fbpx

コストコ、時給1,500円求人での“地方の賃金破壊”に「日本は外圧が無いと変わらない」との声。熊本では半導体企業の進出で“食堂のおばちゃんが時給3,000円”との話も

世界的な小売チェーンである「コストコ」が高時給での求人を行っていることに、地方の小売業経営者や募集担当者が“恨み節”を漏らしているといった報道が、大いに反響を呼んでいるようだ。

記事によれば、グローバルスタンダードを基準としているコストコの時給は、最低でも1200円スタートで、勤め続ければ基本的には一定の額(1,800円)まで自動的に昇給。さらにフルタイム勤務が可能なうえに正社員採用も積極的で、福利厚生も手厚いという。

時給そのものが“最低賃金”レベルに抑えられているうえに、昇給されるかどうかも曖昧といった地方の企業からは、そんな好待遇で行く行く先で募集をかけ、地方の限られた人材を根こそぎ集める格好となっているコストコに対して、「コストコに(人を)取られる」「コストコが(地域の)賃金を壊している」と危機感を募らせているという。

「適正な賃金払えない企業は退場すべき」との声も

アメリカ発祥の“ホールセールクラブ”と呼ばれる業態であるコストコだが、日本国内でも福岡県内に第1号店が1999年に登場して以来、着実にその店舗数を増やしており、現在では32店舗を有するとのこと。

こういった大手資本と地域経済との軋轢といった話といえば、過去にはスーパー大手のイオンが各地に巨大なイオンモールを建てたことで、地域の商店街が衰退して……といった話が大いに取沙汰されたことがあったが、以前のイオンのケースだと主に“顧客が奪われる”という点が特に問題視されているのに対し、今のコストコは“働き手を奪われる”という点に大いにクローズアップされているようである。

そういった違いもあるからなのか、今回の報道の反応を見てみても、かつてのイオンに向けられたような“懐疑的な視線”は、今回のコストコに対してはほとんど無い印象で、むしろ批判は専ら“地域経済”側に向いているといった印象。

なかでも怒りを大いに買っているのが、群馬県のガソリンスタンド経営者が語ったという話の内容。その人物は「時給1,500円は無理だ。群馬県の最低賃金は895円、世界的企業の真似はできない」と大いに嘆いたうえで、「東京や横浜ならまだしも、群馬でそんな待遇を深夜でもないのに用意できる店は少ないだろう。いや、小売に限ればほぼないと言っていい。ただでさえ人手不足なのに」とコメント。

この“賃金は頑なに上げたくないけど人手不足は困る”といった、自家撞着もいいところな言い分に対して、SNS上からは「子供のわがまま並」「人手が不足してる原因それじゃん」と激しいツッコミが。さらには「適正な賃金払えない企業は退場すべき」といった意見も飛び交っているのだ。

【関連】賃上げ格差が危険水域に。“満額”連発の大企業、“人手不足倒産”危機の中小…どちらもコスト高で物価上昇=斎藤満

【関連】早くも賃上げ倒産増加の兆候。薄給しか出せぬ中小企業が直面する「従業員退職型倒産」の危機=斎藤満

このところは物価高騰が続いていることもあって、賃上げムードも巷では広がっているものの、実際のところは大企業と中小企業とで、その対応が大きく分かれているというのが実情。

体力的に賃上げができない零細企業のなかには、いわゆる“人手不足倒産”の危機も迫っているといったことも取沙汰される厳しい状況ではあるわけだが、とはいっても、こういう風に開き直られるようでは……ということで、殊更批判の声が殺到したという格好のようだ。

結局、外圧が無いと変わらない日本

いっぽうで、今回のコストコによるある意味での“賃金破壊”に関しては、「結局、日本は外圧が無いと変わらないんだな」といった見方も広がっているところ。

近頃、そんな“外圧”ということで大いに話題になっているのが、台湾半導体メーカー「TSMC」が熊本県内に新工場建設を決めたという

半導体の受託生産で世界シェアトップを誇る同社の新工場は、2024年末には稼働しはじめる予定だというが、これにより熊本県内への経済波及効果は、10年でなんと4兆3,000億円にのぼるとの試算もあるようで、同地では早くも好景気に沸いているとのこと。なんでも“工場の食堂のおばちゃんの時給3,000円”といった話までも浮上しているというのだ。

食堂のおばちゃんの件が本当なら、コストコのさらに上をいく好待遇といったところだろうが、ただこれはあくまでTSMCが進出する熊本に限った局所的な話。

今回取沙汰されているコストコに関して言えば、先述の通り現在は32店舗だが、同社によれば2030年までに国内60店以上を目指す予定だといい、将来的には100店もあり得るとのこと。そこまでの数となれば、日本国中をほぼ網羅することとなり、となると今回のような“グローバルスタンダードな好待遇に慄く地域経済”といった構図が、全国の“地方”で浮上する事態となるのも、そう先の話ではないといったところのようだ。

Next: 「衝撃なのはいまだ1500円が「高時給」に入るという我が国の現状」

1 2
いま読まれてます

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

MONEY VOICEの最新情報をお届けします。

この記事が気に入ったらXでMONEY VOICEをフォロー