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ビットコインにはなぜ「常識」が通用しないのか?暗号通貨投資の基本戦略=メダカ

にわかに盛り上がりを見せている「暗号通貨投資」ですが、FXや株とはかなり事情が異なります。今回は利確の是非、急落・急回復の理由などについて解説します。(『【確定版】メダカの仮想通貨・ビットコイン投資』メダカ)

※本記事は有料メルマガ『【確定版】メダカの仮想通貨・ビットコイン投資』2017年6月16日,19日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール:メダカ
横浜在住の会社員。学生時代から株や商品相場を追いかけ、最近は仮想通貨(暗号通貨)投資に重点を置いている。仮想通貨取引所「コインチェック」のチャットにときどき出没。国際情勢についても造詣が深い。

株やFXの常識が通用しない、ビットコイン特有の性質を理解する

「上がれば利確」が悪手になる

暗号通貨は株のように適正な水準を示す理論値が開発されていないので、利確をどの水準で行うべきか、判断がそもそも非常に難しいという現実があります。

結論から言うと、「上がれば利確」というスタイルは、ビギナーのうちはおすすめしません

でも「どうしても現金化したい」ということなら、価格が2倍になった銘柄があったら、その銘柄の3分の1以内を限度に利確してはどうでしょう。例えば、10万円で買ったコインが20万円分になったときに、6万円を利確すれば14万残るので、今後も振り出しに戻らずにさらに成長を期待できるわけです。

もし半分以上、あるいは全額利確してしまうと、後からさらに上昇したときに機会の損失がもったいないうえ、メンタル的にもダメージを受けます。もちろん利確の読みが当たり、もっと利確しておけば安く買い戻せたのに!ということは、わたし自身も何度も経験しています。

でも確率で考えると、上値を追う可能性の方が高いのが現在の相場です。

テクニカル分析は役に立たない

チャートを見たら判断できるだろ、という声があるかもしれません。

チャートはテクニカル分析ともよばれ、投資家の売買行動を経験則に基づいて理論化したものです。株やFXではこれを参考に売買する市場参加者が多いので、相場の値動きを予測するのに有効です。

しかし暗号通貨の場合はあまり役に立たないというのが、私の評価です。3週間で時価総額が2倍になるという最近の暗号通貨市場の環境では、投資家の心理よりも需給(資金の流入量)の影響が勝っているため、テクニカル分析のような株やFXの常識が通用しない事態になっていると考えています。参加者が急増しているとはいえ、株やFXに比べると圧倒的に投資家の人数が少ないことも、理論の通用しにくさの一因でしょう。

当たることもありますが、それは結果論にすぎません。かなり当たるということでなければ、予測の手段としては使えません。

話をまとめると、暗号通貨投資を長く続けるなら、当初投資した額を維持したうえで、現金が必要な場合にのみ最小限の利確をする方が残高は増えます。「利確をしなくてはいけない」という考えを持たない方が、効果があると思います。

うまくいった場合の儲けを最大化することを狙うより、利益は小さくなっても危険を避ける選択をする方が、3~5年という期間で見た場合に着実に資金を増やすことにつながるというのが、経験に基づく私の信念です。

Next: これがビットコイン相場ならではの「急落」と「全戻し」だ



これがビットコイン相場の「全戻し」だ

急落は月曜と木曜に2波にわたって起きました。震源となったビットコインの値動きを振り返りましょう。

ポロニエックス(アメリカ)

月曜の高値2977ドル→木曜の安値2012ドル(▼32.4%)

コインチェック(CC)

月曜の高値33万3170円→木曜の安値24万7001円(▼27.0%)

これ以外の取引所も若干の違いはありますが、おおむね3割の下落です。調整というより「ガラ」と呼ぶのがふさわしい大きな下げでした。

今回はどのコインも大きく下げましたが、原因は春先からくすぶっていたビットコイン分裂危機の再燃です。ビットコインの今後のデータ処理方法について技術的な方針の対立があり、イーサリアムとイーサリアム・クラシックのように2つのコインに分裂する可能性が出ています。

その懸念が高まった4月頃に退避資金が流れたオルトコインたちは、軒並み高騰しました。その後、分裂は回避できそうだという楽観的な空気が広がり、ビットコインにも資金が戻ってきていた中で、今週のガラを迎えたわけです。

今回は下げがだいぶきつかったうえ、問題が解決していないのでさすがに回復まで数週間はかかるだろうと予想し、ツイッターや仮想通貨取引所「コインチェック(CC)」のチャットでも、もう一段の下げに警戒するよう呼び掛けていました。

しかし週末の時点でビットコインは半値戻しを達成し、CCのコイン全体ではほぼガラの前の水準に戻っています。

初めての相場が暗号通貨という方は急落に青ざめた半面、戻りもこんなものかと逆にすんなり現実を受け入れるのかもしれませんが、相場を長くやっている人間ほど、この戻りに驚いているのではないでしょうか。

