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アイリスオーヤマ、中国から国内へ生産シフトの動き。円安下で他企業も追随すれば内需拡大…と期待の声も、政府は「海外進出支援」とまさかの逆行

仙台市に本社を構える生活用品メーカー「アイリスオーヤマ」が、現在中国で行っているおよそ50種類におよぶ製品の生産を、コスト削減のために国内の工場に移すことを決めたことが、大きな反響を呼んでいるようだ。

報道によると、国内にある3つの工場に移されるのは、衣装ケースなどプラスチック製の収納用品の生産。原材料価格の高騰や円安の長期化の影響で、中国での生産コスト、さらに日本への輸送にかかるコストが上昇していたのだという。

中国から日本国内に生産を切り替えることで、およそ2割のコスト削減が見込めるということ。同社では今後、園芸や除雪用品の生産の移管も検討しているようだ。

「安い日本」を象徴する出来事に悲観する声があがるも…

製造コストを抑えるために、日本企業が人件費などが安いアジアなどの海外へとこぞって進出……というのも今や昔の話。

近年では、中国をはじめとした各国で人件費が高騰し、労働力の確保が難しくなっているといった問題が大いに取沙汰されることに。その反面で、日本の賃金水準はほとんど停滞したままだったこともあり、いよいよ「海外より日本で作ったほうが安上がり」といったレベルにまで、事態が進行する格好となったようだ。

まさに、このところ度々叫ばれている「安い日本」を象徴するような出来事だということで、SNS上では「気持ちが暗くなるニュース」「物価と人件費の安い国、日本」などと、悲観的に捉える声が多くあがっている状況。

さらに、今回アイリスオーヤマがこのような決断を下したということは、今の円安がこの後も長期的に持続すると同社が見越していることの現れであるということで、そのことに関しても「結構衝撃的」などといった、ネガティブな反応が飛び交っているようだ。

そのいっぽうで、これまで海外で行われていた生産が日本の工場へと戻ってくるということで、それによる国内での雇用拡大を期待するといったポジティブな見方も。

ただアイリスオーヤマに関していえば、最新できた工場などではロボットを積極的に採用した自動化が進んでいるということもあって、輸送コスト削減の効果はともかくとして、果たして日本国内での雇用拡大に繋がるのかと訝しむ声もあるなど、その反応は様々といったところだ。

円安下で「海外進出支援」を推し進める政府

このように、広く衝撃が走る格好となった今回のアイリスオーヤマによる生産態勢の“国内回帰”だが、この動きは他の国内メーカーにも波及するのではないかという見方も。

さらには海外の企業に関しても、今後は“安い”日本への生産拠点などの進出が進むのではないかという予測も。物価高騰の一因ともみなされ、白眼視されることも多い昨今の急激な円安だが、このような大きな雇用を創出する可能性を秘めた動きに関しては、「まさに円安のメリットだ」といった声も多いようだ。

しかしながら、そんな状況下で政府のほうはというと、つい先月には中小企業の海外進出を支援する「海外ビジネス投資支援室」なるものを、内閣官房に設置するとの報道があったばかり。

海外進出における候補地の紹介や販路開拓、資金調達などを一括で支援するというもののようだが、まるで時代に真っ向から逆行するかのようなこの動きに、SNS上からは「チグハグ過ぎ」「アホ丸出し」と批判が噴出しているところ。

長期化は必至との見方も多い昨今の円安に対しては、「ピンチはチャンス」とばかりに逆手に取っていこうといったポジティブな声も少なからず出ているところだが、肝心の政府がコレでは……と、ほとほと呆れる向きも多いようである。

Next: 「中国の人件費は年々上がるのに日本はずっとそのまま…」



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