主に個人投資家の間では、相変わらず高配当株人気が続いている。多くの企業にとって決算期末となる3月を迎え、月末に向けて権利取りの動きも強まりやすい。そこで、今回は一定の条件をもとにスクリーニングを実施してみた。(『 田嶋智太郎の先読み・深読み!株式マーケット 田嶋智太郎の先読み・深読み!株式マーケット 』田嶋智太郎)
※本記事は有料メルマガ『田嶋智太郎の先読み・深読み!株式マーケット』2024年3月8日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。
慶応義塾大学卒業後、現三菱UFJモルガン・スタンレー証券勤務を経て転身。転身後の一時期は大学教諭として「経営学概論」「生活情報論」を担当。過去30年余り、主に金融・経済全般から戦略的な企業経営、地域金融機関改革、引いては個人の資産形成、資産運用まで幅広い範囲を分析研究。民間企業や金融機関、新聞社、自治体、各種商工団体等の主催する講演会、セミナー、研修等において、累計3,000回超の講師を務めてきた。これまでに数々のテレビ番組へのレギュラー出演を経て、現在はマーケット・経済専門チャンネル『日経CNBC』のレギュラー・コメンテーターを務める。主な著書に『上昇する米国経済に乗って儲ける法』(自由国民社)などがある。
好業績&高配当が魅力の3月決算企業
主に個人投資家の間では、相変わらず高配当株人気が続いている。
聞くところによると、ここにきて日経平均株価が史上最高値を更新してきたことにより、あらためて新型NISAの口座開設申し込みが殺到しているという。投資初心者という方も少なからずおられるなか、配当水準が高めの銘柄に目を向ける向きも多いのだろう。
7日の東京株式市場で、日経平均株価の構成銘柄から配当利回りが高い銘柄を選んだ「日経平均高配当株50指数」が2017年1月の算出開始以降の最高値をつけた。日本企業のコーポレート・ガバナンス(企業統治)改革や株主還元策への期待に加え、新しい少額投資非課税制度(NISA)も追い風となり、高配当株に買いが集まっている。
まして、多くの企業にとって決算期末となる3月を迎え、月末に向けて権利取りの動きも強まりやすい。そこで、今回は一定の条件をもとにスクリーニングを実施してみた。
以下の条件でスクリーニングした結果、抽出された銘柄のうちいくつかを挙げておきたい。
*営業増益率(予想)=前期比10%以上
*最終増益率(予想)=前期比10%以上
*ROE=8%以上
*予想配当利回り=3%以上
*時価総額=100億円以上
*予想PER=20倍以下
*来期も増益となる期待が大きい
センコーグループHD<9069>
トラックなどの輸送サービスと物流センターでの保管・流通加工サービスの提供を中核とする物流企業。ほかに商事・貿易、ライフサポートなど事業の多角化を進める。
主力の物流事業は、食品、チェーンストア、ファッションなどの流通業界がお得意様。足元は、22年12月に実施した食品容器の製造販売を手がける中央化学の買収で、スーパー向けに食品トレーの販売が伸びる。物流事業でトラック運賃や倉庫内の作業を請け負う料金を引き上げたことも貢献。
24年3月期は、売上高が前期比12%増の7,800億円、営業利益は同16.3%増の297億円、純利益は同10.8%増の170億円と過去最高益更新を見込む。
2月19日の取引終了後、株式の売り出しを決議したと発表。併せて自社株買いを公表したものの、売り出しの規模が上回っていることから、需給面でのネガティブな影響が警戒されて、株価は大きく下落。
しかし、本来の収益力や株価のバリュエーションから考えれば、ここでの押し目は魅力の水準とみることもできる。予想PER=10.32倍、実績PBR=1.03倍、予想配当利回り=3.40%。
ダイセル<4202>
車の部品等で使用の高機能樹脂(エンプラ)が柱で、ほかに液晶フィルム材やエアバッグ基幹部品も展開する。たばこフィルター用トウでは国内シェア100%、液晶ディスプレイ(LCD)用TACフィルム原料では世界シェアの80%。エアバッグ用インフレータ(発火装置)も世界トップクラス。
足元は、自動車生産の回復やタバコフィルター用トウの価格是正などが増収増益に寄与。
24年3月期は、売上高が前期比4.5%増の5620億円、営業利益は同18.4%増の610億円、純利益は同32.7%増の540億円と過去最高益更新を見込む。
25年3月期はエンプラや半導体関連などの復調が期待されており、足元で予想PER=7.82倍、予想配当利回り=3.42%と、株価は割安水準にあると見られる。
Next: 権利取りの動きが強まるか。3月末の権利付最終日は3月27日(水)
宮地エンジニアリンググループ<3431>
道路橋や鉄道橋など橋梁を中心とした鋼構造物(こうこうぞうぶつ)の建設、維持、補修をグループで展開。主な売上先は、国土交通省、高速道路会社などで公共事業が中心。
足元は、大規模更新工事の進捗が順調で採算も向上。関東、関西の鉄道橋が貢献。
24年3月期は、売上高が前期比17.8%増の710億円、営業利益は同38.5%増の71億円、純利益は同23.5%増の38億円を見込む(2月9日に通期業績と期末配当の予想を上方修正)。3Q時の進捗率は、営業利益で95.7%、純利益で97.3%に達しており、最終的には上ブレで着地すると見込まれる。結果、純利益は過去最高を更新するものと見られる。
25年3月期も橋梁の新設、高速道路の大規模更新工事などが順調に推移する見通し。
昨年10月に1対2の分割を実施しており、分割を考慮した値で言うと、前期実績70円から今期は180円に大幅増配。利回りは4.18%と魅力の水準にある。
レーサム<8890>
個人富裕層や機関投資家層などに向け、収益不動産を開発・販売。資産価値創造事業を主力に展開する。その資産価値創造事業では、商業ビル、オフィス、マンション、宿泊施設、医療施設など多岐にわたる取扱物件を扱う。足元は、主力の不動産販売で好採算の20億円超となる大型案件が倍増するなど大きく伸長。小口化商品も順調に推移している。
24年3月期は、売上高が前期比32.5%増の900億円、営業利益は同25.2%増の180億円、純利益は同31.1%増の110億円と過去最高益更新を見込む。
2月末に昨年来高値を更新したが、それでも足元の予想PER=9.41倍、予想配当利回り=4.91%と魅力の水準にある。
Next: まだある好業績&高配当が魅力の3月決算企業
MCJ<6670>
受注生産方式のパソコンメーカー。「マウスコンピューター」を中核に、「iiyama」ブランドの液晶モニタやパソコン周辺機器などを販売するパソコン関連事業をグループで展開する。
海外売上高比率3割で、欧州では好採算の電子看板などが想定を超える伸び。インド中心のスマホ・PC修理も拡大している。24年3月期は、売上高が前期比3.2%減の1850億円、営業利益は同16.6%増の167億円、純利益は同23.9%増の119億円と過去最高益更新を見込む。
25年3月期は更新需要で国内PCが伸びる見通し。2025年10月14日をもってウィンドウズ10のサポートは終了。GIGAスクール構想による学習用端末の買い替え需要が2024年に高まるという予測もある。
株価は2月初旬に上場来高値を更新し、なおも高止まりしているが、それでも足元の予想PER=11.85倍、予想配当利回り=4.11%と割安水準にある。
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『
田嶋智太郎の先読み・深読み!株式マーケット
田嶋智太郎の先読み・深読み!株式マーケット
』(2024年3月8日号)より一部抜粋
※タイトル・見出しはMONEY VOICE編集部による