大和のレポート「日経平均が1月に前年高値を更新した年は、まず4月頃の高値に期待」が興味深い。今年1月の日経平均高値19594円だが、このアノマリーは的中するだろうか?(『「兜町カタリスト」』櫻井英明)
「兜町カタリスト」月曜後場 2017年3月13日号より
必要なのは小手先ではなく王道
東京株式は売り優勢のマイナススタートから小幅続伸。ドル円の115円台→114円台は少しだけ見えたフリで通過。2日連続の昨年来高値更新となってきた。日経ジャスダック平均は22日続伸が微妙なところ。
興味深いのは市場関係者のコメント。「課題はFOMCの利上げ。『年内4回の利上げ』を匂わせるのか『あとは年末』と言うのか。あるいは『次の利上げも近い将来』と言うのか。これで展開が大きく違うのではないか」。
いずれにしても利上げトレンドは変わらず、時間軸が違うだけ。その時間軸で相場は多少左右されるかも知れないが、結果は一緒だろう。トレンド変化ならば重大だろうが、技術的な問題にしか過ぎない。しかしそれしか材料がなければ大きく話題にする傾向。このレトリックに術に嵌ってはいけないだろう。必要なのは、小手先ではなく王道だ。
4月に日経平均21416円も?注目のアノマリー
大和のレポートは「日経平均が1月に前年高値を更新した年は、まず4月頃の高値に期待」。面白いアノマリーである。
日経平均が1月中に前年の高値を更新した場合。1980年以降ではその年の4月頃にかけて1月の高値を一段と更新する動きとなっている。少なくとも1年以内の高値を更新したことで上値の需給が軽くなる。そして株式市場の季節性が良いタイミングを迎える。だから株価が上値を追う動きが強まったと考えられる。
このような年の4月高値については、1月高値に対する上昇率が平均で+9.3%。特に大きく上昇した3回(2013年、1987年、1986年)を除いて計算しても平均で+5.5%。
これを今年に当てはめると…。1月の日経平均高値19594円(1月4日終値ベース)に対して、20671円(プラス5.5%)~21416円(プラス9.3%)程度の高値が4月頃に期待できる。
英国EU離脱の3シナリオ
日経ヴェリタスは、英国のEU離脱シナリオについて。
シナリオ(1):可能性75%
何らかの合意、内容は見えず。英国とEUは交渉期限の2019年3月までに、離脱の条件や新しい貿易協定、離脱までの経過措置などで合意すること目指す。双方とも経済に甚大な影響が及ぶ交渉決裂は避けたいのが本音。何らかの合意に至るのがメーンシナリオ。どのような内容になるかは見えない。
シナリオ(2)可能性15%
交渉が決裂、英企業に打撃。「バッドディールを結ぶくらいなら、ノーディールがまし」。メイ首相はEU離脱の交渉に背水の陣で臨む考え。英国側は交渉決裂のシナリオちらつかせEUの譲歩引き出す構えも、脅迫的ともいえる姿勢にEUでは反発多く。交渉過程で信頼崩れれば「ノーディール(交渉決裂)」が現実味帯びる。
シナリオ(3)可能性10% 期限を延期、「再投票」も?
2年の交渉期間は短すぎると「交渉期限の延長」もありうる。交渉期限の延長には残留する27カ国すべての承認必要。現状ではほとんど可能性はないが、交渉が行き詰まれば、英国民投票のやり直しという選択肢も浮上しそう。
『「兜町カタリスト」』(2017年3月13日号)より一部抜粋
※太字はMONEY VOICE編集部による
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