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シリコンバレー銀行破綻ショックはすぐに終わる。破綻処理後の株価急騰に備えを=角野實

米シリコンバレー銀行が破綻、3月10日のマーケットは金融銘柄を中心に混乱が波及しました。しかしこれはただの騒ぎすぎで、すぐに沈静化するでしょう。破綻処理が順調に終わった場合、金利は先週まで高騰していた状態が急降下、金利安ですので、株価は急騰、売られていた銀行株なども急騰となります。処理がうまく行かなかった場合も、影響は軽微だと考えています。(『 角野實のファンダメンタルズのススメ 角野實のファンダメンタルズのススメ 』)

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プロフィール:角野實(かどの みのる)
大学卒業後、金融機関に10年ほど勤務。独立して投資家の道へ。現在は企業経営者として活動、FX関連の執筆を多数行っている。

米シリコンバレー銀行破綻も影響軽微?

先週からシリコンバレー銀行に関する記事は何度も目にしていたのですが、完全スルー状態でした。その理由は、意味がわからないから。暗号資産関連での記事が多かったのですが、専門用語が多すぎ、理解するのには時間がかかると思い、スルーという判断をしました。

その結果が裏目に出たのですけど、シリコンバレー銀行が全米13〜19位くらいの銀行と考えたときに、その規模の銀行が破綻をして何の影響があるのかを考えた場合、あまり大きな影響は出ないであろう、と判断をしています。

具体的なイメージでいえば、日本でトップの銀行となると三菱銀行になると思います。そのほか、みずほ、三井住友などが続き、それ以下の銀行ってどこなの?という感じです。そもそもゆうちょ銀行ってかなり大きいし、民営化の商工中金ってどういう規模なのかも判然としません。

おそらくシリコンバレー銀行というと日本のトップクラスの地銀、たぶん、横浜銀行とか、千葉銀行、とみん銀行(この名前だっけ?というレベル)の下くらいのランクの銀行だろうな…とイメージすると、これ、大した問題か?ということです。

そのランクの銀行が週末に破綻懸念でマーケットが急落……ちょっとおかしい話ではないのかな、というのが私の素直な感想です。

マーケットの沈静化は早い

もちろん、いつものごとく、連鎖倒産懸念とか、同じような銀行の倒産を探すゲームというのは始まるのでしょうけれど、そこまで当局がお仕事をさぼっているとは思えません。

参考までに『半沢直樹』というのは金融庁検査を忌避した物語であり、半沢直樹がヒーローのように描かれていますが、国の検査を忌避した犯罪まがいの物語です。要するにこういった銀行破綻を防ぐために、金融庁検査というものが日本には存在し、アメリカも同じ、ということです。リーマン・ショックや日本の平成初期の金融不安などを防止するための検査です。

そこで金融不況やリーマン・ショックなどのような事件を起こせば、当局者は何をやっていたのか?という批判は免れない状態になることは必至のことです。

だからイエレン長官は、システミックリスクによる連鎖倒産の可能性は少なく、リーマンのときのように公的資金を注入して倒産した会社の経営者にぬくぬくとした生活するようなことはさせない、と明言しただけの話です。

ちゃんとアメリカの当局者はお仕事をしているし、(アメリカ時間で)13日の銀行オープンや午前中までには破綻処理を進めている段階だ、と言っているだけの話です。

この破綻処理が上手くいかないのであれば、マーケットは荒れることになると思いますが、シリコンバレーという地の利を考えると、常識的には買収する企業は案外、早く見つかるでしょう、ということです。

要はアップルもインテルもシリコンバレーの出身であり、シリコンバレー銀行の顧客の中にはアップルやインテルのような大化けするような企業が埋もれている可能性がある、ということです。その1発があれば、その他で大きく穴を明けたとしても回収できるわけですから、みな積極的に資産の査定を行っている状態だと思います。たぶん、見つかるのではないかな、というのが私の推測です。

私から見れば、騒ぎすぎの様相を呈しているよね、と感じています。

Next: 金利マーケット市場は「ひどい」の一言。日本株はどう動く?