少なくとも私の記憶の引き出しには、こうした動きはありません。ガラ直後の半値戻しは珍しくないですが、3割も下げた直後の相場全体の完全戻り暗号通貨ならではの現象でしょう。

経済理論ではなく需給がすべて

暗号通貨には、投資の灯台役となるべき適正な価格を算出する経済理論が開発されていません。適正な理論値が存在しないというのは、株なら企業の財務状況、FXなら政策金利といった数字で捉えられる材料が暗号通貨投資には乏しいことを意味します。

このため相場は、資金がどのくらい流入(または流出)するかという需給を強く反映します。チャートを見る人もいますが、短期の変動予測にはある程度有効かもしれませんが、大きなトレンドを予想するのはなかなか困難です。

しかし売買の材料を求めたいのが投資家の心理。何を買うべきか、誰もが判断の手がかりを求めているわけです。

このため、今回のように大手のビットマイナーの声明やこれまでもたびたび波乱を起こしてきた中国政府をはじめ当局の政策判断など、外部環境の影響を株以上に敏感に受けやすい特性があるといえます。

今回はビットコインのハードフォーク(分裂)懸念の再燃で下落し、普通ならしばらく回復に時間がかかるところを、あまりに大きな資金の流入があるために、不安を残しながらも買い戻しや新規の買い需要に支えられ、相場は急反発したということだと思います。

Next: 「運命の8月1日」岐路に立つビットコイン相場の強弱材料



ビットコイン相場の強弱材料

気になるのは今後の相場です。当面の状況を整理しましょう。

マイナス材料:8月1日のビットのハードフォーク(HF)懸念
プラス材料:日本で7月から消費税非課税化。今夏よりSBIなど証券会社の暗号通貨取引への参入

<マイナス材料>

唯一にして最大のマイナス材料はHF懸念ですが、8月1日にビットコインがどうなるかはまだ結論がでていません。どうなるかについては、私は関係者に直接聞くことができないので、踏み込んだ見方はここではいたしません。

ただ確認しておきたいのは、ビットコインの影響力の低下です。去年までは暗号通貨の時価総額の9割を占める絶対的存在でしたが、今年に入って急速に低下し、いまや3割台にまで低下しているのが事実です。仮にハードフォークがあってもあくまでビットコインの問題であって、暗号通貨が消え去るような次元の話ではなく、一時的な価格の乱高下があるにせよ価格の問題に過ぎません
http://coinmarketcap.com/charts/

「価格が問題なんだよ(怒)」という声も聞こえてきそうですが、考えてみてください。ハードフォークを主張している中国の「ビットマイナー(Bitmain)」は、マイニングによって得られるビットコインが収入源です。それが暴落するような破壊的な主張を通した場合に、返り血を浴びるのは自分たちであることはわかっています。ビットコインの価値を保全したいという点では、彼らも一般投資家も利害は一致しています。

なので、ハードフォークになったとしても、壊滅的な事態になる可能性は心配しなくてよいと考えています。壊滅的ではなくても下がるのはイヤという方は、自分を信じて最善と考える行動をとりましょう。

<プラス材料>

続いてプラスの材料を見てみましょう。日本についていえば、需給面は今後も極めて旺盛な買い需要が予想されます。7月以降は法人が財テクの一環で株から暗号通貨に一部をシフトするところが出るでしょうし、SBI証券などが暗号通貨を扱えばケタ違いに多くの投資家の打診買いが入ると思います。

行き場を求める夏のボーナス資金もあるので、株よりも儲かることが伝われば、どっと暗号通貨に入ることが予想されます。日本の動きが世界の相場に影響するのかという疑問もあるかもしれません。

確かに今年の正月までは中国が世界の9割の売買を占めていましたが、中国政府の規制によって今や2割程度にまで低迷。代わって存在感を発揮しているのが、日本勢なのです。暗号通貨は取引所ごとに売買されていますが、影響力は世界に及びます。

例えばビットフライヤー(BF)で強い買いでコインが高騰して、取引所間の価格差が大きくなったとします。それに気づいた内外の投資家が値上がりを期待して自分の取引所で次々に買い注文を出すと、つられて値があがります。価格差が十分に大きい場合は別の取引所で同じコインを安く買ってBFで売る人も現れます。こうした動きによって、日本で価格が上がれば世界の相場をけん引することもあるのです。

運命の8月1日

現状では8月1日にビットコインは何らかの岐路に立つことになります。決まっていないからこそ不安心理が広がり、ちょっとしたことで過剰な反応が起きやすくなります。

したがって、この先はまた急落の場面が来ると思っておくべきです。逆に今回台風の目となった中国のビットマイナーがHFを避ける妥協案を提示する可能性もあります。そうなればビットコインは急騰するでしょう。

いずれにしても現物ならホールドで乗り越えられると考えています。考えがあって動くのは良いのですが、迷ったら中途半端なことをするよりも、ホールドを貫く方が良い結果につながると思います。

Next: 今が旬の暗号通貨投資に友人や知人を誘うべきか?



