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北朝鮮の反撃で韓国軍壊滅、日本自衛隊出撃す。そのとき安倍政権は?=高島康司

前回、アメリカの北朝鮮攻撃プランが安倍政権の崩壊を前提条件としている可能性を指摘した。後編となる今回は、日本自衛隊の戦闘参加も含めてさらに詳しく解説する。筆者の見方が正しければ、朝鮮半島有事の前に今の森友問題をはるかに上回るスキャンダルが仕掛けられ、安倍政権は引きずり降ろされるかもしれない。(『未来を見る!ヤスの備忘録連動メルマガ』高島康司)

※本記事は、未来を見る! 『ヤスの備忘録』連動メルマガ 2017年4月7日号の一部抜粋です。ご興味を持たれた方はぜひこの機会に今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。

トランプの北朝鮮攻撃プランは安倍政権崩壊を前提としている(後編)

緊張高まる北朝鮮情勢

あいかわらず、北朝鮮を巡る情勢は緊張している。

4月5日、北朝鮮は東部の新浦から日本海に向け大陸間弾道弾と思われる飛翔体を発射し、日本の排他的経済水域(EEZ)の外に着弾した。これは、4月6日から始まる米中首脳会談を前に、ミサイル能力を誇示する狙いがあったとみられている。

また、4月6日からフロリダ州のトランプ大統領の別荘で行われる予定の米中首脳会談と、故キム・イルソン(金日成)書記長の誕生日で民族最高の記念日である太陽節の4月15日の間のいずれかの日に、北朝鮮は2006年から数えて6回目となる新たな核実験を行う可能性が高い。

さらに4月3日、トランプ大統領は英国大手の経済紙、フィナンシャル・タイムス(FT)のインタビューに答え、「中国が北問題を解決せねば、我々が解決する。私が言えるのはそれだけ」と発言し、中国の対応によっては北朝鮮先制攻撃が近い将来あり得る選択肢であることを示した。

さらに、「中国との支援なしに単独で可能なのか」との質問にも「言うまでもないことだ」と答えた。

このように、いまのところ、いつになるかは言えないものの、比較的に近い将来、アメリカが主導する北朝鮮への先制攻撃が実施される可能性が決して否定できない状況になっている。

他方韓国は、2018年に開催されるピョンチャン(平昌)冬期オリンピックに北朝鮮を招待していた。4月3日、北朝鮮はこれに応じ、選手団を派遣することを決定した。これは、これから北朝鮮が核問題を話し合う6カ国協議に復帰する意志があることの示唆ではないかとも見られている。

攻撃には日中韓の協力が不可欠

このように、さまざまな情報が交差している北朝鮮情勢だが、もし先制攻撃が実際に行われることになると、米日中韓の4ケ国の軍事的、政治的な協力が不可欠の条件になると考えられている。

もちろん全面戦争になるにせよ、最高指導者キム・ジョンウン(金正恩)の暗殺に絞った攻撃になるにせよ、米軍だけで先制攻撃は実施可能だ。これは先のFT紙のインタビューにトランプ大統領の答えた通りだ。

しかし、日本と韓国との関係がギクシャクして、なおかつ中国がアメリカに協力するどころか北朝鮮の支援に回るようなことにでもなれば、米軍の軍事力だけで北朝鮮を屈服させたとしても、戦争は思わぬ方向に拡大し、難民の急増など予想ができない結果になる恐れがある。

サダム・フセイン体制を排除した2003年のイラク侵略戦争は、事前の綿密な計画もなく、また同盟国の協力もほとんどなく、アメリカ単独に近い状態で強行されたが、戦後の混乱はすさまじいものだった。いま猛威をふるっている「IS」の結成とヨーロッパの難民危機へと至る原因を作った。

このような状態を回避するためには、キム・ジョンウン以降の体制に関する明白なビジョンが必要である。そして、それに向かって確実に軟着陸する綿密な計画が必要だ。この計画をアメリカは日中韓の3ケ国と共有し、その実現に向かうがっちりした協力と連携が必要になることは間違いない。

このような状況だが、中国と韓国との協力関係はさほど問題ない。北朝鮮の先制攻撃に際して、中国軍が米韓合同軍と軍事作戦を展開することは考えられない。中国の役割は北朝鮮に対する政治的、経済的な圧力をかけ続けることである。

また中国と韓国の間では、日本が持っているような歴史問題に起因する国民感情のわだかまりは存在しない。ということでは、キム・ジョンウン体制崩壊後の着地点が中国の国益に沿うものである限り、米中韓の協力体制の構築には大きな問題はないに違いない。

Next: 米国の北朝鮮攻撃計画は「日本自衛隊の戦闘参加」を必要とする



自衛隊の参加は必要条件

しかし、これに現在の安倍政権の日本が加わると、協力関係の構築が難しくなる恐れがある。

安保法制が通過し、基本的には憲法違反の集団的自衛権が確立したいま、アメリカが北朝鮮を先制攻撃した際、自衛隊は後方支援だけではなく、戦闘部隊としての参加が検討されている状況だ。

