当マガジンは日経平均の妥当な水準として統計的処理で求めた理論株価をもとに、足元の相場の位置づけを評価する材料を提供するものです。原則として日経平均と理論株価の位置関係を示すグラフと表に若干のコメントを合せて毎週1回配信いたします。皆様のより良い投資成果のための一助にして頂ければ幸いです。
※「理論株価」についてはこちらをご覧ください。(『投資の視点』日暮昭)
プロフィール:日暮昭(ひぐらしあきら)
日本経済新聞社でデータベースに基づく証券分析サービスの開発に従事。ポートフォリオ分析システム、各種の日経株価指数、年金評価サービスの開発を担当。インテリジェント・インフォメーション・サービス代表。統計を用いた客観的な投資判断のための市場・銘柄分析を得意とする。
3/10時点の理論株価は1万8586円、米ドル動向がカギに
日経平均、米利上げを視野に通常変動上限に沿った動き
米国の利上げの環境が整ってきたようです。月内にという声が現実味を増してきました。ドルはそれに伴う上昇が見込まれます。こうした状況の下で日経平均の動きはどうなるでしょうか。
下図は前週に続き昨年9月から直近の2017年3月10日まで日経平均、理論株価と通常変動の上側、そして予想EPSと米ドルの推移を日次ベース示したグラフです
日経平均、理論株価、通常変動の上側と予想EPS、米ドルレートの推移
2016.9.1~2017.3.10
日経平均が紺色、理論株価が青色、通常変動の上側が赤色でいずれも左目盛、また、予想EPSが緑、米ドルレートが紫色の線で右目盛りです。
日経平均は昨年12月9日にそれまでの理論株価に沿った動きから通常変動の上側に一気にシフトアップしそれ以降、通常変動の上側と軌を一にした動きを続けています。直近の3月10日に日経平均は286円の大幅高となりましたが通常変動の上側もそれに見合う上昇を見せ、両者の一体性は変わりません。
こうした両者の関係をより明確に示すのが下のグラフです。上と同じ期間について日経平均と通常変動の上側との差、および12月9日までとそれ以降の区間について、それぞれの区間の平均値を示したものです。
日経平均と通常変動の上側の差の推移と期間平均値
2016.9.1~2017.3.10
赤線がそれぞれの区間の平均値を示します。前半の平均値は871円で、これはほぼ理論株価と通常変動の上側との差の平均に匹敵します。それが12月9日から日経平均が通常変動の上側に急接近したことから差が一気に縮まり差の平均は23円となりました。
こうした両者の関係が続くとすると通常変動の上側、すなわち理論株価の上昇が伴わなければ日経平均は力強い上昇軌道には乗れません。カギは、業績が一服している現在、米ドルの動向が握ることになります。ちなみに、業績が一定とした場合に現在の構造を前提として日経平均が2万円に達する米ドルは109円程度になります。
『投資の視点』(2017年3月12日号)より一部抜粋
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