アルコールとギャンブルの共通点とは何か?
居酒屋と共に目立つ店。それは、パチンコ店である。
あるいは、あいりん地区では、他の地区でとっくに下火になった卓上型のゲームセンターも現役で残っているし、他にも麻雀屋(雀荘)も普通に見かける。
麻雀屋は繁盛しているようで、ひっきりなしに労働者が出入りし、店の外には従業員募集の張り紙までしていた。
アルコールと共に労働者の「なけなしの金」を吸い上げているのは、ギャンブルの店だった。
つまり、資本主義の世界で落ちこぼれて日本最大のドヤ街にまで転落した人たちは、その転落した世界でもアルコールとギャンブルに金を投じていたのである。
アルコールとギャンブルの共通点とは何か。
それは、両方とも「絶望を一時的に忘れさせてくれる存在」であるということである。
彼らはもはや弱肉強食の資本主義で生き残ることに失敗し、自分がもう浮かばれないことを悟っている。資本主義は彼らにとって自分を虐げるための体制でしかない。
その資本主義が続くというのは、まさに「絶望」が延々と続く地獄の世界なのである。
だから、彼らは深い絶望から逃れるために、アルコールとギャンブルで絶望を一時的に忘れようとする。つらい世の中で、この2つは最後の最後まで彼らの慰みとなる。
この慰みは依存を生み出して、さらなる転落の元凶になるのだが、仮にそうだとしても今さら小金を貯めて更正するような気力も既に失っている。
「金を貯める」というのは資本主義の発想である。彼らはそこから蹴り出され、落ちこぼれたので「あいりん地区」という転落の場にいる。
そのため、彼らには「すべてを失ったから貯金をする」という発想にはならない。それができていれば、そもそも最初からあいりん地区にいるはずがない。