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京セラ、個人向けスマホ端末事業から撤退へ。SNS上で噴出する「総務省とバルミューダフォンがトドメを刺した」との見方

電子部品大手の京セラが、個人向けの携帯電話端末の販売から撤退する方針を明らかにしたことが、広く波紋を呼んでいる。

報道によれば京セラは1989年に携帯電話事業に参入し、2008年には当時の三洋電機の携帯事業を買収。耐久性に優れた自社製スマホ「TORQUE(トルク)」や、操作がシンプルな「かんたんスマホ」など、特色のある端末を手がけていたものの、米アップルなどとの競争が激化したことで、採算が悪化していたとのこと。

またスマホの買い替えサイクルが長期化していることも、採算悪化に繋がっていたといい、同社の谷本秀夫社長は「(一般向けは)市場性が見いだせなくなった」と継続は困難と判断。なお、法人向けの販売は続けるという。

「値引き規制」で端末価格が高騰し買い替え頻度が鈍化か?

古くはPHS全盛の時代に、日本初のフルブラウザ搭載ケータイ「AH-K3001V」通称“京ぽん”が大人気となるなど、エッジの効いたモデルも多かった京セラのケータイやスマホ。

近年では先にもあがった「TORQUE」が、骨太なフォルムとそれに違わぬ高い耐久性でもって、一部から大いに人気を博していたようだが、この機種の今後に関しては「個人向けは終息する」という報道と「2025年以降も継続する予定」という報道が錯綜しており、ファンからは「どっちなんだ?」という、ヤキモキする声が広がっているところである。

また、今回の件で大いに取沙汰されているのが、京セラの携帯電話事業が立ち行かなくなった理由のひとつとして挙がっている、買い替えサイクルが長期化しているという件。

スマホ端末のメーカーであるシャープは、自社サイト内のコンテンツで「快適なスマホライフを続けるには、おおむね3年くらいが機種変更のタイミング」としているほか、今年1月に行われたとあるアンケート調査でも、スマホを買い替えるタイミングで最も多いのは「3年程度」という結果が出ているなど、だいたいそれぐらいで替える人が多いといった状況。

ただ近年ではスマホの買い替え期間が、やはり以前よりも長期化しているとの見方もあるようで、先述のものとは別のアンケート調査によれば、スマホ買い替えを先送りにする理由として「今のスマホで満足」「データ移管の設定が面倒」などの声を抑え、一番多かったのは「スマホが高騰したから」というものだったという。

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円安の影響で、海外製造のものが多いスマホはiPhoneをはじめとして軒並み値上がりとなった昨今。さらに政府が、回線契約とスマホのセット販売を規制したことも、スマホ端末の高騰に繋がっているとの指摘も多くなされるところ。それだけにSNS上では、京セラの携帯電話事業は「総務省に殺されたようなもの」といった見方も、少なからずあがっているようである。

京セラに先んじて撤退発表のバルミューダフォン

いっぽう今回の京セラ“スマホ撤退”に先んじて、スマホ事業からの撤退をひっそり発表していたのが、京セラが生産を担っていたバルミューダフォンである。

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新興家電メーカーのバルミューダが開発し、iPhoneの一人勝ち状態となっている日本のスマホ市場に一石を投じると、2021年に鼻息も荒く市場に投入されたバルミューダフォンだったが、強気な価格設定の割にはスペック的にはミッドレンジで、デザインも好き嫌いが分かれるといったもので、発売前からその評価は散々なものに。

端末を多く抱え込む格好となったソフトバンクの販売店では、一時“2年24円”という破格値プランも設定されるなど、まさに投げ売り状態だったというバルミューダフォン。今年2月の段階では、携帯電話事業の撤退は視野に入れていないとしたものの、今月12日に一転、次期モデルの開発が原材料価格の高騰と円安で困難になったとして、スマホ端末の開発・販売から撤退すると発表していたのだ。

バルミューダフォンの撤退発表に相次ぐ形で、今回の京セラの撤退も報じられたとあって、SNS上では「バルミューダ撤退はこの影響か」との見方、さらには逆に「京セラはバルミューダにトドメを刺された」との声もあがるなど、両社の決断には相関性があるものと捉える向きはかなり多いようである。

Next: 「iPhoneとPixelとGalaxyしか選択肢がない時代が来るな」



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