ソウル梨泰院で100人を超える人が亡くなる事故が起きました。コロナ下の活動制限で鬱積された消費活動が爆発したせいでしょうか。経済学ではこのような需要の急拡大を“ベントアップ需要”と呼びますが、手放しで喜べない状況です。(『徒然なる古今東西』高梨彰)
日本証券アナリスト協会検定会員。埼玉県立浦和高校・慶応義塾大学経済学部卒業。証券・銀行にて、米国債をはじめ債券・為替トレーディングに従事。投資顧問会社では、ファンドマネージャーとして外債を中心に年金・投信運用を担当。現在は大手銀行グループにて、チーフストラテジスト、ALMにおける経済・金融市場見通し並びに運用戦略立案を担当。講演・セミナー講師多数。
経済活動の再開で増える悲劇
昨日、4回目のワクチン接種を行いました。インフルエンザの予防接種を何十年もしなかった者が、何で今回に限ってという気もします。でも、社会活動が活発になる可能性を追求していると思えば、良いんじゃないと割り切ってもいます。
ただ、今回は肩の痛みに加えてダルさも。大丈夫でしょうか。
人々の活動が活発になるのは良い事ですけど、増えた人出に起因する悲劇が2つも伝えられ心が痛みます。
『梨泰院クラス』でもお馴染みの韓国・ソウルの梨泰院では、若者を中心に群衆が将棋倒し状態に。100人超の命が失われたとのこと。
インドでは一世紀以上前に作られた吊り橋が崩落。こちらも100人近い方が犠牲になったと伝えられています。
インドのケースは不明ですが、梨泰院の映像を見る限り、抑圧された欲望は想像以上に一気に発散されるのだと痛感します。
抑圧された消費が爆発する“ペントアップ需要”
経済の教科書に「ペントアップ需要」なんて言葉がありまして、制約されていた消費活動が再開するとき、一気に需要が拡大するという意味だとか。
梨泰院の悲劇もペントアップ需要なのかしらと考えると、複雑です。
日本では「全国旅行支援」なんてキャンペーンをやってますけど、キャンペーンはペントアップ需要が一巡してからの方が効果的だったのではと。
換言すれば、旅行や航空業界などの繁盛も想像以上、株価もしかり、なんて想像も働きます。
ともあれ、犠牲に遭われた方々のご冥福を祈るばかりです。
Next: 欧米はサマータイムが終了、利上げの11月がやってくる
利上げの11月やってくる
今日で10月が終わります。主要国の株価は割安感やアップルの決算などを頼りに戻りを試す局面にあります。
一方、11月に入るとFed(米連銀)をはじめ、追加利上げが次々と実施される見込みです。Fedは11月1-2日開催のFOMC(連邦公開市場委員会:Federal Open Market Committee)にて政策金利FFレートを0.75%引き上げ、誘導目標レンジを3.75%-4.00%にするとみられています。
英国の中央銀行BOE(Bank of England:イングランド銀行)も同様、追加利上げの意向を示すとみられます。
そのため、株価が回復すればするほど追加利上げも行いやすくなるというジレンマも。
「株が大丈夫ならば、インフレ退治を最優先しても大丈夫」の連想です。
一先ずFOMC後の動きを確認しつつ、次の展開を考える、そんな週となります。
11月は毎年憂鬱になります。何でってアメリカも欧州も夏時間が終わるためです。アメリカは11月6日から、欧州も今週から冬時間です。
東京とNYとの時差は夏時間の13時間から1時間加わり14時間。米東部時間午前8時30分に公表される米雇用統計も、日本の午後9時30分から午後10時30分へと1時間繰り下がります。
冬相場って、夏以上に眠いんです。
まとめ
・梨泰院では多くの方が犠牲に
・久しぶりの活動再開がもたらした悲劇とは思いたくないものの
・ベントアップ需要って、想像以上に大きいのではとも
『徒然なる古今東西』(2022年10月31日号)より一部抜粋
※タイトル・見出しはMONEY VOICE編集部による
無料メルマガ好評配信中
徒然なる古今東西
[無料 ほぼ 平日刊]
まぐまぐ大賞に毎年ランクインしている『しん・古今東西』著者が無料版メルマガを刊行。 より気軽に金融市場や世界経済を感じて貰うと同時に、著者周辺の四方山話も楽しんでください。 人生の選択肢を拡げるメールマガジンです。