会員制の大型スーパー「コストコ」の日本法人が、東京国税局から消費税の税額の計算ミスを指摘され、およそ15億円を追徴課税されたと報じられている。
追徴課税を受けたのは「コストコホールセールジャパン」で、報道によれば国内の一部の店舗において、大量の家電を一度に購入するなど転売行為が疑われる外国人客に対して、免税で商品を販売するなどの、不適切な対応を行っていたとのこと。
また税額の計算ミスもあったといい、去年8月までの5年間で消費税およそ14億円の申告漏れがあったとし、過少申告加算税を含めて約15億円を追徴課税したという。
転売OKのコストコだが免税購入の場合は…
日本では1999年の1号店オープン以来、着実に店舗数を増やし続け、今では国内に30店舗以上を有するとされるコストコ。
2030年までに国内60店以上、将来的には100店舗超えを目指すとしている同社だが、いっぽうでグローバルスタンダードを基準とした高時給での求人を各地で行っていることも、時に大きな話題となるなど、消費者目線からはもちろんのこと労働者からの視点でも「近所にできるとうれしい」と待望される存在といったところだ。
そんな絶好調ともいえそうなコストコによる、今回のまさかの消費税申告漏れ報道なのだが、他の報道によれば、どうやら給与のようにそもそも消費税がかからない「不課税取引」と、土地の譲渡や住宅の貸し付けのような「非課税取引」を、税法上区別する必要があるにもかかわらず、一部を混同していたとのこと。
日本の消費税法に特有なこれらは、経験の浅い経理担当者だと間違えやすいとはいうものの、コストコも日本に進出して20年以上も経つだけに、日本の税制に慣れていない外資企業ゆえのミスという擁護ももはや苦しいといったところだ。
いっぽう、今回の申告漏れ14億円分のうち、約3億円を占めたとされたのが、免税販売した商品の一部について、免税要件を満たしていなかったという指摘だ。
コストコ自体、大量購入が当たり前なのにくわえ、そもそもが卸売業であるがゆえに、コストコのビジネス会員にさえなれば、いわゆる転売行為も可能であることは、ここにきて広く知られるようになったところ。
現に最近では日本各地に「コストコ再販店」、コストコで売られている商品を小分けにして販売するショップが、全国に増殖中。近くにコストコの店舗がない地域の方々はもちろんだが、コストコ特有の大容量の商品だと余らせてしまうといったご家庭、さらにそこそこの年会費がかかるコストコの会員になるのに二の足を踏んでいるといった向きからも、大いに人気を博しているようだ。
ところが、これが免税購入だと話は大きく違ってくるようで、その対象は「通常生活の用に供する」物品に限られ、国内での消費にくわえて転売行為は認められていない。にもかかわらず、コストコの一部店舗においては、転売目的の外国人客に対し商品を免税販売してしまったということで、そのことが咎められる格好となったというのだ。
昨年アップルジャパンは約140億円もの追徴課税
こういった免税品の不適切販売といえば、昨年12月にアップルの日本法人「アップルジャパン」が、アップルストアにおける免税売り上げのうち約1,400億円分について要件を満たしていないと指摘され、なんと約140億円もの消費税を追徴課税されたことが。
これは日本でのiPhoneの販売価格が、アップル側の戦略もあり諸外国と比べてもかなり安価に設定されていたことがあり、その価格差が主に中国人だという外国人転売ヤーらのターゲットになってしまったという背景があったようだが、今回のコストコのケースもほとんど同様で、要は安いニッポンの利ザヤ、くわえて免税でより安く手に入ることでの更なるお得さが狙われたものとみてほぼ間違いなさそう。
さらに免税販売に関しては、諸外国だと旅行客も一度は消費税を店に支払ったうえで、帰国する際に戻すといった仕組みを取っているところがほとんどなのに対し、日本の場合は個々の店で免税手続きを取るため、それゆえ免税対象者か否かといったチェックが難しく、こうした“抜け道”を許してしまうといった指摘もなされているところ。
このように現状の租税制度にも少なからず問題があるうえに、当然一番悪いのはそれを悪用する転売ヤーであることは間違いないわけだが、にもかかわらず外国人転売ヤーをスルーしたと咎められ、あまつさえ追徴課税を食らうという、少々かわいそうだといった印象も否めない今回の件。ちなみにアップルジャパンはというと、これらの問題を受けてストアでの免税販売を止めてしまったのが、果たしてコストコは今後どうするのか、何らかの対応に迫られることとなりそうだ。
Next: 「外国人が別途還付請求するしくみに変えたほうがいい」
ツイッターの反応
転売屋にはめられたコストコ。
“コストコ日本法人に約15億円追徴課税 免税品不適切販売などで | NHK :大量の家電を一度に購入するなど、転売が疑われる外国人客に免税で商品を販売するなど、不適切な対応が確認された” https://t.co/CwyzbWPRr3
— zapa (@zapa) November 7, 2023
不課税と非課税の扱いの間違えはよくある
外国人相手の非課税取引は自己使用かどうかの判断をできるはずがなく
外国人が別途還付請求するしくみに変えたほうがいい
.
コストコ日本法人、消費税14億円申告漏れ 免税販売や申告ミスで(朝日新聞デジタル)#Yahooニュースhttps://t.co/RC8F6etv4o— たんぼ4234 (@420304) November 7, 2023
14億の申告漏れはエグいな😰
しかし、その内3億は転売ヤーによる免税の悪用だってんだからコストコも可哀想な希ガス(*_*)💨
免税の要件とかは経理部の幹部主導でマニュアル作らないとレジのおばちゃんじゃわからないよね(-""-;)
まあ、そもそも転売ヤーによる買い占めが問題なんだが…(;´・ω・`)— 2次元おじさん@メンタル強化中 (@SIaxAJXBRiv_2nd) November 7, 2023
Appleやコストコだけでなく、日本全国の免税カウンターはガバガバな気がするな… https://t.co/w3cCg0U9BF
— takeshi74 (@takeshi741) November 7, 2023
だから、こんなことやっていないで、離日時に還付するべきだ。国税庁は面倒くさいことは嫌で、外国人が脱税するのを時々形だけ摘発できればいいのだろう。税金が足りなければ増税すればいいしな!徴税の手間を企業に押し付けるのは、源泉徴収も同様。#脱税https://t.co/5AsxVtkU4a
— ひろ (@9999_go) November 7, 2023
世界よ、これが日本の国税だ!
複雑怪奇な制度を押し付けて勝手に追徴してくる。 https://t.co/y2NojQ2NKi— うましち@兼業花農家 (@farmer_UMA7) November 7, 2023
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