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米国のインフレは本当に一時的か?ジャクソンホール会議を警戒すべき理由=久保田博幸

FRBはテーパリング実施に傾くか否か。その可能性が示唆される場として、今年8月に開催されるジャクソンホール会議に注目が集まっている。(『牛さん熊さんの本日の債券』久保田博幸)

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米国の卸売物価指数上昇は一時的か?今後も続くか?

米国の5月卸売物価指数が発表されたが、見方が分かれている。

米労働省が15日発表した5月の卸売物価指数(最終需要向け製品およびサービス、2009年11月=100、季節調整済み)は前年同月比で6.6%上昇し、10年11月以来10年6カ月ぶりの大きな伸びとなった。

20年5月は新型コロナウイルスの流行による経済活動の停滞で物価が下がったため、その比較で伸びが大きくなった。前年同月比は4月から0.4ポイント伸びた。

製品が1.5%上昇し全体を押し上げた。製品のうち、食品が2.6%、エネルギーが2.2%それぞれ上昇したほか、食品とエネルギーを除いたコアも1.1%と大きく上昇した。

出典:5月の米卸売物価、前年比6.6%上昇 10年半ぶりの伸び – 日本経済新聞(2021年6月16日配信)

これが一時的なものかどうかは、見方は分かれている。

いや、一時的に大きくなったことは誰もが認めるところであろうが、6月以降も比較的高い水準で推移するとの見方と、それほど高い水準ではなく、むしろ物価の上昇幅は大きく縮小するとの見方に分かれているのだ。

FRBは物価上昇は一時的との認識を前面に出してはいるものの、それなりにテーパリングの可能性もFOMC参加者が示すなど、物価の上昇基調を嫌ってというよりは、正常化を睨んだ動きとなっている。

ただし、バーナンキショックとかテーパータントラムと呼ばれた市場への影響を極力抑えようと気を使っているようにも思われるのである。

パウエルは、バーナンキと同じ轍を踏むことを恐れている

2013年5月、FRBの当時のバーナンキ議長がテーパリングを示唆したことにより、金融市場に予想以上の動揺が起きてしまった。これをバーナンキショックとかテーパータントラムと呼んでいる。

パウエル議長は、できればパウエルショックとかテーパータントラムの再来は避けたいと思われる。だからこそ議長本人からの示唆はいまのところ封じられた格好となっている。

しかし、市場では4月・5月の物価の大きな上昇をみて、FRBのテーパリングはありうるのではとの見方となりつつある。

米雇用統計で非農業雇用者数が予想を下回るなどしているものの、雇用環境がそれほど悪化しているわけではない。

このため、市場に示唆するタイミングを見計らっており、それには毎年8月末にジャクソンホールで行われる会議で行われるのではとの認識が強まっている。

では、なぜジャクソンホールなのか。

Next: 8月のジャクソンホール会議が転換点となる?

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