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急落「不動産」株は今が買い?大手4社の比較と長期投資家が見るべき3つの重要指標=栫井駿介

最近、ニュースを見れば「マンション価格が東京23区で1億円を超えた」「地価が上昇している」といった景気の良い話が飛び交っています。しかし、日本の不動産業界を代表する4社、三菱地所、三井不動産、住友不動産、そしてヒューリックの株価を見てみると、2026年2月頃をピークに揃って下落しており、年初来のパフォーマンスでもマイナス圏に沈んでいるのが現状です。

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出典:Google

不動産そのものの価格は好調なのに、なぜ関連する企業の株価が売られているのか。投資家の皆様はこのギャップに戸惑いを感じているかもしれません。今回は、これら4社のビジネスモデルの違いを浮き彫りにしながら、現在の株価低迷の正体と、その先に待つ投資チャンスについて徹底解説していきます。(『 バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問 バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問 』栫井駿介)

プロフィール:栫井駿介(かこいしゅんすけ)
株式投資アドバイザー、証券アナリスト。1986年、鹿児島県生まれ。県立鶴丸高校、東京大学経済学部卒業。大手証券会社にて投資銀行業務に従事した後、2016年に独立しつばめ投資顧問設立。2011年、証券アナリスト第2次レベル試験合格。2015年、大前研一氏が主宰するBOND-BBTプログラムにてMBA取得。

不動産株下落の決定的な要因

まず、不動産株が現在売られている最も大きな理由は、マクロ的な要因、つまり日本の「利上げ」にあります。
これまで日本の10年国債利回りは長く0%付近に張り付いていましたが、足元では2.5%という水準まで上昇してきています。
不動産というのは、個人も企業も「借金をして買う」ことが前提のビジネスですから、金利の上昇はマイナス要因となります。

個人レベルで見れば、住宅ローンの金利が上がれば「今は買うのをやめておこうかな」という人が増え、需要が減退します。
企業レベルで見れば、不動産会社自体が多額の負債を抱えて物件を仕入れているため、金利が上がることで利息負担が増え、利益が削られてしまうのです。
さらに複合的な要因として、金利が上がると不動産取引自体が停滞し、将来的には物件価格そのものが下がるのではないかという警戒感が、株価を押し下げているのです。

賃貸と分譲の違い

不動産会社のビジネスは、大きく「賃貸」と「分譲(販売)」の2つに分かれます。

賃貸は自社でビルやマンションを持ち続け、毎月家賃を得る、いわば「大家さん」のモデルです。
これは収益が非常に安定しており、運営さえしっかりしていれば継続的に現金が入ってきますが、急激な成長は望めません。

一方の分譲は、土地を仕入れて建物を建て、付加価値をつけて売却するモデルです。
マンション分譲などがその代表例です。
これは仕入れる土地さえあればどんどん事業を拡大できるため成長性が高いのですが、一方で景気や金利、原材料費の影響をダイレクトに受けるため、安定感には欠けるという側面があります。

この2つのビジネスをどのような比率で持っているかが、各社の特徴を決める大きな要素となります。

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出典:各社決算説明資料・有価証券報告書

<三菱地所:圧倒的な「丸の内の大家さん」としての盤石な基盤>

三菱地所の最大の特徴は、何と言っても「丸の内の大家さん」としての圧倒的な地位にあります。
同社は丸の内に非常に多くのオフィスビルを保有しており、そこから得られる賃料収入が極めて強固な収益の柱となっています。

セグメント別の利益を見ても、丸の内事業だけで約975億円もの利益を上げており、これは全国で展開する他の商業施設や物流施設、ホテルの利益を合算した「コマーシャル不動産事業」の総額に匹敵するほどです。
非常に限られたエリアでありながら、これほど高い利益を、しかも売却益抜きでコンスタントに上げ続けているのが三菱地所の凄みです。
他にもマンション分譲や海外事業も展開していますが、基本的には賃貸による安定収益が大きな比重を占めている、守りに強い会社と言えます。

<三井不動産:積極開発で業界を牽引する成長意欲の塊>

三井不動産は、賃貸と分譲のバランスが非常に取れており、なおかつ成長意欲が極めて高い会社です。
オフィスビルの賃貸はもちろん、ららぽーとやアウトレットといった商業施設の運営、そして国内の住宅分譲など、幅広い分野でトップクラスのシェアを持っています。

近年では東京ドームを買収するなど、既存の枠にとらわれない投資も積極的に行っています。
同社は非常に高い利益目標を掲げ、そこに向かって次々と新しい開発案件を立ち上げていくという攻めの姿勢が特徴です。
三菱地所がじっくりと資産を守る「守護者」であるならば、三井不動産は自ら市場を切り拓いていく「開拓者」というイメージがふさわしいでしょう。

<住友不動産:利益を追求し「値引きをしない」老練な経営哲学>

住友不動産は、4社の中でも特にユニークで、老練な経営戦略を持つ会社です。
同社は「自分たちは大家さんとしての賃料収入を経営の根幹に据える」と明確に宣言しており、分譲や販売のように景気に左右されやすいビジネスには重きを置きすぎない姿勢を貫いています。

驚くべきは、マンション分譲における独自の販売方針です。
通常、建物が完成しても売れ残っていれば値下げをして早く売ろうとするのが一般的ですが、住友不動産は「売れないなら売れないで、そのまま置いておく。値段は下げない」という徹底したスタンスを取ってきました。
これが功を奏し、周辺のマンション価格が上がっていく中で、かつて安く建てた在庫が、今やより高値で売れるという「持っていたおかげで価値が上がった」状況を作り出しています。
目先の不利を追わず、長期的な利益を最大化するその手法は、非常に玄人好みの経営と言えます。

Next: ヒューリックは「異質」?不動産銘柄で長期投資家が注目すべきは…

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