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業績相場からバブルへ。2017年の日本はついにデフレ不況から抜け出す=児島康孝

金融相場があって、今年の初めから調整があり、ようやく明確に踊場を抜けそうな展開です。ドル円をみますと、今年6月が当面の底になっています。(『ニューヨーク1本勝負、きょうのニュースはコレ!』児島康孝)

調整は2017年秋頃か。ただし今回は調整が小さくなる可能性も

業績相場への移行期

6月からこれまでは、非常にわかりにくい動きでしたが、週足とか月足で見ますと、反転・上昇傾向が確認できます。ドル円は、次のようなパターンが考えられます。

米国の金利は、今後の数年で、5%ぐらいへの上昇を段階的に進めていくでしょう。もともと米国の金利は5%ぐらいが普通ですから、ようやくトランプ大統領をきっかけにして上昇しそうです。

【関連】「トランプ大統領」効果。為替相場は中期的なドル高に向かっている=児島康孝

バブルへ移行の模様

日本の銀行は、中小企業や個人への貸し出しを増やさずに、不動産融資に走り始めています。これは、典型的なバブルの特徴です。いつか来た道で、不動産を担保に大きな金額を融資する方法ですが、これは実は危険です。

小口の中小企業向け融資や個人向け融資の方が失敗の穴は小さいのですが、どうしても不動産担保に安心してしまうのでしょう。不動産は、良い時はよいのですが、反転した場合に流動性がなくなる(=値段が下落した場合、真空状態となり、値がつかなくなる)特徴があります。もっとも、不動産への融資は波及効果がありますから、じわじわ実体経済も上向くでしょう。

バブルの不動産融資といっても、日本ではまだ始まったばかりなので、すぐに崩壊することはないでしょう。中国では、都心部の不動産が驚異的に暴騰して、すでにバブルの領域です。

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気になる調整サイクルは2017年秋にやってくる

調整のサイクルは、新しい大統領の就任後1年ぐらいに起きやすいです。ですから、通常は2017年秋ごろとなります。新しい大統領への期待と現実が、冷静に見られるためです。ただし、今回は調整が小さくなる可能性も考えられます。

その理由の1つは、アメリカの産油国化。アメリカは、さながら「サウジアラビア」へと変化しています。石油が自国で調達できて、輸出余力もあるかもしれないというのですから、この力は実は大きいです。

2つめは、超長期のコンドラチェフサイクルの大底からの上昇。これまで「ステルス大恐慌」であったわけですが、これが反転する時期に入っています。つまり、これまでの時代は好況は短く不況は深刻化しやすかったわけですが、突然にこれが逆になり、好況は絶好調で不況は軽いということが起きます。

メインシナリオは…

日銀のオペレーションが景気を良くする方法に変化しているので、日本もようやくデフレ不況から抜け出すことになるでしょう。トランプ大統領という「外圧」頼みではあるのですが…。

新聞報道で、長期金利の上昇は「悪く」、長期金利を下げるのは「良い」ように報じられることがありますが、金利を下げるべきは「短期金利」です。インフレ期待があれば、長期金利は高くてあたり前です(長期金利も低ければ、デフレや不況を意味します)。

日銀のオペレーションは、短期金利を下げる方法に変化していますから、「金融機関(貸し渋り)」「人材派遣会社(人材えり好み)」「内部留保(巨額資金が眠る)」という、景気回復を遅らせている3大要因はあるものの、今後、短期金利の低め誘導の効果は出てくるでしょう。

ちなみに、アメリカの景気回復がいつも早いのは、

こうした要因のためです。

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ニューヨーク1本勝負、きょうのニュースはコレ!』(2016年11月19日号)より一部抜粋
※太字はMONEY VOICE編集部による

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