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なぜ投資初心者の多くは負けて退場するのか。生き残るための「やってはいけない」20のルール=栫井駿介

今回は「投資初心者がやってはいけない20のルール」をご紹介します。これは私自身の経験からだけでなく、長期投資家のコミュニティでの体験談に基づいています。初心者の方は、これを理解すれば、失敗を避け、投資家としての道を進む手助けになるでしょう。実際、多くの人が特定のポイントでつまづいているようです。投資が上手くいかない最も大きな理由は投資をやめてしまうことです。しかし、世界の株価は基本的に右肩上がりに伸びているため、続けていればうまくいく可能性が高いはずです。どこでつまずくのか、そして成功するためにはどうすればいいのか、ぜひ最後までお読みください。(『 バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問 バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問 』栫井駿介)

プロフィール:栫井駿介(かこいしゅんすけ)
株式投資アドバイザー、証券アナリスト。1986年、鹿児島県生まれ。県立鶴丸高校、東京大学経済学部卒業。大手証券会社にて投資銀行業務に従事した後、2016年に独立しつばめ投資顧問設立。2011年、証券アナリスト第2次レベル試験合格。2015年、大前研一氏が主宰するBOND-BBTプログラムにてMBA取得。

投資初心者がやってはいけないこと「リスク管理編」

投資を始めて最初に大きな失敗をしてしまうと、取り返しのつかないことになる可能性があります。

そうならないように、まずはリスクに関する注意点です。

<1.いきなり大きく投資する>

株式投資を始めると、つい「一発儲けてやろう」と考えてしまうかもしれませんが、知識不足のまま大金を投資するのは危険です。

初めは少額から始め、失敗を前提として取り組みましょう。

そのためには十分な元手を用意しておくことも重要です。

<2.失敗をすぐ取り返そうとする>

大きな損失を出してしまった時、取り返そうと焦って高リスクな銘柄や取引に手を出すことは避けましょう。

そういう行動はむしろ損失を増やすことにつながり、本当に立ち直れなくなってしまいます。

<3.信用取引に手を出す>

立ち直れなくなる要因として信用取引があります。

信用取引は、自己資金を担保にして取引を行う方法です。

例えば、自分が100万円持っていると仮定すると、信用取引によりこれを実質的に3.3倍の330万円で取引できます。

利益も3倍になりますが、損失も同様に3倍になるのです。

通常の現物取引だけなら、100万円を失ってもゼロになるだけですが、信用取引で失敗するとマイナスに転落してしまいます。

特に、失敗を取り返そうとする際に信用取引に手を出してしまいがちですが、ここで失敗すると泥沼にはまってしまいます。

信用取引も使いようはあるにはありますが、初心者がやることは全くお勧めできません。

<4.生活資金を分けない>

信用取引まではいかなくても、日々の生活費に手を付けてもいけません。

「投資は余裕資金で」と言いますが、例えば「すでに予定されている出費+生活費3か月分」を確保した残りを投資にまわす、というようなルールを作ると良いかと思います。

収入から投資にまわせるお金をまず把握し、少額から投資を始め、そして安心して投資できる金額を大きくしていくことによって資産を大きくしていくことが正攻法だと考えます。

