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杞憂に終わる「ダウ暴落」イエレン利上げで米国株式市場が死なない理由=江守哲

現在のFFレート誘導目標は0.50%~0.75%。仮に0.25%の利上げを年4回実施してもまだ2%以下です。歴史的に見れば、まだまだ「超低金利」であることに変わりはありません。それよりも今後、ぜひ見ておきたいのは長短金利差です。(江守哲の「投資の哲人」~ヘッジファンド投資戦略のすべて

本記事は『江守哲の「投資の哲人」~ヘッジファンド投資戦略のすべて』2017年3月13日号の一部抜粋です。全文にご興味をお持ちの方はぜひこの機会に、今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール:江守 哲(えもり てつ)
エモリキャピタルマネジメント株式会社代表取締役。慶應義塾大学商学部卒業。住友商事、英国住友商事(ロンドン駐在)、外資系企業、三井物産子会社、投資顧問などを経て会社設立。「日本で最初のコモディティ・ストラテジスト」。商社・外資系企業時代は30カ国を訪問し、ビジネスを展開。投資顧問でヘッジファンド運用を行ったあと、会社設立。現在は株式・為替・コモディティにて資金運用を行う一方、メルマガを通じた投資情報・運用戦略の発信、セミナー講師、テレビ出演、各種寄稿などを行っている。

本当の「危険な兆候」を知らずして、この大相場は乗りこなせない

米国株式市場~調整は限定的、3月利上げほぼ確実に

米国株は先週は調整しました。しかし、10日には反発し、目先の調整が完了した感があります。10日発表の雇用統計を前に調整が進んでいましたが、結果を受けて見事に下げ止まったように見えます。

市場では、今後のイベントに対する警戒感が強まっていました。それが手仕舞い売りにつながっていましたが、ほぼ先が見えてきたということでしょう。

市場では、米利上げが警戒されてきました。

3月14日・15日開催の米連邦公開市場委員会(FOMC)で、利上げが決定されるとの見方が強まり、ドルが上昇したことが株価を圧迫してきました。

米連邦準備制度理事会(FRB)のイエレン議長をはじめ、フィッシャー副議長、NY連銀のダドリー総裁らFRB関係者のトップスリーが相次いで早期利上げに前向きな発言を繰り返しました。また、一部の地区連銀総裁も同様に利上げに言及していました。

これを受けて、市場における3月のFOMCでの利上げ確率が9割を超えました。これで、14・15日開催のFOMCでの利上げは確定的となりました。

なぜFRBはここまで利上げを急ぐのか?

それにしても、今回の市場での利上げの織り込みペースは異常でした。

つい先日まで利上げ確率は2割から3割だったのが、わずか1週間で9割にまで上昇したわけですから、驚かざるを得ません。今回のFRBの戦略は奏功しました。しかし、なぜこれほどまでに利上げを急ぐ必要があるのでしょうか。

それは、おそらくトランプ政権が掲げる政策が具体性を帯びる前に、先に利上げをしておくことで、将来の調整余地を保ちたいということが挙げられます。

しかし、それ以上に、現在の低金利は様々な面で問題があります。実際、米国の雇用情勢はきわめて堅調です。

10日発表の2月の米雇用統計では、非農業部門雇用者数が23万5000人増と、市場予想の19万人を上回り、さらに失業率も4.7%と前月から0.1%低下しました。これを受けて、米国の雇用情勢がきわめて堅調であることが確認されました。

すでに、歴史的な好況の状況が続いていることになります。

イエレンFRB議長は、「雇用者数の増加は7万5000人から12万5000人程度で十分」としています。それだけ、雇用市場は成熟していると認識しているようです。

しかし、一部には雇用者側のニーズと労働者側のニーズのアンマッチが発生しているようです。つまり、業種によっては、労働者が集まりにくい状況にあるようです。それは、やはり肉体労働系の仕事に多いようです。日本と似ていますね。

こうなると、本来期待される成長が限定的になってしまうリスクがあります。この点は懸念材料ではあります。

一方、インフレ率にも注意が必要です。米国の1月の消費者物価指数の前年比はすでに2.5%にまで上昇しています。

原油価格の上昇が背景にありますが、いずれにしても、これはFRBにとっては利上げの根拠になってきます。

利上げは米国景気や株価を冷やさない

景気が非常によく、過熱しているのであれば、積極的に利上げすることで、その熱を冷ます必要があります。しかし、いまはそこまでではないと思われます。それでは利上げしなくてもよいのではないかとの考えも浮かんできます。

しかし、これも前述のように、一定の水準にまで引き上げておくことをまずやっておきたいということなのだと思います。

現在のFFレートの誘導目標は0.50%~0.75%でしかありません。0.25%の利上げを年4回実施したところで、まだ2%以下です。歴史的に見れば、まだまだ「超低金利」であることに変わりありません。

このように考えると、利上げが米国景気や株価に影響を与えるようなことはないといえます。

注目すべき長短金利差

今後、ぜひ見ておいていただきたいのは、長短金利差です。

市場動向を定性的に説明するアナリストが多いのですが、これでは再現性が確保できません。そのときどきの気分や感覚で、市場の見方が変わってしまうからです。

しかし、確固たる根拠を持ち、それに合わせて市場の方向性を見るようにすれば、感覚を排除することができ、再現性が確保されることになります。

Next: バブル崩壊のシグナルは「米2年債と10年債のスプレッド」に現れる

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