インドのモディ首相は4月14日、75の都市で現金使用を禁止すると発表。段階的にインフラ整備を行いキャッシュレス社会を実現するとしていますが、その真の狙いは何でしょうか?(『いつも感謝している高年の独り言(有料版)』)
※本記事は、『いつも感謝している高年の独り言(有料版)』2017年4月26日号の抜粋です。ご興味を持たれた方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月すべて無料のお試し購読をどうぞ。
それは日本の未来。キャッシュレス社会は人々に何をもたらすか
インド、高額紙幣廃止に続き現金取引も違法化へ
全体主義国家を目指すインドが、75の都市で現金取引を違法とするとの報道が現地からありました。ポイントを翻訳しながらまとめます。
※http://www.independentsentinel.com/eyes-india-goes-cashless-75-cities/
インドのナレンドラ・モディ首相は、昨年秋に500ルピーと1000ルピー紙幣を廃止させたが、続いてインドの75の都市で現金の使用を禁止すると発表した。
インドでは取引の9割が現金取引ゆえに、この現金使用禁止は国民にとっては非常に困ったことになる。特に貧困層は、銀行カード、クレジットカード、電子決済カード等を持っていないので、対応できないのだ。
この75の都市の選定にあたっては、Price Waterhouse Coopers社(世界最大手の会計事務所)が大きな役割を果たした。
脱税防止は、G20での大きな議題だが、この現金禁止の目的は、課税の基本データの拡大であり、増収である。インドでは、税金を納める人は人口の1%に過ぎない。
このインドのやり方は、多分、成功しないだろう。今回の現金廃止は、タンス預金を狙っているわけではない。というのも、インド人は、不動産やゴールドで貯めこんでいるからだ。
インド人の間では「モディ首相がさらに過激な動きに出るのではないか?」という懸念が拡がっている。例えば、ゴールドの個人所有の制限等である。
この現金禁止により、インドでは(短期的かもしれないが)住宅産業や商業分野で不況が起き始めている。
現在、世界の至るところで、金融システムを潰す試みが起きている。現状は、紙幣を管理する者が人々を管理している。そのため、キャシュレス社会に変える国際的な連携が進んでいる。これは、マネーがどこに存在し、誰が保有しているかを見つけるためなのだ。
そしてその目的は、そのマネーに課税し、規制し、制裁を課し、没収をするためである。
プライバシーが無ければ、独裁主義が蔓延するものだ。プライバシーがなければ、独裁主義を抑止する私的なネットワークを作って人々に知らせることが不可能になるからだ。
全世界統一の透明体制においては、常に権力の悪用と腐敗が起きるものだ。キャッシュレス社会を悪いアイデアとする理由はそこにある。銀行の電子システムが過去の金融取引記録を完璧に保存し、それを権力が参照することができるからだ。
2017年4月14日、モディ首相は12の州の75の都市で現金の使用を禁止すると発表しました。この内の56都市は、グジャラート州の都市です。大手企業が存在しており、現在の時点では一番インフラが整っているからでしょう。
当初、インド政府は、高額紙幣の廃止はギャングの資金洗浄を防ぐためと主張していました。今回の記事はその次の段階で、現金の使用禁止です。
Next: 現金廃止までのステップ、そしてウラにある究極の目的とは?
現金廃止のウラにある究極の目的
この記事だけを読むと、すぐにでもこの75都市で紙幣廃止をするような表現ですが、実際は少し異なり、段階を踏んでの移行です。
これら75の都市は、キャッシュレス・モデル都市に指定され、電子支払いシステムのインフラ整備を今後進める。その移行期間の後に、8割以上の支払いをキャッシュレスにしなければならないとのことだ。
しかし重要なのは、究極の目的、目標は何なのかです。
国家という組織ができると、その組織を存続させることそのものが目的となるのです。国家本来の目的、初心は忘れ去られ、組織の維持が目的となります。
そうなると、国会を維持をするための徴税がもっとも重要で大事な目標となります。徴税しても政府財政が赤字となれば、組織を維持させるために、さらに増税が必要となります。
日本でも、消費税がなかった時代から半世紀で消費税が出現し、どんどん税率を上がっています。それでも財政赤字となれば、さらに税率を上げなければなりません。そして、その次はどうなるのか?つまり、こうなるのです。
(続きはご購読ください。初月無料です)
※本記事は、『いつも感謝している高年の独り言(有料版)』2017年4月26日号の抜粋です。ご興味を持たれた方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月すべて無料のお試し購読をどうぞ。
※太字はMONEY VOICE編集部による