投資初心者がやってはいけないこと「売買編」

ここからは実際の売買に関することです。

<5.損切りしない>

投資を始めて多くの人がつまずくのが損切りです。

自分が選んだ銘柄が正しかったと信じたい気持ちが強く、株価が下がっても持ち続けてしまうのです。

しかし、ここで損切りできるかどうかが投資が上手くなる最大の分かれ目だと考えています。

単に株価が下がったらダメというわけではありませんが、下がった理由を明確にして、やはりダメだと思ったら、いったん切ることも大事です。

もし下がった理由が分からないのであれば完全に売ってリセットすることが賢明でしょう。

自分の間違いを認めることができて初めて次のステップに行くことができます。

<6.1つの銘柄に固執する>

自分の選択が正しかったと思いたい気持ちは常にあると思います。

しかし、初心者の自分が選んだ銘柄が良い銘柄だという可能性は高くありません。

いろんな経験を経て、本当に良いと思える銘柄を最終的に選ぶということが重要なことだと思います。

Next: 成功者を盲信するな。やってはいけない「情報収集編」



投資初心者がやってはいけないこと「情報収集編」

現代のインターネット時代において、情報が氾濫しており、どの情報が信頼性のあるものなのかを見極める必要があります。

<7.話題の銘柄に飛びつく>

Twitterなどで特定の銘柄が話題になることがありますが、その銘柄が実際に良いものであるかどうかは判断が難しいことがあります。

ある銘柄が話題になることには2つのパターンがあると思っていて、一つは実際に株価が上がってきたから話題になるものです。

これは本当に中身が良くてどんどん上がることもありますし、上がりすぎというケースもあって、五分五分といったところです。

一方で絶対に避けなければならないのが、誰かが特定の意図を持って上げようとしているケースです。

SNS等で喧伝して「イナゴ」と呼ばれる人たちを呼び込み株価を吊り上げて、最初に仕掛けた人は早々に売り抜け、他の人には高値掴みさせるというものです。

これは特に売買代金の小さい小規模な銘柄で起きがちなので、話題になっているけど聞いたことがない銘柄だと思ったら近づかない方が良いでしょう。

 

そもそも、情報が溢れる現代社会で、初心者がその情報の確度を判断することはかなり難しいでしょう。

それよりも企業の業績を見て伸びている銘柄に投資する方がシンプルで可能性も高いのではないかと思います。

<8.高額セミナーに出る>

高額なセミナーには疑わしい部分があります。

通常なら価格と品質はある程度比例するものですが、投資の世界では逆転していることがあります。

高額でも払えるお金持ちを”カモ”にしようとしているからです。

価格が高いからといって情報の質が高いとは限りませんし、安価な情報でも役立つものも多いです。

最も効率が良い情報源は本だと思っています。

書店に並んでいるものであれば少なくとも詐欺的なものは無いでしょう。

さらに言うと、書店で平積みされている目を引きやすい最新の本よりも、少し古くなっても並んでいるロングセラーの方が有用かもしれません。

私はとにかくたくさんの本を読むことをおすすめしていて、それぞれを読み比べて、共通点や疑わしい部分などを見抜いていくことが大事だと思います。

<9.対面証券で取引する>

大手証券会社の話になりますが、もちろん対面証券が悪いというわけではありませんが、彼らもビジネス上の理由から手数料を稼がなければなりません。

今ではネット証券を利用すれば、基本的な株式取引は手数料無料となっており、対面証券の手数料はコストパフォーマンスが悪いです。

特に退職金など急に大きなお金が入ってきた人は狙われやすいので気を付けましょう。

「あなたにだけ特別に…」などと言って様々なものを勧めてくるかもしれませんが、投資情報は誰でも手に入れられるもので、特別な情報というものはほぼ無いと考えるべきです。

対面証券の唯一のメリットとしてIPOの抽選に当たるということもありますが、それ以外のメリットは見当たりません。

<10.業績を見ない>

銘柄の業績を見ることは重要です。

過去5年とか10年分の業績を見て、右肩下がりになっていたり上下動が激しい銘柄に投資をして成功するケースは少ないです。

右肩上がりで業績が伸びている企業の方が、成功する確率は高くなります。

細かい数字を全て見る必要はなく、純利益が伸びているかどうかをまず見てみると良いと思います。

<11.誰かが言うことを妄信する>

カリスマ的な人物やウォーレン・バフェットのような成功者の意見であっても、その言葉を鵜呑みにせず、自分自身で考えることが重要です。

彼らは自分で判断して方針を変えることもできますが、ただ妄信しているとその変更にパニックを起こしてしまいます。
利益も損失も受けるのは自分自身なので、自分で考えて判断するということが投資をする上での絶対条件だと思います。

