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地獄の「あいりん地区」で覚える投資術 ジャンキーどもの逆を行け=鈴木傾城

大阪・西成のあいりん地区では、資本主義から落ちこぼれた男たちが、為す術なく絶望のまま暮らしている。それでも、このドヤ街が資本主義で成り立っていることに違いはない。(『鈴木傾城の「ダークネス」メルマガ編』)

※本記事は有料メルマガ『鈴木傾城の「ダークネス」メルマガ編』2016年10月16日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール:鈴木傾城(すずき けいせい)
作家、アルファブロガー。政治・経済分野に精通し、様々な事件や事象を取りあげるブログ「ダークネス」、アジアの闇をテーマにしたブログ「ブラックアジア」を運営している。

売人になるか?中毒者になるか?資本主義とはそういうことだ

西成・あいりん地区という「どん底」

職業安定所と言えば、普通は「仕事を見つける場所」なのだが、大阪の貧困地区である西成区萩之茶屋の「あいりん労働公共職業安定所」は、仕事にあぶれた人がビニールシートを敷いて寝る場所になっている。

この職業安定所は二階に上がると、本当に何もないただっぴろい空間で、そこにも大勢のホームレスが寝ている。

日本広しと言えども、ホームレスが何十人も寝ている職業安定所というのは、この「あいりん労働公共職業安定所」くらいなものだろう。

大阪でホームレスホームレス寸前の労働者たちが集まり、生活保護費を人権屋や悪徳NGOやヤクザや簡易宿泊所の経営者に搾取されながら暮らしている高齢労働者が数十万人もいる世界は、言ってみれば「資本主義のどん底」である。

資本主義からこぼれ落ち、定職もなければ住所もなくなった男たちが、為す術もなくここにこぼれ落ちて絶望のまま暮らしている。

しかし、このドヤ街もまた「資本主義」で成り立っているというのは変わらない。ドヤ街にも多くの店があり、たくさんの人が文字通り「なけなしの金」をはたいている。

では、金のない労働者が集まる場所で、繁盛している店は何だったのか。

何も持たない人間が、命綱の金を払ってでも欲しいもの

「なけなしの金」というのは、「あるのかないのか分からないほど小さな金」という意味だ。金のない人間にとって、小さな金というのは命綱である。その金がなくなってしまえば、もう何もない。

だから常識的に考えれば、今の何も持たない自分にとって最も重要なものにそれを使うのが当然であると私たちは考える。しかし、あいりん地区に沈没している人々を見ていると、どうもそうなっていないことに気付く。

それは、この資本主義に落ちぶれた人間たちの集まる場所で、最も繁盛している店を見れば分かる。

それは、「居酒屋」なのである。

この街には、カウンターだけの10人も人が入れば満杯になる小さな個人商店の居酒屋が、商店街にも街にも至るところに林立している。

そして、仕事にあぶれた労働者が「なけなしの金」をはたいて朝から酒を飲み、憂さ晴らしに昔の古めかしい歌を歌っている姿が見える。

何も持たない人間が、持っている小さな命綱の金をはたいても欲するもの、それはアルコールだったのである。

あいりん地区にはいくつかアーケード付きの商店街もあるのだが、そこにも居酒屋が建ち並んでいて、夕方にもなると、それぞれがいっせいに満員になる。

最近は中国人経営者が中国人女性を使って労働者にアルコールを提供しており、中国人が日本人の労働者から「なけなしの金」を吸い上げている構図にもなっている。

資本主義から転がり落ち、住む場所も食べる物も事欠く生活になっても、アルコールに金を費やすことだけはやめられないというのが、このあいりん地区の住民たちを見て分かる。

そして、居酒屋以外にも目立つ店がある。それは何だったのか。

Next: 投資家が知るべき「なけなしの金でバクチを打つ」ことの意味

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