10月30日の日銀金融政策決定会合で金融政策の現状維持が決定されたばかりですが、市場では早くも、政府の補正予算編成に合わせた11月18~19日会合での追加緩和観測が浮上。金融アナリストの久保田博幸氏が解説します。
11/18~19 日銀会合での追加緩和観測があらためて浮上
日銀は現状維持も補正予算3兆円超が伝わる~先週の振り返り
10月22日にECBのドラギ総裁が年内の追加緩和を示唆したことに加え、23日には中国人民銀行が政策金利と預金準備率の引き下げを発表した。
これらを受けて23日の欧米市場ではリスクオンの動きが加速された。米債も売られたことで、26日の債券先物は売りが先行し、7銭安の148円42銭で寄り付いた。しかし動きは鈍く、債券先物の引けは148円41銭となった。
27日の40年国債の入札は順調な結果となったこともあり、この日の債券先物は148円57銭まで上昇し、引けは148円53銭。
27日に米債は買われ、日銀の追加緩和観測も燻っていることで、28日の10年債利回りは0.3%割れ。債券先物も148円63銭まで買われ、引けは148円61銭。
28日のFOMCでは政策金利の据え置きを決定。声明文では次回12月の会合で政策金利引き上げを検討すると表明した。12月の米利上げ観測が再び強まり、米債は下落。29日の債券先物はやや売りが先行するものの、日銀の追加緩和期待もあり、買い戻しが入り債券先物の引けは148円63銭となった。
30日の日銀金融政策決定会合では金融政策の現状維持を決定した。これを受けて日経平均、債券先物ともに下げる場面があったが、日経新聞電子版が補正予算3兆円超で調整と報じ、これに合わせた日銀の追加緩和も意識されて下げ幅を縮小させ、債券先物は148円56銭で引けた。
日銀追加緩和は11月がタイミングとして好ましいが~今週の予想
ECBが12月の政策理事会での追加緩和を示唆し、FRBは12月のFOMCで利上げを決定する可能性があることを示唆した。
日銀は10月30日の金融政策決定会合では現状維持を決定したものの、市場では政府の補正予算の編成に合わせて、11月18~19日の金融政策決定会合での追加緩和観測があらためて出てきた。
ECBはFRBの利上げのタイミングを意識して、ユーロ安を意識した追加緩和を模索するとみられるが、日銀とすれば何かしらの追加緩和をするのであれば、米国政府の批判を回避し、日本政府と歩調を合わせる上でも11月の会合での追加緩和がタイミングとしては好ましい。16日には7~9月期GDPの発表もある。ただし、その手段には限りがあり、ひと工夫する必要もあろう。
11月に入っての日米欧の金融市場はイングランド銀行を含めて、それぞれの中央銀行の次の一手の内容とタイミングが焦点となりそうである。日銀の追加緩和観測が燻る限り、債券市場も株式市場も堅調な展開が予想される。
10年債利回りは0.3%割れでは高値警戒もあるが、積極的には売りづらい。11月5日の10年債入札は注意も必要となるが日銀の国債買入もあり、業者主体に無難な入札となりそうである。
11月5日のイングランド銀行のMPCの結果、さらに11月6日の10月米雇用統計の結果も念のため確認しておきたい。
主な予定
11月2日 (月)
流動性供給入札
10月中国財新/製造業PMI速報値
10月英製造業PMI
10月米ISM製造業景況指数
9月米建設支出
11月3日(火)
9月米製造業受注指数
11月4日(水)
10月マネタリーベース
10月米ADP全国雇用者数
9月米貿易収支
10月米ISM非製造業景況指数
11月5日(木)
10年利付国債入札
国庫短期証券(3か物月)入札
金融政策決定会合議事要旨(10月6・7日分)
MPC
BOE議事要旨
BOE四半期インフレレポート
米新規失業保険申請件数
7-9月期米非農業部門労働生産性速報値
7-9月期米単位労働コスト速報値
11月6日(金)
国庫短期証券(6か月物)入札
黒田総裁講演(内外情勢調査会)
10月米雇用統計
『牛熊ウイークリー』(2015年10月30日号)より一部抜粋
※見出し、太字はMONEY VOICE編集部による
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