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欧中日「3つの懸念」12月利上げ再燃のFOMC声明で市場は気迷いムード=子貢

10月27~28日のFOMC(米連邦公開市場委員会)で、金融政策は大方の予想どおり現状維持に。ただ閉会後の声明文は利上げに前向きな「タカ派」的な内容に変化し、市場では再び12月利上げ観測が高まりました。強弱まちまちとなった各市場の今後の見通しを、『本格株式講座 世界情勢最新分析報告書』の子貢さんが解説します。

欧州、中国の見通し暗く、日本市場は政治日程を睨み神経質な動き

12月利上げ観測が再度浮上、市場の反応はまちまちに

今回のFOMC(連邦公開市場委員会)では利上げが見送られましたが、閉会後に公表された声明文の内容が、いわゆる「タカ派的(=ゼロ金利早期解除方向)」であったため、市場は悩む羽目になりました。

結果はまちまち、ニューヨーク市場ダウ平均は利上げ先送りを好感したのに対し、年内利上げは不可避と理解した市況商品市場では、金(ゴールド)を筆頭に価格が急落。ECB(欧州中央銀行)による追加の量的緩和政策に左右される為替市場では、一時的にユーロが最弱通貨に、ドルが最強で円はその中間に位置しています。

つまり、「ドル>円>ユーロ」という構図になっているのですが、このユーロ安が「良い通貨安」かどうかは意見の分かれるところだと思われます。

「黙っていても自壊する」欧州、「遠からず潰れる」中国?

欧州では、金融政策を議論しているうちに移民及び難民問題が手に負えなくなり、経済の失速もさることながら、醸成される社会不安が景気に深刻な影響を与えるものと考えられます。一言で表現すれば、「黙っていても、来年(2016年)には自壊する」、これがEU(欧州連合)並びにユーロ圏の運命でしょう。ドイツ銀行も相当に追い込まれている様子です。

他方、日本企業の脱出が相次ぐ中国ですが、対中投資額の全体の規模はさほど激減していません。これは東南アジア系華僑が買い支えのために追い貸ししているためですが、米欧系資本は日系ほど慌てていないことも一因となっています。

では日本が早とちりして間違っているのかと言えばそうではなく、米欧の連中は、仮に中国が資産を没収しようものなら返還するまで殴り倒す自信があるからで、それでも返さなければさらに数倍の苦痛を与える術を持っているからです。

ところが、日本はその点で無力ですので、泣きながら夜逃げするしかありません。日系企業と米欧系資本との間に、中国経済に対する認識の乖離は存在せず、「遠からず潰れる」で一致しているのは事実、ただしその瞬間まで利潤を追求する度胸があるのは米欧側という構図です。

その点で哀れなのが韓国系財閥で、拡大一辺倒路線は行き詰まっているのですが、止める訳にも行かず、中国市場進出継続しか採る経営方針が存在しません。中国の実状を無視してでも資本投下しているのですから危険この上ありませんが、それしか活路が見い出せません。ですが韓国は日本より「格下」、中国が八方塞がりになれば、資産没収の標的となるのは紛れもなく韓国系財閥です。

郵政上場を控える日本市場が1万9,000円を上抜けしがたい背景

暗い話ばかりですが、日本もあれやこれやで、日経平均が上値を追う展開になることも期待薄です。11月4日(郵政3社上場日)を控えたいま、ひさびさの大型上場にもかかわらず市場は冷静、と言うかむしろ冷ややか、以後の市場の推移に懸念を持たざるを得ません。

11月後半に佳境を迎える企業の中間決算ですが、問題は上半期の実績よりも下半期の見通し。いくら「大本営発表」を施しても現実と乖離し過ぎた業績見込みは出せません。勢い、下半期は期待外れになる公算が大きく、1万9,000円の壁を突破できずに苦しんでいる日経平均の現状も頷けるというものです。

年内の日経平均の動向に楽観的なれない理由として、政治日程も挙げられます。

まず、株式市場の地合いを好転させる特効薬が存在せず、むしろ消費税比率の引き上げを前提とした軽減税率が議論されている現状では、投資家の心理も委縮してしまいます。

次に、来年の通常国会は1月4日に召集されることになりそうで、これが事実とすれば、閉会後から7月の参議院選挙までの期間が長くなります。

つまり、「外交成果」を持ち出すのは、来年の春から初夏。景気減速や増税に対する嫌悪感を払拭できるだけの業績を安倍総理が求めているとすれば、伊勢志摩サミット(2016年5月26~27日)とも重なるこの時期しかありません。

換言すれば、年内は水面下で話は進んだとしてもまだ潜行の段階。昨今の建設業界の不祥事や、東芝に代表される企業の隠蔽体質を踏まえた場合、悪材料が好材料を凌いでいるのは間違いありません。

やはり年末相場に期待するのは危険です。

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本格株式講座 世界情勢最新分析報告書2015年10月28日号より一部抜粋
※太字はMONEY VOICE編集部による

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