先週の金利マーケット市場はひどかった

そもそも先週の金利マーケット市場は「ひどい」の一言に尽きます。

FRB高官が「0.50だ」と言えば金利が急騰し、「いや、0.25だ」と言うと急落。いつもみなさんにお話をしていますが、結局、FFレートというのは、パウエル議長が0.25と言えば0.25、0.50と言えば0.50という結果になっており、そのほかの理事たちの発言など関係がないのに、市場は「センシティブ」に反応している状態です。

ほとんど議会証言で0.25と発言をしているのに、0.50で反応したりと、何をやっているのだろう?と思います。

週初は金利が急騰し、週末は0.25だと高官が言ったことによって急落、おまけに私はあまり関係がないと思いますが、シリコンバレー銀行の破綻によって、リスク回避によって債券高で金利は急落とジェットコースター相場でした。おまけに雇用統計も重なった、というだけの話でしょう。

こうやって原因を分析すれば見えてくる未来があるという、「原因と結果」の因果関係を理解していると楽です。先行きがわからなければ、なぜこうなったのかの分析し、正しい分析であればその分析から見えてくる未来があるよ、というだけの話でしょう。

株価に急騰リスク?マーケットの今後

まず、私が描いているシナリオ。13日午前中までに破綻処理?というよりも買収先がみつかり、午前中までにすべての預金者が自分の預金にアクセスできるような状態になることが前提になります(編注:米金融規制当局は12日、シリコンバレー銀行の経営破綻を受けて、全預金者の資金を保証するための措置を打ち出しています)。

この前提条件から外れた場合には、違うシナリオを用意しておかなければいけません。その場合は、とりあえず金利安・リスク資産安を想定したポジショニングをしなければいけない、ということを念頭に置く必要があります。

また13日午前中と私もお気軽に書いていますが、これは日本時間ではなくアメリカ時間(つまり日本時間14日深夜)までに決着がつくという意味になります。

破綻処理が順調に終わった場合、金利は先週まで高騰していた状態が急降下、金利安ですので、株価は急騰、売られていた銀行株なども急騰となります。

ドル円に関しても、金利安でドル安になり、リスク回避ですので、ドル高になっていたのですが金利のあまりの下落にドル×金利がマイナスになっただけの話です。

米ドル/円 15分足(SBI証券提供)

今週は14日にCPI、FOMCと続きます。また短期間で0.25上がるとは考えられず、FOMC前まで今の水準を維持するのではないのかな、と思います。その前に2月のCRB指数をみてCPIが下振れするだろうね、と私は考えていますので、金利が安くなって株価などのリスク資産が急騰になるのであろうね、と思います。

金利があまり動かなくても、雇用はいいのですけど、ドル×金利は双方が双方の足を引っ張り合いをするような感じになるのかな、とは思います。雇用は総雇用は増えましたが、中身の長期失業者や3月の失業保険申請者数などは増えていますので、現状はいいですが、3月は若干悪いだろうね、というのが見えています。

となるとドル円も大して動きはしないね、と思います。ただ、株価に関しては急騰のリスクがある、ということです。

これが前提条件、シリコンバレー銀行の破綻処理が順調に進んだ場合のシナリオになる、ということです。うまくいかない場合は前述した通りです。

ただうまくいかなかったとしても、イエレンが全米の金融システムが強靭であるとコメントした通り、財務省は全力で安定化をさせますので、これをきかっけに大不景気など考えられない、どこかで反転すると思う、というのがシナリオです。

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2023年3月配信分
  • シリコンバレー銀行? 何? という感じです(3/13)
  • 今の状況の整理 訳がわからない人は読んだ方がいいでしょう(3/11)
  • 円が異常に強いマーケット(3/10)
  • やっぱり0.25の利上げ、だと思う(3/9)
  • 利上げはおそらく0.25だと思います(3/8)
  • 今のマーケットのテーマは需給(3/7)
  • 今年はドル、金利はわき役、主役は需給(3/6)
  • なぜ円高になるのか? 日銀総裁など関係ないと思います(3/5)
  • 来週あたりから株価は急騰するかも?(3/3)
  • 円高かな?(3/2)
  • ISM製造業は今までの流れと違う(3/1)

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  • ウクライナ侵攻1年で記しておきたいこと(2/27)
  • またもやサプライズのPCE(2/25)
  • 株価は押し目を形成しないかも?(2/24)
  • 利上げは確定(2/23)
  • マーケットの基準(2/22)
  • 季節性の説明(2/21)
  • インフレの整理(2/20)
  • PPI高進はインフレ警戒への号砲だと思います(2/17)
  • 円安になる原因(2/16)
  • 直感、本能と分析の違い(2/15)
  • きょうはCPIと日本GDP(2/14)
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image by:Sundry Photography / Shutterstock.com

角野實のファンダメンタルズのススメ 角野實のファンダメンタルズのススメ 』(2023年3月13日号)より一部抜粋
※タイトル・見出しはMONEY VOICE編集部による

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