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いま食品株がアツい。秋にかけて円高・価格高・賃金高の「3高」で成長が見込める4社とは=田嶋智太郎

食品や小売りといった消費関連株の多くはこれまで出遅れてきた。消費関連株全体では、実質賃金のプラス転換が大きな焦点になる。市場では夏から秋にかけてプラス転換するとの見方が多い。つまるところ、当面は円高、価格高(値上げ)、賃金高(賃上げ)の「3高」の恩恵を受ける以下に挙げるような銘柄群に注目しておきたいと考える。(『 田嶋智太郎の先読み・深読み!株式マーケット 田嶋智太郎の先読み・深読み!株式マーケット 』田嶋智太郎)

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※本記事は有料メルマガ『田嶋智太郎の先読み・深読み!株式マーケット』2024年7月26日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール:田嶋智太郎(たじま ともたろう)
慶応義塾大学卒業後、現三菱UFJモルガン・スタンレー証券勤務を経て転身。転身後の一時期は大学教諭として「経営学概論」「生活情報論」を担当。過去30年余り、主に金融・経済全般から戦略的な企業経営、地域金融機関改革、引いては個人の資産形成、資産運用まで幅広い範囲を分析研究。民間企業や金融機関、新聞社、自治体、各種商工団体等の主催する講演会、セミナー、研修等において、累計3,000回超の講師を務めてきた。これまでに数々のテレビ番組へのレギュラー出演を経て、現在はマーケット・経済専門チャンネル『日経CNBC』のレギュラー・コメンテーターを務める。主な著書に『上昇する米国経済に乗って儲ける法』(自由国民社)などがある。

「3高」で最高益の食品株に大注目

昨日(25日)で、日経平均株価は7日続落。今月11日の高値が4万2,400円台であったことを考えれば、いま目の当たりにしている3万8,000円割れの水準までの下げは暴落と呼べる。こうした指数の大幅下落は主力株・大型株が主導しており、全体を概観すると中.小型株、グロース株、出遅れ銘柄への資金シフトが進んでいるとも言える。

そこで、当面注目されるのが食品関連株。外国為替市場で円高が進み、海外から原材料を輸入することが多い内需型企業の採算改善期待が膨らんでいる。これまでに値上げを成功させ、今後は原材料コストの減少効果が期待できる銘柄などが買われやすくなっているわけである。食品業界では調達コストや人件費の増加を受けた値上げが一巡し、決算発表を前に市場では好業績が期待できる銘柄を選別する動きも目立つ。

根底には値上げの浸透に伴う稼ぐ力の向上がある。消費関連銘柄は長引く物価高が逆風になってきたが、一部の「勝ち組」にはマネーが流入。その代表格がキユーピー<2809>であり、同社株は今週22日に上場対高値を更新。これに続く銘柄が広がれば、当面の日本株の底を支える一助となろう。

食品や小売りといった消費関連株の多くはこれまで出遅れてきた。消費関連株全体では、実質賃金のプラス転換が大きな焦点になる。市場では夏から秋にかけてプラス転換するとの見方が多い。

つまるところ、当面は円高、価格高(値上げ)、賃金高(賃上げ)の「3高」の恩恵を受ける以下に挙げるような銘柄群に注目しておきたいと考える。

日清食品HD<2897>

植物性材料でうなぎのかば焼きを再現した「謎うなぎ」や、効率的な栄養摂取が可能とうたう「完全メシ」などで何かと話題を振りまいている。

22年に「完全メシ」を発売し、カップメシやスムージーなど多くの商品で市場をけん引する。25年度には市場売価で100億円ブランドを目指す(23年度は50億円だった)。

足元は、即席麺などを手掛ける米国事業の好調に加えて、乳酸菌飲料やポテチなどスナック菓子を手掛ける国内グループ企業も好調で収益をけん引。25年3月期は、売上高が前期比7.1%増の7,850億円、純利益は同0.6%増~6.1%増の545~575億円をゾーンで予想している。仮に予想ゾーンの下限であっても最高益を更新することとなる。

