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理論株価レンジ上限は1万8198円、日経平均は当面上向きも予断禁物(11/14)=日暮昭

当マガジンは日経平均の妥当な水準として統計的処理で求めた理論株価をもとに、足元の相場の位置づけを評価する材料を提供するものです。原則として日経平均と理論株価の位置関係を示すグラフと表に若干のコメントを合せて毎週1回配信いたします。皆様のより良い投資成果のための一助にして頂ければ幸いです。
※「理論株価」についてはこちらをご覧ください。(『投資の視点』日暮昭)

プロフィール:日暮昭(ひぐらしあきら)
日本経済新聞社でデータベースに基づく証券分析サービスの開発に従事。ポートフォリオ分析システム、各種の日経株価指数、年金評価サービスの開発を担当。インテリジェント・インフォメーション・サービス代表。統計を用いた客観的な投資判断のための市場・銘柄分析を得意とする。

日経平均株価、11/11大引け時点の理論株価は1万7412円に

不透明感強まる中、ニュートラル位置に戻った日経平均の今後は

11月8日の米国大統領選挙は、大方の予想を覆してトランプ候補が勝利したことによって株式相場は急落、11月9日の日経平均は919円の下落となりました。しかし、翌10日には1,092円と大幅に反発、9日の下落分をあっさり取り戻しました。トランプ・ショックは目先収まったかに見えます。

下図は日経平均が理論株価に接近した8月から直近の11月11日までの日経平均と理論株価、そして通常変動の上側と下側を示したグラフです。紫色の縦線は急落した11月9日を示します。当日の日経平均は1万6,251円、警戒領域に入る通常変動下側の1万5,908円にあと300円まで接近しましたが翌日の急反発で理論株価に戻りました。

日経平均、理論株価と通常変動の上側、下側
2016.8.1~2016.11.11

この乱高下の後は小動きとなり直近の11月11日の日経平均、理論株価と各指標の値は以下の通りです。

選挙後の乱高下はトランプ・ショックを利用した一時の“稼ぎ場”の出現と見られないこともなさそうですが、いずれにしても市場はファンダメンタルズに沿った株価に復帰し、ニュートラルの立場を固めたと言えます。

しかし、先行きの不透明さが高まったことは事実で、この位置からの動きは改めて今後の業績と為替の動向次第ということで予断は禁物です。

足元、為替は円安方向に動き、日経新聞の調査では2017年3月期の通期業績は純利益が7%程度の増益見通しということで当面、日経平均は上向きの力が働きそうです。その際、通常変動の上側の1万8,198円がメドとなります。

半面、今後、トランプ大統領として孤立主義的な政策を実施する現実味が増せば相場は下落に向かうでしょう。その場合のメドは通常変動の下側の1万6,401円なります。

中立の位置に戻ったことによって、上下どちらへも傾く可能性があることを改めて認識することが肝要です。

Next: 詳細グラフ:理論株価の推移/変動範囲の上限・下限/直近5日かい離率



<グラフと数表>
グラフ1:「日経平均と理論株価の推移」
グラフ2:「日経平均と変動範囲の上限・下限―拡大グラフ」
数表:「直近5日間の日経平均と変動の範囲・かい離率」

日経平均と理論株価の推移
2015年1月5日~直近期

日経平均と変動範囲の上限・下限─拡大グラフ
2016年1月6日~直近期

直近5日間の日経平均と変動の範囲・かい離率
5日前~直近期

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投資の視点』(2016年11月14日号)より

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