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大阪万博、開幕までにいくらかかった?「負の遺産」夢洲に税金が注がれる裏事情=原彰宏

2025年4月13日、大阪市の夢洲(ゆめしま)で「大阪・関西万博」が開幕しました。半年間にわたり、最先端の技術や未来の社会の姿を発信していくとされています。しかし、5カ国のパビリオンが開幕に間に合わないなど、準備の遅れが目立ち、会場整備や運営には税金を含めて巨額の費用がかかっています。今回は、大阪・関西万博に関わる「数字」を取り上げ、この一大イベントの「裏の狙い」について考察します。(『 らぽーる・マガジン らぽーる・マガジン 』原彰宏)

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※本記事は、『らぽーる・マガジン』 2025年4月14日号の一部抜粋です。ご興味を持たれた方はこの機会に今月すべて無料のお試し購読をどうぞ。

ついに開幕「大阪万博」

大阪・関西万博が13日午前、大阪市の人工島、夢洲(ゆめしま)で開幕しました。「いのち輝く未来社会のデザイン」をテーマに、10月13日まで半年間にわたって未来社会を形づくる理念や先端技術を発信します。

日本での大規模万博は2005年の愛知以来20年ぶり6回目。 過去最多となる158カ国・地域が参加します。

しかし、5カ国のパビリオンが未完成で開幕に間に合いませんでした。海外パビリオンは人件費や資材の高騰を背景に準備の遅れが指摘されていました。

「万博の華」とも呼ばれる参加国が自前で建設するタイプは当初約60カ国が希望していましたが、最終的に2割減の47カ国(42棟)となり、インド、チリ、ネパール、ベトナム、ブルネイの計5カ国のパビリオンについて、内装工事などが完了せず、13日の開幕から当面の間、休館することになりました。

ネパールは参加国が建設する「タイプA」、チリとベトナムは、協会が建設した建物を参加国が個別に借り受ける「タイプB」、ブルネイは共同入居型の「タイプC」、インドは協会が建設を代行する簡易型「タイプX」で参加しています。

会場建設費は当初予算の1.9倍!開幕までにかかった費用まとめ

開幕に至るまでにかかった費用は、内閣官房のホームページなどで確認することができます。

会場建設費(建設資材費や労務費含む)は、約2,350億円。これを「国・大阪府市・民間企業」が3分の1ずつ負担します。

会場建設費は、新型コロナウイルス禍やウクライナ危機などの影響で、2度の増額を経て、当初の1.9倍の最大2,350億円にまで膨らみました。

国費負担は1,647億円、内訳は、会場建設費の3分の1を負担して783億円、日本館建設費360億円、途上国出店のための費用240億円、会場内安全確保費用(警備費)199億円、全国的な機運醸成費用38億円、誘致などの費用27億円となっています。

内閣官房ホームページによれば、上記「全国的な醸成費用」は2億円追加の40億円となっています。

大阪・関西万博の費用としては、報道では会場設備費・運営費・基盤整備費として総額約7,600億円という数字が出てきています。

これ以外に、インフラ整備として9兆7,000億円があり、うち万博に直接関係する費用は8,390億円とあります。

さらに、アクションプランとして約2.8兆円、国際博覧会共通経費として約75億円という数字が見られます。

アクションプランとは、万博のメインテーマである「未来社会の実験場」の具体化と、日本全国における万博メリットの享受に向け、各府省庁取り組みをまとめた施策集という説明があり、万博の目玉である「空飛ぶクルマ」の実現など、最先端のモビリティ技術の社会実装や、エネルギーや環境関連技術の実証などにかかる費用のようです。

