高いから株式を売ってしまっては、インカムゲインが入らなくなります。高い株価と思って売っても、ますます株価が高くなるかもしれません。株価のその時々の状況に左右されずにコツコツとインカムゲインを再投資し、余裕資金を定期的に追加投資していくことが、資産形成の王道だと私は考えています。

過去15年、日経平均の配当利回りは1.5%から2.5%のレンジに入っています。1990年代は1%よりも低い利回りが続いた時期もありました。

現状の利回りはかなり高い部類に入ります。

株価が動けばこの配当利回りは動きます。

また、急に不景気になれば企業の業績が落ち、配当も下がってしまうかもしれません。配当は約束されたものではありません。

配当は企業の業績に応じて株主に支払われるものです。

業績が拡大すれば配当も拡大する余地が大きくなります。

逆に業績が悪化すれば配当は減ってしまうこともあります。

日経平均、利回りの期待度は2%

そうはいっても、日本株の代表的な指数である日経平均では、概ね2%程度の利回りが期待できることを先ほど、確認しました。さらに配当がまるで出なくなるような事態には過去はありませんでした。

この2つの観察結果(いつもインデックスに意味がある高さの利回りが存在することと無配にならないこと)は重要だと、私は考えています。この事実をまずはしっかりと認識してもらいたいと思うのです。

さらに、3つ目の重要な観察結果として、配当は時間を経るにつれて成長するという事実です。前述「日経平均配当推移」のグラフによれば、1993年日経平均の配当は100円程度でした。それから30年弱経過した2022年3月現在、625円の配当水準になっています。

無論、リーマンショックのような景気悪化局面では、配当が減少することもあります。増配や減配を繰り返しつつも、長期では配当が数倍規模に成長していることを事実として認識をしていただきたいのです。

過去データより日経平均の3つの重要な観察

1)直近15年配当利回りは、2%プラスマイナス0.5%で推移
2)日経平均の配当は無配になることはなかった
3)配当は30年で6倍になった(年率の配当成長率に換算して6%程度)

これら3つの観察結果について、私の感想を次回、述べていきます。

【関連】育休を取らない男は1億円の損。改正育休法で会社員に明暗、育児専念に6つの効用=午堂登紀雄

【関連】「専業主婦の妻が働かない…」夫のボヤキが完全に間違っているワケ=山本昌義

【関連】10年後の日本を襲う在宅ホームレス問題。引きこもり老人が年金を食い尽くす=鈴木傾城

image by:Number1411 / Shutterstock.com

億の近道』(2022年7月26日号)より一部抜粋
※タイトル・見出しはMONEY VOICE編集部による

無料メルマガ好評配信中

億の近道

[無料 週3~4回]
個人投資家の方にも機関投資家並み、若しくはそれ以上の情報提供をするのが目的です。株式で「億」の資産形成を目指しましょう!我々マーケットのプロが導きます。各種コラムが大好評!内容に自信アリ。

シェアランキング

編集部のオススメ記事

この記事が気に入ったら
いいね!しよう
MONEY VOICEの最新情報をお届けします。