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金利上昇でSBI新生・ソニー・楽天銀行は買いか売りか?株価下落の本当の理由=栫井駿介

現在、日本の金融市場は「金利上昇」という大きな転換点にあります。一般的に、金利が上がれば銀行の利ざやが拡大し、株価にはプラスに働くと考えられがちです。しかし、比較的新しく上場した金融の新勢力であるSBI新生銀行、ソニーフィナンシャル、楽天銀行の3社を見ると、いずれも足元の株価は冴えない、あるいは下落している状況にあります。これらの企業は、従来のメガバンクとは全く異なるビジネスモデルを持っており、金利上昇が必ずしも追い風にならない複雑な事情を抱えています。なぜ業績が好調に見えるにもかかわらず株価が売られているのか。それぞれの内実を詳細に読み解くことで、投資家としての真の勝機が見えてきます。(『 バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問 バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問 』栫井駿介)

プロフィール:栫井駿介(かこいしゅんすけ)
株式投資アドバイザー、証券アナリスト。1986年、鹿児島県生まれ。県立鶴丸高校、東京大学経済学部卒業。大手証券会社にて投資銀行業務に従事した後、2016年に独立しつばめ投資顧問設立。2011年、証券アナリスト第2次レベル試験合格。2015年、大前研一氏が主宰するBOND-BBTプログラムにてMBA取得。

SBI新生銀行:第4のメガバンク構想と「ノンバンク」の重圧

SBI新生銀行の株価は、ピーク時の2,200円から足元では1,300円台まで、率にして約4割も下落しています。

SBI新生銀行<8303> 日足(SBI証券提供)

SBI新生銀行<8303> 日足(SBI証券提供)

一方で、2025年度の業績予想を見ると、業務利益、税引き前純利益、純利益のすべてで過去最高を更新する見込みとなっており、数字の上では極めて好調です。

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出典:SBI新生銀行 決算説明資料

この乖離を生んでいる原因は、同社の利益の構成にあります。

実は、銀行の本来の利益である「資金利益(貸出利息)」よりも、手数料などの「非資金利益」の方が多く、伸び率も28%増と高くなっています。

さらに詳しく中身を見ると、この利益を支えているのは銀行業務ではなく、連結子会社であるアプラス(ショッピングクレジット)や昭和リース、そして「レイク」ブランドで知られる新生フィナンシャル(消費者金融)といったノンバンク事業なのです。

ノンバンク事業は預金を預からず、市場から資金を借り入れて貸し出すビジネスであるため、金利上昇局面では「調達コスト」が上昇し、利益(利ざや)が縮小するというマイナスの影響を強く受けます。
また、預金についてもSBI新生銀行は「金利に敏感な層」が集まっているため、他行へ資金が逃げないようキャンペーン等で預金利息を高く設定し続けなければならず、これもコスト増に繋がっています。
こうした構造的な不安に加え、収益性を補うためにCLO(ローン担保証券)やRMBS(不動産モーゲージ証券)といった、リーマンショック時に問題となったような証券化商品への投資を急増させている点も、リスクとして注視すべきでしょう。

ソニーフィナンシャル:最高益と赤字が同居する「会計のミステリー」

ソニーフィナンシャル(ソニー生命、ソニー銀行、ソニー損保)もまた、株価がピークの180円から135円程度まで、約25%下落しています。

ソニーフィナンシャルグループ<8729> 日足(SBI証券提供)

ソニーフィナンシャルグループ<8729> 日足(SBI証券提供)

これは上場時の参考価格150円をも下回る水準です。
同社の場合、営業員の不祥事といった問題もありましたが、本質的な下落要因は「会計基準の変更」に伴う見た目の悪化にあります。

日本基準での修正純利益は前年比71%増の1,051億円と絶好調に見えますが、国際会計基準(IFRS)では114億円の赤字、さらに次期も200億円の赤字予想となっています。

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出典:ソニーフィナンシャルグループ 業績説明会資料

この赤字の正体は、金利上昇によって同社が保有する超長期国債(30年債など)の価格が急落したことにあります。

生命保険会社は将来の支払いに備えて長期で運用しますが、金利が上がると債券価格は下がります。
さらに、金利が上がると顧客がより利回りの良い商品へ契約を乗り換えようとするため、本来満期まで持つはずだった債券を売却して現金化せざるを得なくなり、含み損が現実の損失として計上されるリスクが高まっているのです。

ただし、配当利回りは5.7%と極めて高く、このリスクをどう評価するかが投資の分かれ目となります。

Next: 楽天銀行の評価は?長期投資家が選ぶべき「1社」とは

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