<12.人のせいにする>

繰り返しになりますが、自分の資産に関することなので、自分の考え、自分の責任で行う必要があります。

他人に責任を押し付けているようであれば成長もありません。

<13.反対意見を受け入れない>

投資において、正解は一つだけではありません。

ある意見や戦略が成功する確率が高いと思っても、それが絶対的な正解であるとは限りません。

世の中は変化しますし、常にリスクも存在します。

反対の意見やリスクを無視せず、バランスを持つことが大切です。

自分の意見に固執せず、異なる視点を受け入れることで、冷静な判断ができるようにしましょう。

<14.わからないことを放置する>

株価は動くと言っても適当に動いているわけではなくて、その背景には当然企業があります。

企業を見ない、理解しないということはただ運に任せているということになります。

運よく成功することもあるかもしれませんが、それが継続することはないでしょう。
疑問を持って探求する姿勢は投資で成功するために必要なことです。

Next: まだある破滅への道。やってはいけない「心理編」「行動編」



投資初心者がやってはいけないこと「心理編」

<15.すぐダメだと思う>

何かに投資をして、上手くいかなかったからと言ってすぐに諦めて別のところに移っていては何も学びを得られないままになってしまいます。

なぜ上手くいかなかったのか、どういう条件であれば上手くいったのか、ある程度腰を据えて考えることも必要になってきます。

<16.成功に有頂天になる>

投資には運の要素も多分にあります。

たまたま最初に上手くいったからといって、自分は投資が上手いと慢心していてはその後の学びが得られなくなります。

場合によっては調子に乗って信用取引に手を出して痛い目に遭うということも珍しくないです。

成功したのであればそれはそれで良いことですが、なぜ成功したかを考えることが重要です。

そして、一気に投資金額を上げるのではなく、段階を踏んで徐々に増やしていく謙虚な姿勢が大切です。

<17.0か100かで考える>

未来のことなので、100%ということはありません。

ある銘柄を買い続ける、あるいは売ると決めたら全部売る、という動きではなくて、常にどっちの可能性もあることを忘れてはいけません。

極端な考えに陥らず、様々な可能性を認識しながら行動することが重要です。

投資初心者がやってはいけないこと「行動編」

実際にどのような行動を避けるべきか、これは投資に対するスタンスに関連することになります。

<18.株価をずっと見てしまう>

これは、投資の成果というよりも、続けられるかどうかというところに関わってきます。

株価の動きを常に監視して一喜一憂していると、やがて疲れて嫌になってきます。

投資のコツはとにかく長く続けることです。

嫌にならずに長く続けられるように、株価をチェックする頻度などはルールを決めて行うと良いでしょう。

<19.リスクばかり気にして始めない>

投資にはリスクが伴います。

しかし、始めないことには資産が増えることもありません。

減るだけではなく増えることもあるというのがリスクの本質です。

まずは少額から始めて、リスクの意味を経験することが大事だと思います。

<20.株価は上がらないと思う>

このネガティブな思考を捨てましょう。

株式市場は長期的な視点で見ると、常に成長しています。

特に長期投資を行う場合は、株価に対してポジティブでいることが重要です。

Next: 逆に「今すぐやるべきこと」は?何より自分で考えて続けることが大事



今すぐやるべきこと

ここまでは「やってはいけないこと」を紹介してきましたが、今度は初心者がまずやるべきことをまとめました。

  1. 投資できるお金を認識する
  2. ネット証券の口座を開く
  3. 四季報や雑誌から気になる銘柄をピックアップ
  4. 投資資金の15%で単元未満株を5銘柄買う
  5. 1~4を繰り返し、良し悪しを学ぶ

とにかくまずは少額から始めてみて、良し悪しを学び、自信がついてきたら投資資金を大きくしたり投資する銘柄を増やしたり、あるいは減らしたりしながら自分の心地よい銘柄数や投資スタイルを見つけていくと良いでしょう。

自分自身で考え、判断し、続けるということが何より大事です。

今回紹介した「やってはいけないこと」「やるべきこと」をしっかり認識して、デキる投資家になっていただければと思います。

(※編注:今回の記事は動画でも解説されています。ご興味をお持ちの方は、ぜひチャンネル登録してほかの解説動画もご視聴ください。)


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バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問 バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問 』(2023年9月24日号)より
※記事タイトル・見出しはMONEY VOICE編集部による

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【毎日少し賢くなる投資情報】長期投資の王道であるバリュー株投資家の視点から、ニュースの解説や銘柄分析、投資情報を発信します。<筆者紹介>栫井駿介(かこいしゅんすけ)。東京大学経済学部卒業、海外MBA修了。大手証券会社に勤務した後、つばめ投資顧問を設立。

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