3月の初旬から群馬県と新潟県の県境で自衛隊の空挺部隊の演習が実施され、また、東シナ海では米海軍とともに対潜水艦戦を想定した演習が行われている。

これらは、間違いなく北朝鮮への先制攻撃を想定したものだ。特に前者は、群馬県の山岳地帯から新潟県の沿岸部までが演習のエリアとなっており、非武装地帯の北朝鮮東部沿岸部の地形によく似た地域が選ばれている。つまり、戦闘部隊の一部として自衛隊の空挺部隊が参加することを想定しているのだ。

さらに、今年1月、米軍はF-35Bの1個飛行隊10機を海兵隊岩国基地に前方配備した。残り6機はこの夏までに到着することになっているが、早まる可能性がある。これでアメリカは北朝鮮のすぐ近くの在日米軍基地に、首都ピョンヤン(平壌)まで飛んでゆける最新鋭戦闘機による飛行大隊を置くことになる。

米軍司令部は、北朝鮮で大規模な軍事紛争が起きた場合、韓国軍は北朝鮮軍の攻撃により撃破されるか、緊急援助を求めるほどの損害を蒙る可能性があると見ている。そのとき米軍の移動には時間がかかるため、日本の自衛隊の出動が想定されているようだ。

問題となるのは安倍政権の日本

このような計画を頓挫させかねない懸念となるのが、韓国の国民感情だ。問題は、ファナティック(狂信的)な国粋主義で戦前の天皇制国家への回帰を模索する「日本会議」や、やはり戦前回帰路線の「神道政治連盟」を母体にした安倍政権である。

このような安倍政権下にある日本の自衛隊が、敵対しているとはいっても同じ民族の国である北朝鮮の攻撃に参加するのである。韓国国民の反日感情は頂点に達し、むしろ反対に、同じ民族である北朝鮮に対するシンパシーは強まるだろう。この国民感情を背景に、北朝鮮の支援に乗り出す団体が出てきてもおかしくない。

また、韓国の日本に対する国民感情の悪化は、先制攻撃後の状況にも大きな影響を及ぼすだろう。日韓の関係はかなり悪化し、攻撃後に必要となる日韓の連携に大きく水を差す可能性が高い。

Next: 安倍政権を警戒するアメリカ。米議会調査局報告書の中身とは?



安倍政権を警戒するアメリカ

そのような状況なので、北朝鮮の先制攻撃を実施する場合、やはりナショナリスティックな安倍政権の排除が条件になってもおかしくない。親韓国、親中国とまでは行かなくても、「日本会議」や「神道政治連盟」のような組織を母体にせず、東アジア諸国の連携に積極的な政権に代わる必要性がある。

実はオバマ政権時からアメリカは、安倍政権の戦前回帰姿勢を大いに警戒し、そのナショナリスティックな姿勢が中国や韓国を刺激することを恐れていた。

米議会調査局の報告書

まずアメリカのこうした警戒感が示されたのは、安倍政権が誕生した半年ほど後の2013年5月1日に公表された、米議会調査局(CRS)の「日米関係をめぐる論点」という報告書においてだ。

ちなみにCRSの報告書は、アメリカの外交関係に詳しくない米議会の議員に、アメリカが直面している課題などを簡潔に解説する目的で出された報告書だ。「日米関係をめぐる論点」も日米関係の課題について書かれている。

いまとは異なりこの当時の安倍政権は、従軍慰安婦の事実を認めた「河野談話」の見直しなど、戦前日本のアジア侵略にある程度の正当性を認める歴史修正主義と海外から非難される姿勢を維持していた。CRSの報告書は、こうした当時の安倍政権に対する警戒として出されたものだ。

この報告書には、「国粋主義的なことで知られる政治家や、時により極端に国粋主義的な主張を行う政治家を任用していることからも、安倍の閣僚人事にはこれらの歴史観が反映されているとみられる」と警戒感を強め、次のように書かれている。

「多くの識者の間では、安倍の政権復帰は周辺国との問題を再燃させ、地域的な貿易統合の動きを乱し、合衆国と同盟国との安全保障上の関係を損ない、中国との関係をさらに悪化させる恐れがあると懸念されている」

そして、次のように書き、アメリカに対する安倍政権のリスクを指摘している。

「しかし一方で、合衆国の利益を損なう恐れのある周辺国との不和が生じるような問題に関し、安倍が外交課題の舵取りをうまく出来るのかという点については疑問が残る

このようにして、安倍政権の国粋主義的な姿勢が今後アジアで問題を引き起こさないか懸念して終わっている。

さらに――
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アメリカから続く圧力

バランスの破壊者、安倍

安倍政権に外交政策の転換を迫る

その後も続く懸念

決定的な圧力

北朝鮮攻撃の準備か?

状況の変化

これから森友問題よりもっと大きなスキャンダルが?


※本記事は、未来を見る! 『ヤスの備忘録』連動メルマガ 2017年4月7日号の一部抜粋です。ご興味を持たれた方はぜひこの機会に今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。「アメリカから続く圧力」ほか、本記事で割愛した全文もすぐ読めます。

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未来を見る! 『ヤスの備忘録』連動メルマガ(2017年4月7日号)より一部抜粋・再構成
※太字はMONEY VOICE編集部による

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