詳しくは内閣官房のホームページをご覧ください。

Next: 運営費も大幅増額。チケットとグッズが計画通りに売れなければ…



運営費も大幅増額!不足分は国と大阪府・市の税金から…

運営費も1.4倍の1,160億円に増額し、大半を入場券収入で賄うとしています。

赤字になるかどうかの損益分岐点は1,800万枚といい、1,400万枚が目標だった前売り券の売り上げは11日時点で約934万枚にとどまる見通しのようです。

半年間の会期中、約2,820万人の来場を見込んでいます。

その収入の方ですが、チケット・グッズ等の売り上げ計画は1,160億円にとどまり、不足分は国や大阪府市の税金、経済界やパビリオン出展者の拠出金で賄われます。

3,000億円程度の税金が投入されることを踏まえると、その費用対効果については議論を継続的に深める必要があると、国内シンクタンクは指摘しています。

経済波及効果は約2.9兆円?

万博の経済波及効果は約2.9兆円と試算されています。

閉幕後の会場は原則更地に戻す必要がある万博の特殊性も、費用対効果の議論を難しくしています。

大阪・関西地域だけを見ると費用対効果は大きいかもしれませんが、その他の地域における経済的な恩恵は限定的であることが想像できます。

地域での事前の盛り上がりに欠けるところは否めません。

GDPや経済波及効果は財貨・サービスの生産量を市場価格で捉えたものであり、万博が掲げる社会的課題の解決やSDGsの達成により生み出される経済効果を測定することはできないという意見もあり、短期的・直接的な価値ばかりに注目すべきではないという見方もあります。

夢洲での開催は、地中の廃棄物から出る可燃性メタンガスの影響も指摘されています。

報道での扱いは小さいですが、さすがにこの問題は無視することはできないでしょう。

大阪万博で「儲かる」のは誰…?

経済的効果を言えば、その本質は「万博」にあるのではなく、その跡地にできる米カジノ大手MGMリゾーツ・インターナショナルが出資する「大阪IR」(カジノを含む統合型リゾート)にあるのではないでしょうか。

ITmediaビジネスの記事に「『関西・大阪万博』終了後はどうなるか」という記事に、興味深いことが書かれています。

いきなり何もない大阪の埋立地に、巨大なIRを建設しようというのは、事業者側の負担も大きいし、リスクも大きいでしょう。

しかし、それが国家プロジェクト「万博」の跡地なら、国や自治体がかなりの金を出して、会場や交通インフラ整備をしてくれます。

しかも、わずか数カ月であっても国際イベントを開催すれば、単なる埋立地が「万博跡地」に格上げされることになります…。

海外のIR事業者からすれば、国や自治体からここまで手厚いサポートをされていれば進出しないわけにはいかないでしょう。

なるほど…。

Next: 万博が赤字でも問題なし?大量の税金が注がれる理由は…



会場跡地開発は用地を4つに分けられ、サーキットやウォーターパークのある「エンターテインメント・レクリエーションゾーン」、商業施設のある「ゲートウェーゾーン」、そして最も広大な敷地となる「IR」と「IR連携ゾーン」ができるそうです。

万博が赤字でも、その後の跡地利用計画まで進んでいるので数字的には帳尻が合うということのようです。

もともと大阪・関西万博の会場である夢洲(ゆめしま)は、浚渫土砂や建設残土、廃棄物等の埋め立てによってつくられた人工島で、土壌汚染や液状化、地盤沈下の問題が指摘されている、利用が宙に浮いた状態となっていた「負の遺産」と呼ばれていたところです。

その「負の遺産」にスポットを当てて、万国博覧会を経てIR事業へと、不採算“お荷物”物件を、“税金の無駄遣い”の悪しき象徴ともいえる「負の遺産」を、“お金を生む”優良物件に変えるという壮大なプロジェクトがあったのです。

でも、もともとは夢洲などの人工島3島の自治体のプロジェクト失敗の尻拭いに、大量の税金が使われたにすぎないような気がするのですが、どうでしょうかね…。

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image by:Mirko Kuzmanovic / Shutterstock.com

らぽーる・マガジン らぽーる・マガジン 』(2025年4月14日号)より
※記事タイトル・見出しはMONEY VOICE編集部による

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