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天才リンチ流「完璧な株」の条件にあてはまる“お宝銘柄”の探し方=山田健彦

前回、投資の神様ピーター・リンチ氏が挙げる「完璧な株」の条件を紹介しました。今回はその条件に当てはめると、どんな日本株が投資候補になるのかを検討していきます。(『資産1億円への道』山田健彦)

ピーター・リンチ氏流「誰からも注目されていない」お宝株を求めて

「完璧な株」の条件

リンチ氏の投資手法は、ファンダメンタルを重視したバリュー投資で、マーケットの流れに逆らって投資する逆張りを得意としているということでした。復習の意味で、リンチ氏の「完璧な株」の条件を挙げておきます。

投資対象として素晴らしい会社は、一言でいうと「誰からも注目されていない会社」ということのようです。業種に関しては、成長が著しく投資先としても有望と考えられているハイテク関連ではなく、小売りや外食株に注目していました。また「強固なバランス・シートと魅力的な将来性を備えている銘柄が大事だ」とも述べています。

リンチ氏の「完璧な株」の条件を全て満たす銘柄を探すのは中々難しいのですが、以下、筆者の独断と偏見でいくつか挙げてみます。なお、以下の銘柄は筆者が推奨する銘柄というわけではありませんので、十分ご注意ください

【関連】投資の神様ピーター・リンチが語る「完璧な株の条件」と20のアドバイス=山田健彦

「完璧な株」全条件を満たす銘柄はあるのか?

まずは「アナリストがフォローしない」銘柄ですが、これは単純に中・小型株と考えて良いでしょう。時価総額(株価×発行済み株式数)がせいぜい2,000億円程度までの銘柄になります。

次に「単純な事業を行っている」会社で、「感心しない業種に属し」、「気の滅入るもの」ではあるものの、「買い続けなければならない商品を販売する会社」です。これにはどんなものがあるでしょうか。筆者は、冠婚葬祭ゴミのリサイクル産業廃棄物処理に関連する業界を連想しました。

四季報オンラインというWEBサイトがありますが、これはキーワードから検索をするのには結構便利で、検索するだけなら無料で使えて、チャートも見ることができます。今回はこのサイトを使って銘柄を見ていきます。※筆者は四季報オンラインのベーシックプランに加入していますが、月1,080円で使用できるので安くて重宝しています。ネット証券の検索画面よりもはるかに使いやすく、細かな要求にも応えてくれます。個人的にはおすすめのサイトです。

四季報オンラインのトップページ上部の検索窓から、「冠婚葬祭」「葬儀」「ウェディング」「リサイクル」「産業廃棄物」「ゴミ」などと入力して検索してみます。

冠婚葬祭」を検索すると、下記の銘柄が表示されました。
1814 大末建設
2344 平安レイサービス
4656 サン・ライフ

それぞれをクリックすると、時価総額やPERなどの主要指標も見ることができます。

同様に「産業廃棄物」で検索すると、下記の銘柄が表示されました。
1712 ダイセキ環境ソリューション
2151 タケエイ
2195 アミタHLD
2405 Fujikoh
4366 ダイトーケミックス
4651 サニックス
5698 エンビプロ
5711 三菱マテリアル
5857 アサヒHLD
6402 兼松エンジニアリング
6531 リファインバース
7456 松田産業
9793 ダイセキ

次に「買い続けなければならない商品」を扱っている会社には、どのようなものがあるでしょうか。衣食住に関連するものや、石鹸歯みがき粉シャンプー等のトイレタリー製品を製造または販売している会社ではないでしょうか。「繊維」で検索すると、107件のヒットがありました。また「洗剤」では18件…といった具合です。

「悪い噂の出ている会社」「気の滅入る会社」というのは、さすがにそのままでは検索できません。なので、四季報オンラインで「下方修正」で検索してみました。5件のヒットです。

下方修正」で検索すると、下記の銘柄が表示されました。
3807 フィスコ
3823 アクロディア
6040 日本スキー場開発
7003 三井造船
8184 島忠

また「疑義」というキーワードで検索し、監査法人から会社の会計に関して何らかの疑問が呈されている銘柄を44件リストアップできました。これらの企業は、監査法人の報告書から「疑義」の文字が削除されると、株価は一気に跳ね上がることが多いです。個人投資家が買うタイミングとしては、「疑義」が解消されたという発表があってからでも遅くはないでしょう。むしろ、疑義がもっと深刻な度合いになり、倒産や上場廃止になる方が怖いですね。

Next: 無成長産業の会社、強固な財務基盤を持つ会社とは?



不当に株価が安く放置されている会社を探す

さらに、「無成長産業の会社」にはどんなものが想像できるでしょうか。筆者は鉄鋼紙・パルプ海運百貨店銀行家電量販店着物などを想像しました。

ピーター・リンチの言わんとする

というのは、「投資家から見放されていて不当に株価が安く放置されている会社」という意味だと思われます。

前回にお伝えしたクライスラーのような会社です。このような会社に投資すると、時を経て株価の修正が起きるということだと思いますが、注ぎ込める資金量が少ない我ら個人投資家が100株や1,000株程度を買っても、株価はビクともしません。それよりは、株価が上がり始めてから流れに追随する方が賢明です。

このように連想できるキーワードを入れて検索をかけて、時価総額が2,000億円以下で、財務基盤や先々の見通しがしっかりしているものの、まだ株価が反応していない銘柄をウォッチし続けて、株価が上がり始めたらその流れに飛び乗るのが良いと思います。

自己資本比率とキャッシュフローを重視する

最後に「強固な財務基盤」ですが、個人的には「自己資本比率」と「キャッシュフロー」を重視しています。

自己資本比率は(自己資本)÷(総資産)で計算される企業の安定性をはかるための指標です。会社の総資産のうち、返済する必要のない資金の比率です。これが40%以上なら倒産する可能性は低いと言われていますが、優良企業の代名詞ともいわれているトヨタ自動車<7203>でも自己資本比率は35%程度なので、30%以上あれば良いのでは?と個人的には考えています。この自己資本比率も四季報オンラインで簡単に確認できますし、ほとんどのネット証券のサイトで四季報の情報を見ることができるので、そこからも確認ができます。

「キャッシュフロー」ですが、こちらは四季報オンラインの有料会員にならないと見ることができません。ですが、やはりほとんどのネット証券のサイト上で四季報の情報を見ることができるので、そちらから確認ができます。

このキャッシュフローのうち、「営業キャッシュフロー」がマイナスの企業は、債権回収に問題がある可能性が大です。製品を先方に納めて、会計上は売上が立っているのですが、先方からの入金がまだなされていない取引が多いということです。こういう銘柄は注意していかなければなりません。投資対象からは外しておいた方が賢明です。

このように、みなさんも色々と研究してみてください。検索画面のサンプルをブログにあげておきます。この続きはまた次回お話します。
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資産1億円への道』(2017年4月10日号)より一部抜粋
※太字はMONEY VOICE編集部による

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