日清食品HD<2897> 週足(SBI証券提供)

6月以降の株価は、一目均衡表の週足「雲」下限に沿うような形で持ち直す動き。週足のMACDはマイナス圏でシグナルラインを上抜け、徐々にゼロ水準に近づいてきている。このゼロ水準と週足「雲」を順に上抜ける局面を見定めたい。

ニチレイ<2871>

主力の冷凍食品や冷凍物流が海外中心に好調。低温物流は集荷増え、運賃転嫁も進む。加工食品は国内で主力チャーハンが増勢。値上げも浸透してきている。

海外は、米国での新ブランド投入効果もあり、加工食品事業が好調。また、昨年は家庭用のアジア食品市場でもシェアが首位に。アジアの成長余地は大きい。単身世帯の増加など背景に、好採算の一人前の冷食にも商機を見出している。

増収効果や物流料金の引き上げで営業増益。25年3月期は、売上高が前期比1.5%増の6,900億円、営業利益は同5.7%増の390億円、純利益は同1.2%増の248億円と2期連続での過去最高更新を見込んでいる。

ニチレイ<2871> 週足(SBI証券提供)

株価は、一目均衡表の週足「雲」上限が下値を支える格好で7月8日安値=3,393円から強く切り返す動きを継続。週足のMACDはゼロ水準を超えてきており、一段の上値余地拡大に期待したい。

Next: まだある成長が見込める食品銘柄。個人投資家が注目すべきは?



カルビー<2229>

国内は『じゃがりこ』などスナック菓子の主力商品の販売が伸びる。6月に『じゃがりこ』など値上げしており、足元は旅行の活発化で土産用の需要も高まる。海外は英国.インドネシアが着実に増勢。

25年3月期は、値上げの効果で原材料費や物流費などのコスト増を吸収し営業増益(前期比5.8%増の289億円)だが、前期に計上した為替差益がなくなり最終減益(前期比9.5%減の180億円)と会社側は控えめに見込んでいる。

広島市内に建設中の「せとうち広島工場」が6月に完成。今月(7月)から生産設備を搬入し、2024年度内に生産を始める計画。稼働が始まると、主力商品のポテトチップスなどの生産能力は現在稼働中の工場に比べて1.6倍(6割増)となる。

カルビー<2229> 週足(SBI証券提供)

株価は52週移動平均線が下値を支える格好で切り返してきており、週足のMACDもゼロ水準近辺から浮上中。シグナルラインを上抜ける局面にあり、全体地合いが軟調であるなか強めの基調が続く。

湖池屋<2226>

親会社が日清食品HDということで、「完全メシ」シリーズでは初となるスナック菓子「完全メシ カラムーチョ ホットチリ味」を投入。たんぱく質、脂質、炭水化物という三大栄養素のバランスを整えている。

健康は気になるがジャンクはやめられないという複雑な消費者の気持ちに応える。

足元は、「コイケヤポテトチップス」など主力商品の付加価値を高める取り組みなどが寄与し、24年3月期時点のROEは13%台に到達。前期に引き続き、今期も純利益は過去最高を更新する見通し。

25年3月期は、売上高が前期比0.6%増の450億円、営業利益は同13.1%増の40億円、純利益は同8.0%増の28億円と過去最高を更新する見通し。

ポテトチップスなどスナック菓子27品を10月から値上げすると発表。また、今年3月には岐阜県内にスナック菓子の新工場を約100億円かけて建設すると発表。9月に着工し2025年8月の完成を予定している。

湖池屋<2226> 週足(SBI証券提供)

株価は目を見張る好パフォーマンス。4月につけた上場来高値=4,970円に顔合わせする強い動きとなっている。

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image by: TY Lim / Shutterstock.com

田嶋智太郎の先読み・深読み!株式マーケット 田嶋智太郎の先読み・深読み!株式マーケット 』(2024年7月26日号)より一部抜粋
※タイトル・見出しはMONEY VOICE編集部による

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