12月に行われるプーチン会談が成功すれば、来年1月に総選挙をやるであろう。失敗すれば、12月か1月の総選挙はない。(山崎和邦 週報『投機の流儀』(罫線・資料付))
解散総選挙の可能性は五分五分。日露首脳会談の落とし所は?
WIN-WINの関係を国民に見せたい、安倍首相とプーチン
安倍首相は首相就任以来、プーチンと14回会っている。これほど多くロシアの大統領と会った首相は未だかつていない。もちろん、北方領土四島は無理としても、二島返還を実現させるためである。
シベリアには、ロシア人は600万人強しか住んでいない。面積に比べれば極めて人口の少ないエリアではあるが、資源が豊富にあることが知られていて、その開発のためにプーチンは日本の技術を望んでいる。
プーチンは日本の技術を望み、日本はプーチンから北方領土の二島を取り戻したいということで、ロシアも日本も、お互いの国民に対してWIN-WINの関係があったことを見せなければならない。この見せかけこそ、プーチンや安倍首相の落とし所である。
12月に行われるプーチン会談が成功すれば、来年1月に総選挙をやるであろう。失敗すれば、12月か1月の総選挙はないであろう。これこそ、安倍首相一人の専管事項である。
日本は戦後70年で47回、選挙をやった。こんなに多く選挙をやっている国は他にない。米35回、仏29回、英19回、独18回。選挙が多いと、落ち着いた政策ができない。内閣が70年間で47回替わるというのは、企業の取締役メンバーが毎年替わっているに等しい。吉田・佐藤栄作・中曽根・小泉、この4人以外は1~2年で交替してきた。1~2年で交替したならば、企業の経営もできない。まして、国の政策も立てられない。
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可能性は五分五分。安倍首相「決断の条件」とは?
1月解散風の発端は、自民党が例年1月に開催している党大会を3月に延期したことから始まる。そして、この12月で衆議院議員任期のちょうど半分が終わる。
また、ロシアのプーチン大統領が日本に来て、安倍首相との首脳会談に臨む。北方領土四島のうちの二島だけ返還に応じ、残りの二島はまた「期限を決めずに前向きに考える」という結論ならば、大成功と見て良いと安倍首相は考えるし、国民も一応納得する。
二島でも返還されれば、漁船が領海を侵犯してロシアに拿捕されることもなくなる。海に線が引いてあるわけでもない、塀ができているのでもない。漁船が迂闊に領海に入ることも十分あり得る。二島でも返還されれば、領海侵犯での拿捕はなくなる。
また、江戸時代松前藩の時代から出張所があったことが明確であって、元々日本の領土だった北方四島を旧ソ連が実効支配してしまったことが明らかであるものに対して、「面積はわずかであっても人口がわずかであっても、小さな二島であっても、それを取り戻すことに成功した、残りの二島は追々前向きに考える」ということで手を打てば、これで一応の成功と見る。
そうすると必ず、12月か1月総選挙はあるであろう。
ここで問題なのは、これらの動きが安倍政権にとって「有利」という判断になるのか否かということである。つまり、ひとつの難点は「何を争点にするか」である。そうした点を考えれば、1月解散の可能性はまず五分五分未満であろう。
蓮舫代表の率いる民進党は、総選挙に向けた準備が全く整っていないであろう。ひょっとしたら党代表が更迭されかねない問題も孕んでいる。共産党などとの野党共闘も全く進んでいない。そうした事情を考えれば、そして12月プーチン会談の成功を考えれば、無理をしてでも12月か1月に総選挙という判断もあり得る。
従って、やはり五分五分というところか。
『山崎和邦 週報「投機の流儀(罫線・資料付)」』(2016年10月24日号)より一部抜粋
※太字はMONEY VOICE編集部による
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