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米国のインフレは本当に一時的か?ジャクソンホール会議を警戒すべき理由=久保田博幸

8月のジャクソンホール会議が転換点となる?

米国ワイオミング州ジャクソンホールで開催されるカンザスシティ連銀主催のシンポジウムは、市場参加者にとって大きな注目材料となっている。今年は8月26日から28日にかけて対面で開催される予定となっている。

過去の歴史を見ても、カンザスシティ連銀主催のシンポジウムでは、主に金融政策に関わる興味深い出来事が多かった。

このシンポジウムは、ある程度マスコミ等から遮断されての意見交換の場もあるとみられている。これには著名学者などとともに、各国の中央銀行首脳が多数出席することで、金融関係者によるダボス会議のようなものとなっている。

ロシア危機とヘッジファンド危機に見舞われた1998年に、当時のグリーンスパンFRB議長がこのカンザスシティ連銀主催のシンポジウムの合間にFRB理事や地区連銀総裁とひそかに接触し、その後の利下げの流れをつくったとされる。

1999年には日銀の山口副総裁(当時)と、バーナンキ教授(当時)が、日本のバブルに対する日銀の金融政策の評価をめぐり、論争を行ったことでも知られる。

さらに2010年8月27日にはバーナンキ議長(当時)がQE2を示唆する講演をジャクソンホールで行った。このシンポジウムに出席していた白川日銀総裁(当時)は予定を1日に早めて急遽帰国し、8月30日の9時から臨時の金融政策決定会合を開催し、新型オペの拡充策を決定している。

ジャクソンホールでの発言が今後の金融政策の方向性を示唆することがあるのに対し、ここでの発言があまりに注目されるためもあって、本来なら出席してしかるべき人が今後の金融政策の方向性の言質を取られないようにするためなのか、出席しないことも多いとか。

2013年5月22日にバーナンキ議長(当時)の会見でテーパリングの意向が明らかとなったことで、この年9月のFOMCでテーパリング開始が決定されるのではないかとの観測が強まっていた。

しかし、この年のジャクソンホールにバーナンキ議長は異例とも言える欠席をしたのである。結局、テーパリングの開始を決定したのは9月ではなく12月となった。

果たして今年はどうなるのか。8月のジャクソンホールで行われるカンザスシティ連銀主催のシンポジウムが注目されている(その前に16日のFOMCも要注目か)。

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image by:Federal reserve at Wikimedia Commons [Public Domain], via Wikimedia Commons
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牛さん熊さんの本日の債券』2021年6月16日号より
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