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奇人?変人?だから何?株で成功したいなら「頭がおかしい奴」になれ=鈴木傾城

株式市場で成功する投資家には「筋金入りの変人」が多い。彼らの多くは他人の真逆を平然といく。そのような気質がある。これはどういうことなのか。(『鈴木傾城の「ダークネス」メルマガ編』)

※本記事は有料メルマガ『鈴木傾城の「ダークネス」メルマガ編』2017年5月21日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール:鈴木傾城(すずき けいせい)
作家、アルファブロガー。政治・経済分野に精通し、様々な事件や事象を取りあげるブログ「ダークネス」、アジアの闇をテーマにしたブログ「ブラックアジア」を運営している。

投資家の「変人ぶり」と運用成績は残酷なまでにリンクしている

投資=人間心理に反する行為

別に驚くべきことではないかもしれないが、株式市場で成功する人は基本的に「変人」か「自己中心」か「頑固な人間」が多い。その理由は簡単だ。

株式市場で利益を得る基本形は「相場が安い時に買って高い時に売る」というものだ。これはどういうことなのかというと、「誰も評価していない時に買って、誰もが欲しがっている時に売る」ということに他ならない。

あるいは「他人が恐怖で売り飛ばしている時に買い集め、株が上がって他人が幸せな気分に浸っている時に自分だけイチ抜けする」ということでもある。

これは口で言うほど簡単なことではない。人は他人と同調すると安心する心理がある。同調と反する行為はなかなか普通の人にはできない。

その上「買いたくない時に買って、売りたくない時に売らなければならない」わけで、ますます人間心理に反する行為を強いられることになる。

同調や心理的抵抗を乗り越えることができるのは、「変人」か「自己中心」か「頑固な人間」くらいなものだ。生まれつきそういった気質を持った人もいれば、訓練してそのような行動パターンを身につける人もいる。普通の心理のままでは危険なだけだ。

多くの成功した投資家は、他人の真逆を平然といく

成功した投資家を見ていると、だいたいは他人と逆の考え方や行動をしている。

世界最大の投資家であるウォーレン・バフェットや、投機家であるジョージ・ソロスも、基本的に他人に迎合せず、むしろ他人と逆の行動をあえてしている「変人」である。

中国の時代が来ると言ってシンガポールに住み着いてしまったジム・ロジャーズも変人だし、メキシコがデフォルトして株式市場が大暴落したときに全財産を賭けて株を買ったカルロス・スリムも変人だ。

あるいはシティバンクが破綻しかけた時や、アップルが破綻寸前だった時に、大量に株式を購入したアラビアの大富豪であるアルワリード・ビンタラール王子も変人だ。

「誰も欲しくなかった」アップル株

アルワリード王子は投資で何度も他人の逆をいく賭けを行っているが、アップルへの投資は当時は「気が狂ったのか?」とも評されていた取引だった。

この当時のことを私は今でもよく覚えている。1996年にスティーブ・ジョブズが戻った頃のアップル社はもはや破綻寸前になっていて、普通ではとても買えない株式だった。

アップルはGUI(グラフィカル・ユーザインタフェース)の先駆者であったにも関わらず、マイクロソフトのウィンドウズに市場を奪われた。

OSはバグだらけで改善できず、マッキントッシュは競争力を失い、社内は混乱し、会社は現金を失い、いつ倒産してもおかしくなかった。

ジョブスが復活して3年経っても市場は懐疑的なままだった。財務諸表を見ても、市場競争力を見ても、将来性を見ても、買える要素はどこにもなかった

確かにスティーブ・ジョブズがアップルに復帰したというのは朗報だったが、それでもアップルを立て直せるかどうかは完全に未知数だったのだ。

だから当時は誰もアップルの株を買わなかったし、アップルは見捨てられていた。誰もアップルの株を欲しくなかったし、持っている人は処分したがった。

アルワリード王子がアップルに大量投資したのはそんな時だ。ちなみにこのアルワリード王子は、リーマン・ショックでアメリカの金融機関がボロボロになった頃、シティグループに大量投資を行っている。

いかに成功している投資家が「筋金入りの変人」か分かるはずだ。多くの成功した投資家は他人の真逆を平然といく。そのような気質がある。ということは、どういうことなのか。

Next: 「普通の人」が株式投資で勝つ方法は果たしてあるのか?



市場から退場させられる8割の投資家は「普通の人」

株式市場を勉強し、財務諸表を読み、データが読めるようになっても、それだけでは意味がないことを歴代の投資家を見れば分かってくる。

安い時に買うというリスク、買った後に何年も辛抱強く持ち続けるという気持ちの強さ、まわりの意見に動揺しない頑固さを持ち合わせていないと、いくら知識を仕入れたところで何にもならないのだ。

株式市場に飛び込んだ投資家の8割が消えていくのは、逆に言えば8割の人は「変人ではなくて普通の人だった」からだとも言える。

普通の人は、人が何をやっているのかを知りたがり、誰かが買っていると自分も買いたくなり、誰かが売っていると自分も売りたくなってしまう。

ニュースが、アナウンサーが、証券会社のアナリストが、カリスマが、売ったり買ったりしていると、それに同調して自分も同じ行動をする。自分の意見よりも他人の意見に従う。

8割の投資家がそうだから、相場は往々にして上がりすぎ、暴落したら下がりすぎることになる。みんな横並びで同じことをするからだ。

他人と違うことをするというのは、普通の人には本当に難しいことなのだ。

文化大革命と天安門事件で、買って買って買いまくった男

香港の長江実業グループの創業者にして大株主である李嘉誠(り・かしん)は、中国で文化大革命が起きて香港人が香港の不動産を売り飛ばして必死で国外に逃げている時に、香港の土地を二束三文で買って買って買いまくって財を為した人物だ。

1966年に香港の暴落する土地を買っていれば、誰もがその後に値上がり益を享受できた。しかし、利にさとい香港人でさえもそれができなかった。

人々が一方向に向かってレミングのように走り出すと誰もがそれに付和雷同する。「香港は危険だ、逃げろ」と人々がパニックになっている時、それと逆のことをできるのは変人でしかあり得ない。

その後、李嘉誠の伝説を知った香港人は、なぜ自分も李嘉誠と同じようにしなかったのかと悔やんだ。そのような人たちに歴史は1989年に再びチャンスを与えた。天安門事件だ。

普通の人たちはどうしたのか。「中国は危険だ、逃げろ」と必死で中国投資から手を引いた。

ところが、この時に中国投資を拡大したのが、またもや李嘉誠だった。この中国投資によって李嘉誠はついに香港最大の財閥に成り上がった。

他人と違うことをするというのは、口で言うほど簡単ではない。むしろ、よほどの「変人」か「自己中心」か「頑固な人間」でないとできないと考えた方がいい。

Next: 普通の状態に依存せず、自分の性格を「投資家向き」に変えろ



普通であってはいけないのが株式市場の世界

「安く買う、高く売る」は投資の基本だが、この基本を全うするには、投資の知識の前に性格を投資家向きに変えていく必要がある。

他人と逆の道をいく必要があるのだから、「人と同じことをしない」「人と同じことをするのは嫌だ」「協調性など持ちたくない」と考え、そのように自分を変えていかなければ――
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鈴木傾城の「ダークネス」メルマガ編』(2017年5月21日号)より一部抜粋
※太字はMONEY VOICE編集部による

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