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意外な安全地帯!? 台風・風水害に強い「○○エリア」で家を買おう=姫野秀喜

台風や水害などの報道を見ると、いつ自分の家が災害に遭うか、大家としても他人事ではありません。そこで、災害に強い地域はどこなのかを調査しました。(『1億円大家さん姫ちゃん☆不動産ノウハウ』姫野秀喜)

プロフィール:姫野秀喜(ひめの ひでき)
姫屋不動産コンサルティング(株)代表。1978年生まれ、福岡市出身。九州大学経済学部卒。アクセンチュア(株)で売上3,000億円超え企業の会計・経営計画策定などコンサルティングに従事。合間の不動産投資で資産1億円を達成し独立。年間100件以上行う現地調査の情報と高い問題解決力で、顧客ごとに戦略策定から実行までを一貫してサポートしている。

日本で災害に強い地域は? 過去45年間の雨量・風速データで分析

東京は災害に遭いにくい?

先月は九州の朝倉や日田での水害が、テレビで多く報道されていました。

友人も住んでいる地域なので気になりましたし、また大家として、いつ自分のアパートやマンションが水害に遭遇するかと思うと、報道される水害は他人事には思えません。

日本の一部地域で大雨が降る一方、東京ではとても暑い夏日が続きました。それでふと、東京って災害に遭遇しにくいエリアなのかな?と思いました。

東京に越してきて10年以上が経ちますが、東北の震災以外、台風など大きな災害に見舞われることはありません。台風が上陸するとの予報が出ても、台風の進路が太平洋側か内陸側にはずれて、東京直撃を避けるルートになることが多いです。

これって、たんなる偶然なのかなと不思議に思いましたので、全国の気象について調べてみました。

【地域別】45年分の気象データ:降水量

少し古いのですが、統計局の気象データを気象官署がある場所毎に「1961年~2005年」の45年分の時系列データを見ました。

気象官署は、下記の21箇所です。

稚内、根室、札幌、函館、秋田、仙台、新潟、福島、長野、東京、金沢、静岡、名古屋、大阪、潮岬(和歌山)、松江、広島、松山、高知、福岡、長崎、鹿児島

<全国の年間降水量(東京以南)>

まずは、全国の年間降水量を見てみます。北の方は雨ではなく雪となるので、東京より南のデータのみです。

45年間で毎年の年間降水量が上位10%に入った回数を見ると、潮岬(和歌山)、金沢、高知、鹿児島が2桁となっています。

東京:0
金沢:23
静岡:8
名古屋:0
大阪:0
潮岬(和歌山):27
松江:2
広島:0
松山:0
高知:18
福岡:0
長崎:1
鹿児島:11

<最大降水量(1日)>

次に1日の最大降水量を見ます。こちらも、45年間でその年の上位10%に入った回数を見ます。1日の最大降水量が多い地域は、高知、潮岬(和歌山)、静岡の順になります。

東京:4
金沢:2
静岡:14
名古屋:2
大阪:0
潮岬(和歌山):18
松江:2
広島:0
松山:2
高知:24
福岡:2
長崎:9
鹿児島:8

このことから類推すると、金沢は年間降水量が多いが、最大降水量は他の地域に比べ多くないので、比較的、穏やかな雨が降るエリアとなります。

それに対し、静岡は年間降水量は他エリアと比して多くないにもかかわらず、1日あたりに降る雨量が多い傾向にあります。つまり、大雨などの一時的な水量の増加が起きやすい地域と言えそうです。

Next: 台風の被害が多い地域は? そして判明した意外な安全地帯



【地域別】45年分の気象データ:風速

<最大風速>

最後に、風の強さについても見てみます。こちらも同様に45年の間、その年の上位10%に入った回数を調べました。

こちらは北海道から鹿児島までのデータを見ます。結果は、鹿児島、稚内、潮岬(和歌山)、広島の順になります。

稚内:12
根室:9
札幌:0
函館:1
秋田:9
仙台:3
新潟:5
福島:0
長野:0
東京:1
金沢:4
静岡:0
名古屋:0
大阪:2
潮岬(和歌山):11
松江:5
広島:11
松山:0
高知:3
福岡:3
長崎:0
鹿児島:13

東京、名古屋、大阪、広島、福岡の5都市について、これまでの3つの指標を並べると以下のようになります。3つの数値が小さければ、より安定した気候といえます。

都市(年間雨, 最大雨, 最大風)
——-
東京(0, 4, 1)
名古屋(0, 2, 0)
大阪(0, 0, 2)
広島(0, 0, 11)
福岡(0, 2, 3)

特筆すべきは、大阪の優秀さでしょうか。45年間で他のエリアよりも気象が荒れた回数は、最大風速で上位に入った2回のみです。さすが秀吉が選んだ立地なだけはあります。

そして、名古屋もとても優秀なエリアです。

東京は大雨が4回ですが、大風は1回です。

その点、東名阪よりも下位に位置づけられる都市である広島福岡は、やや見劣りする結果となりました。

ところで、この評価方法で各都市をみたところ、非常に優秀な都市を1つ発見しました。それは、松江です。

松江(0, 2, 0)

人口自体は世田谷区よりも少ない島根県ですが、気候風土は良さそうなので、建物が災害に遭いにくい可能性があります。

結論:東名阪エリアは災害が起きにくい(はず)

観測メッシュが荒いことや類推が荒いことは承知のうえで結論づけると、東名阪など人口増加エリアは、他エリアに比べて気象が荒れにくい傾向といえます。つまり、東名阪に不動産を持つということは、そのほかのエリアに持つよりも自然災害を受けにくいということになります。

よって、人口増加の面だけではなく、災害対策(遭遇確率を減らす)という意味でも、東名阪の都心のエリアに投資するというのは正解だと思います。

ただし、島根(松江)は特異点的に大風や大雨が起きにくい地域と言えます。出雲大社からは車で40キロくらいの距離ですので、やはり八百万の神々の恩恵があるのでしょうか。

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1億円大家さん姫ちゃん☆不動産ノウハウ』(2017年7月11日号)より一部抜粋
※太字はMONEY VOICE編集部による

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