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まだ民泊で消耗してるの? 『「外国人向け賃貸住宅」ノウハウと実践』書評=姫野秀喜

外国人向け賃貸を36年間(執筆時)行ってきた荻野政男氏の著書『「外国人向け賃貸住宅」ノウハウと実践』をご紹介します。最近、にわかに流行っている民泊ではなく、日本に3ヶ月以上滞在する外国人向けの賃貸経営の方法について懇切丁寧に書いてあります。

なぜ、今、外国人向けの賃貸が重要なのか。家を探す外国人も空室に悩んでいる大家さんも、両方ハッピーになれたらよいなという暖かい想いと、きわめて実践的なノウハウが詰まった本書の内容を早速見ていきましょう。(『1億円大家さん姫ちゃん☆不動産ノウハウ』姫野秀喜)

プロフィール:姫野秀喜(ひめの ひでき)
姫屋不動産コンサルティング(株)代表。1978年生まれ、福岡市出身。九州大学経済学部卒。アクセンチュア(株)で売上3,000億円超え企業の会計・経営計画策定などコンサルティングに従事。合間の不動産投資で資産1億円を達成し独立。年間100件以上行う現地調査の情報と高い問題解決力で、顧客ごとに戦略策定から実行までを一貫してサポートしている。

難あり物件が蘇る!外国人と大家さんを両方ハッピーにする良書

『「外国人向け賃貸住宅」ノウハウと実践』週刊住宅新聞社

なぜ、今、外国人向けの賃貸が重要なのか

本書は外国人向け賃貸を36年間(執筆時)行ってきた荻野氏の経験とノウハウを詰め込んだ力作です。最近、にわかに流行っている民泊ではなく、日本に3ヶ月以上滞在する外国人向けの賃貸経営の方法について懇切丁寧に書いてあります。

なぜ、今、外国人向けの賃貸が重要なのか。

などなど、空室に悩んでいる大家さん必見の内容となっています。

また、巻末には「賃貸用語の対訳集」や「英語での接客会話例」や「各国の賃貸条件」などすぐに役に立つ資料がついています。この値段でこの内容、実践書としても相当お得だと思います。

本書を読んで少しでも外国人向けの賃貸に対する抵抗感がなくなり、やってみようかなという気持ちになることが著者の願うところかと思います。

以下、著者の言葉を抜粋します。(※『』内は引用です。)

今、なぜ外国人向け賃貸住宅なのか?

『日本の賃貸住宅市場は2010年の12.6兆円から2030年には8.8兆円に縮小する(中略)20年で3割の縮小』
『人口減少でますます「空き家」化がすすむ』
(人気の高い街である)『高円寺であっても(中略)4000戸以上もの空き物件が出てくる』
『人気が高い分、必要以上に賃貸住宅が建てられ、結局、あまってしまっている』

今活気があるのは、外国人向けと高齢者向けだけ。だから、そのうちの外国人向けに目を向ける必要があるのです。

日本に暮らす外国人はどれくらい?

『日本には現在、約208万人(14年6月)の外国人が生活をしている』
『これは3ヶ月以上日本に滞在し、外国人登録をしている人の数です』

日本に暮らす外国人にはどんな人がいるの?

著者は以下のような感じに外国人を分類しています。

(大学の)『留学生』
『日本語学校の生徒』
『日系の就業者』
『IT技術者』
『語学教師』
『飲食店で働く外国人』

Next: 杞憂かも?大家さんが外国人を住ませたくない理由/契約時のチェックポイント



大家さんが「外国人を住ませたくない」理由ナンバー1

圧倒的な理由、それは…

『なんとなく不安』

大家さんは貸したことがないので、ただただ不安なだけなんです。

不安を払拭するには?

『「定期借家契約」を利用して、「お試し」で貸してみる方法も』

定期借家とは、3ヶ月や6ヶ月や1年など期限を決めて貸す契約です。通常の賃貸と違うのは、契約を更新しなくてもよいということです。つまり、3ヶ月お試しで住んでもらって、問題がなければ更新するけど、問題があったら追い出せるという利点があります。

著者はこの契約を使って、まずなんとなくの不安を払拭してはどうかと提案しています。

外国人に貸すときのチェックポイント

著者は、下記をチェックすることを推奨しています。

『身元確認はパスポートと在留カード』
(支払い能力は)『就労資格の有無』『給料支払明細書』『確定申告の写し』
(留学生など働かない人は)『「預金通帳」での月々の記載残高、銀行が発行する「送金明細書」』

きわめて実践的な内容です。本文中にはもう少し詳しく書かれていています。

こういう外国人は要注意!

著者が挙げる、注意すべき人の特徴はこんな感じです。これは外国人に限らず日本人も同じかもしれません。

『せっかちな人』
『時間にあまりにもルーズな人』
『言葉が乱暴な人』
『自己主張が強すぎる人』

日本人にしても外国人にしても、大家さんや不動産屋さんと借り主さんとの間で丁寧にしっかりと真面目にコミュニケーションがとれない人はダメだということですね。

外国人向け賃貸はじめてみようかなと思ったら

『スタートは留学生がおすすめ』
『なぜなら、さまざまな外国人入居者のなかで「留学生」は比較的扱いが簡単だからです』
『なお、留学生の入居者を受け入れるにあたっては、(公財)日本国際教育支援協会の「留学生住宅総合補償」を利用してもいいと思います。』

Next: 日本人には不人気なのに、外国人に人気がある部屋の特徴



外国人に支持される部屋とは?

『賃料や初期費用の安さ』
『家具や家電がついている』
『契約手続きの簡単さ』

これは日本人も同じでしょうが、費用面は物価が安い国から来た人には死活問題かと思います。また、それほど長期で滞在しない外国人にとっては家具や家電があるというのは魅力に映ります。海外のフラットなど短期貸しの家には家具や家電がついていたりします。加えて、外国人にとって契約書が難しいと、それだけで契約したくなくなりますよね。

日本人には不人気なのに外国人に人気な部屋とは?

『3点ユニット』
『「畳の部屋あり」をウリにする』
『ワンルームを「2人OK」にする』

海外のホテルなどではトイレとフロが一緒というのが普通だったりします。ですので、外国人の場合でも抵抗感なく3点ユニットで大丈夫だったりします。また、一昔前に流行った間取りも、やり方次第で外国人に人気の物件に生まれ変わるチャンスがありますね。

総括

私は大学生の時に、留学生向けボランティアサークルで活動していました。留学生は一般の賃貸ができないので大学の寮に入っていました。しかし、寮に住んでも外国人には日本において困ることがたくさんありました。

例えば、近所のスーパーでの買い出しや役所への外国人登録の届け出などです。日本に来たばかりでは独力では出来ないことが数多くありました。そういうところでの通訳などをしていたわけです。

私の大学では幸いボランティアが多く、寮も完備されていたため、外国人の留学生もうまく在留することができたわけですが、すべての地域でそういった仕組みがあるわけではありません。

本書は個人個人の大家さんが草の根でそういった取り組みをすることで、日本全体が(賃貸住宅面で)グローバル化に対応できるための良い指南書だと言えます。すでに大家さんをやっていて、外国人向け賃貸を始めようという人は「買い」の本です。
※ただし不動産投資家のタマゴの人はもっと先に読む本がありますので、いきなり本書からスタートするのはやめた方がいいです。

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1億円大家さん姫ちゃん☆不動産ノウハウ』(2016年5月17日号)より一部抜粋
※太字はMONEY VOICE編集部による

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