今が旬の暗号通貨投資に友人や知人を誘うべきか?

現在、暗号通貨投資で多くの方が利益を出していると思います。投資が上手くいくのは誰だって嬉しいもの。そうすると友人に教えたくなるかもしれません。決して自慢ではなく、耳寄りな情報として。

わかります、私も同じような経験がありますから。でもちょっとほろ苦い思いをしました。

それは暗号通貨ではなくでしたが、株をやっている親しい友人に私の推奨銘柄を話したところ大当たり。喜んだ友人はまた聞いてくれました。私も友人のために見返りなど当然求めずに別の銘柄を紹介し、またうまくいきました。そんなことが何度か続いたあとで、紹介した銘柄が下落してしまいました。私は挽回しようと思ってその友人のために銘柄研究を真剣に行い、自信をもって新たな銘柄を紹介しましたが、あろうことか買って間もなく急落してしまい最終的に2人で話をして損切りする羽目になりました。

善意で紹介しても儲けて当たり前なので見返りはなく下落すれば気まずい思いをしかねません。幸いその友人とは今も付き合っていますが、株の話はあまりしなくなりました。私が暗号通貨をやっていることは話しましたが、変動が大きいことも真っ先に伝え、やりたくなったらいつでも聞いてと言って、それ以上誘うことはしませんでした。

暗号通貨も株と同様です。むしろ株以上に変動が大きいし、いつガラに見舞われるかわかりません。私の暗号通貨仲間が会社の同僚に話したところ、その同僚はCCでデイトレのように取引にのめり込み、手数料に気をつけるように注意しようとした時点で取り返しのつかないほど資金を減らしてしまっていたそうです。

いかがでしょうか? 詐欺コインが話題になってるこの時期、「仮想通貨は簡単に儲かるから絶対やるべき、俺もやってるよ!」なんて友人や同僚を誘うところをドラマのシーンだと思って想像してください。ね、まるでマルチの勧誘でしょ?(笑) お前大丈夫か?と心配されるならマシな方です。陰で「あいつはマルチを始めたぞ」と噂が広まったらどうしますか? あなたは信用を落とし、友人までも失いかねません

リスクを避けて手堅く増やすのが私のモットーですが、無用なリスクを避けるのは人間関係にも言えることだと思います。

大切な人だからどうしても伝えたい…もしそう思う気持ちが抑えられないなら、食事でもご馳走してあげましょう。それで怒る人はいません。気前の良いあなたに「なんで?」と聞くことでしょう。その時に「投資で少し余裕ができたからいつも世話になってるし」などと説明し、相手が興味を示せば話せばよいと思います。

ポイントは「あくまで相手が興味を示したら」という受け身の姿勢です。ここを間違うと「食事をエサに勧誘してくる危ないやつ」という噂が広がりかねません。用心しましょう。
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【第8号】6月18日号

★暗号通貨投資の基本 急落と急回復を検証する
★実験・分散投資(始めて1か月の収支:第2ラウンド開始!)
★メダカのひとりごと 友人を誘うべきか?

【第7号】6月11日号

★暗号通貨投資の基本 利確の是非
★実験・分散投資(始めて1か月の収支:第1ラウンド終了!)
★アメリカの取引所(Polo)を使ってみよう!(後編)

【第6号】6月4日号

★アメリカの取引所(Polo)を使ってみよう!(前編)
★実験・分散投資(始めて3週間の収支)
★メダカのひとりごと 分散放置は大いに利がある

【第5号】5月28日号

★暗号通貨投資の基本 急落をどう乗り切るか
★実験・分散投資(始めて3週間の収支)
★読者からのお便り:投入資金が2割減、このままで大丈夫?

【第4号】5月21日号

★シリーズ・暗号通貨投資の基本 怪しいコインにご用心
★実験・分散投資(始めて2週間の収支)
★読者からのお便り:ウォレットに暗号通貨を移動するとどうなるの?

【第3号】5月14日号

★今週の暗号通貨(仮想通貨)相場 1ビット=93万円で売れました!?
★実験・分散投資(始めて1週間の収支)
★暗号通貨投資の基本 コストについて

【第2号】5月7日号

★今週の暗号通貨(仮想通貨)相場
★実験・分散投資 (開始)

【第1号】4月30日号

★ごあいさつ
★仮想通貨の投資方法
★実験・分散投資
★初めての仮想通貨投資 どこで買うの?


※本記事は有料メルマガ『【確定版】メダカの仮想通貨・ビットコイン投資』にて加筆して配信予定の2017年6月16日,19日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会に当月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。

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【確定版】メダカの仮想通貨・ビットコイン投資』(2017年6月16日,19日号)より一部抜粋
※太字はMONEY VOICE編集部による

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