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シリコンアイランド復活へ動き出した九州・熊本に投資家が熱視線。成長が期待できる日本企業5社とは?=田嶋智太郎

半導体で世界最大手の台湾「TSMC」が熊本県で建設中の新工場は、今年9月に竣工予定となっている。いまやTSMCが呼び水となって半導体関連企業の九州進出が相次ぐ状況だ。注目度が高まる銘柄をいくつか取り上げたい。(『 田嶋智太郎の先読み・深読み!株式マーケット 田嶋智太郎の先読み・深読み!株式マーケット 』田嶋智太郎)

【関連】電気自動車でも日本勢が覇権を握る理由。動力装置「eアクスル」で急成長する日本企業5社とは?=田嶋智太郎

※本記事は有料メルマガ『田嶋智太郎の先読み・深読み!株式マーケット』2023年1月6日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール:田嶋智太郎(たじま ともたろう)
慶応義塾大学卒業後、現三菱UFJモルガン・スタンレー証券勤務を経て転身。転身後の一時期は大学教諭として「経営学概論」「生活情報論」を担当。過去30年余り、主に金融・経済全般から戦略的な企業経営、地域金融機関改革、引いては個人の資産形成、資産運用まで幅広い範囲を分析研究。民間企業や金融機関、新聞社、自治体、各種商工団体等の主催する講演会、セミナー、研修等において、累計3,000回超の講師を務めてきた。これまでに数々のテレビ番組へのレギュラー出演を経て、現在はマーケット・経済専門チャンネル『日経CNBC』のレギュラー・コメンテーターを務める。主な著書に『上昇する米国経済に乗って儲ける法』(自由国民社)などがある。

台湾TSMCの工場進出が呼び水に

あの台湾TSMCが熊本県菊陽町(きくようまち)で建設中の新工場が今年9月に竣工予定ということで、熊本を中心とする九州地域に注目が集まりやすい。TSMCの工場進出を受け、すでに関連企業の進出も相次いでいる。九州への半導体産業集積による「シリコンアイランド」復活の期待も高まってきた。

そんななか、先にソニーグループは菊陽町に隣接する合志市(ごうしし)が計画中の新しい工業団地内において、2025年度以降の稼働を想定してスマートフォン向けの「画像センサー」工場を建設する検討を始めたと報じられた。

いまやTSMCが呼び水となって半導体関連企業の九州進出が相次ぐ状況。半導体製造設備の保守管理を担うジャパンマテリアルは、このほど三井ハイテックから熊本県内の工場を取得。TSMCなどが熊本県で建設している半導体工場にガス設備を供給する。

同様に、TSMCの新工場竣工予定で注目度が高まる銘柄を以下にいくつか取り上げておく。

ジャパンマテリアル<6055>

顧客の半導体・液晶工場において不可欠なライフラインを支えるサービスを提供。ガス・超純水・薬品・電力・空調等の供給管理サービスを展開し、工場全体の稼働・維持を一括してサポートする。

主軸は半導体・液晶関連工場の製造工程で使われる特殊ガス。ガスの販売から、特殊ガス供給装置の製造、供給配管の設計・施工(せこう)および特殊ガス供給管理業務、供給装置メンテナンスに至る一貫した機能を提供する。

足元は、配管工事がキオクシア向け中心に拡大順調。TSMC熊本向けが終盤に想定を超えて寄与することもあり、23年2月期は売上高が前期比18.5%増の450億円、営業利益は同17.9%増の110億円、純利益は同11.4%増の75億円で過去最高を更新する見込み。

ジャパンマテリアル<6055> 日足(SBI証券提供)

株価は、今期2Qの実績発表後にいったん急騰し、目下は調整含みとなっているが、上向きの26週移動平均線が当面の下値サポートとして機能する可能性が高いと見られる。

Next: 九州・熊本の活性化で伸びる日本企業は?



平田機工<6258>

本社を熊本市北区に置く。自動車、半導体、有機ELなどのさまざまな分野のメーカー向けに、各種生産システム、産業用ロボット、物流関連機器などを製造して販売する生産設備メーカー。開発から生産立ち上げ、保守・サービスと一貫した生産体制を構築している。

足元は、自動車関連設備はEV向けが牽引。自動車関連設備のEV比率は9月末59%に上昇もまだまだ勢い半導体メーカーの設備投資が積極的に行われたことで、シリコンウェーハ搬送設備などの受注および販売も好調に推移。9月末時点の受注残は過去最高の651億円(前年同期比81%増)に積み上がった。

23年3月期は、売上高が前期比19.2%増の800億円、営業利益は同29.7%増の50億円、純利益は同30.5%増の35億円と、大幅な増収増益を見込んでおり、続く24年3月期も大幅増益となることが期待される。

平田機工<6258> 日足(SBI証券提供)

株価は、昨年11月下旬にかけて急騰した後、一目均衡表の週足「雲」上限に上値を押さえられる展開。この「雲」をクリアに上抜けると、そこから上値余地が拡がるものと見られる。

カナデン<8081>

三菱電機の持分法適用関連会社で同社主要製品の販売代理店。同社からの仕入高が総仕入高の6割弱を占める。「FAシステム事業」「ビル設備事業」「インフラ事業」「情通・デバイス事業」の4事業を手掛けるエレクトロニクス技術商社で、とくにFAシステムが顧客企業の設備投資の回復によって駆動制御機器の拡大につながっている。加えて。デバイスも産機関連向け好調。

8月、熊本市に「熊本サテライトオフィス」を開設。TSMCの工場建設をきっかけに、企業進出や設備投資が活発化していることから、関連企業へファクトリーオートメーション(FA)機器などを納入して行きたい意向。

23年3月期は、売上高が前期比9.1%増の1100億円、営業利益は同33.5%増の38億円、純利益は同30.0%増の25億円と大幅増益を見込んでいる

カナデン<8081> 日足(SBI証券提供)

株価は、昨年10月中旬に一目均衡表の週足「雲」を上抜け、目下は1150円処で上昇頭打ちの状態となっている。予想PER=11.0倍、PBR=0.59倍、配当利回り=3.18%と足元の株価には割安感が漂う。

九州フィナンシャルグループ<7180>

熊本県の肥後銀行と鹿児島県の鹿児島銀行が経営統合して誕生した地域総合金融グループ。

貸出金は個人・法人ともに漸増。与信費用一服、新ビル関連経費も剥落で大幅経常増益。2019年、傘下の肥後銀行がJR九州からリース会社を買収し、社名も「JR九州FGリース」に改めた。九州では今後もリース需要の伸びが見込まれる。福岡市では再開発のほか物流施設の新設も盛ん。

熊本県でTSMCの工場建設が進み、同県をはじめ関連産業の立地に伴う設備投資が相次いでいる。肥後銀行と鹿児島銀行は7月、台湾の玉山(ゆいしゃん)商業銀行と業務提携に関する覚書を結んだ。TSMCの進出を背景に、それぞれが持つネットワークやノウハウを持ち寄って経済交流の促進を図っている。

23年3月期は、売上高が前期比6.5%増の2000億円、経常利益は同48.0%増の365億円、純利益は同50.0%増の250億円を見込んでいる。

九州フィナンシャルグループ <7180> 週足(SBI証券提供)

株価は、昨年12月下旬に一目均衡表の週足「雲」を上抜け、なおも強含みで推移している。予想PER=7.8倍、PBR=0.30倍、配当利回り=2.65%と足元の株価にはかなりの割安感が漂う。

Next: まだある九州・熊本の盛り上がりで成長が期待できる日本企業



JR九州<9142>

運輸サービス、建設、不動産・ホテル、流通・外食といった事業を九州全域中心に展開。運輸サービスグループでは、鉄道やバス、船舶などの事業を手掛ける。

九州新幹線や「ななつ星」などの観光列車が人気だが、今後はビジネス客の増加にも期待。不動産・ホテル・外食等の多角化事業でニーズを取り込む。

西九州新幹線開業効果で鉄道やホテルが下期に観光客戻る。営業大幅増益。熊本駅周辺でも商業施設やホテル、飲食店などの集客増が続いており、23年3月期は売上高が前期比15.7%増の3614億円、営業利益は同635.2%増(7.35倍)の365億円、純利益は同100.7%増(約2倍)の266億円を見込んでおり、続く24年3月期も増収増益基調が続くと見られる。

九州旅客鉄道<9142> 日足(SBI証券提供)

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image by:McFishoPhoto / Shutterstock.com

田嶋智太郎の先読み・深読み!株式マーケット 田嶋智太郎の先読み・深読み!株式マーケット 』(2023年1月6日号)より一部抜粋
※タイトル・見出しはMONEY VOICE編集部による

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