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その差は2億円!? 今どき「都立高校」の侮れないコストパフォーマンス=山本潤

この15年ほど、都立高校から難関大学への現役合格数がずっと増加傾向にあります。都立高校復権の実態について、我が家の教育論を交えながら解説します。(『億の近道』山本潤)

「受験に不利」は昔の話。都立高校復活の実態と我が家の教育論

都立高校の復権

来年、うちの三男が高校受験をします。第1志望は都立高校です。

公立子育て」を標榜する我が家には喜ばしいことですが、この15年ほど、都立高校から難関大学への現役合格数がずっと増加傾向にあります。都立高校の復権です!

それで、なのかなぁ。公立中学校がどんどん見直されています。

都立高校改革の始まった2003年と2017年との大学合格実績を比較しました。都立といえば、私立に比べて受験に不利で浪人が多いイメージでしたが、その印象は変わりつつあります。塾にいかなくてもよい、面倒見のよい都立が増えたからです。

学費について、中高私立+小中高学習塾(中学受験塾SAPIXや大学受験塾の鉄緑会)に行くケースと、都立で塾ナシとのケースを比較します。

小学校の通塾合計:100万円以上の差(うちの子はゼロ)
中学校と高校の通塾:250万円以上の差(都立は塾がいらない高校が急増しています)
私立と公立の学費の差:250万円(うちの子は公立で学費ゼロが基本)

などで、600万円以上の差になります。それで浪人して、私立大学にいけば、さらに300万円以上の負担増になります。

ちなみに、600万円を13%の年率複利で30年間運用すれば、およそ2億円の資産になります。老後の安心、介護の費用、親自身の自己投資などに、そのお金を回してもらいたいですね。

公立中学校から都立高校を経由して、誰でも難関大学へいける時代になったのです。

都立高校の実績

難関大学への合格実績の高い都立7高校「日比谷、戸山、八王子東、西、青山、立川、国立」の合格者の過去の推移を調べてみました。

平成13年度は、7校全体の東大現役合格者は27名でした。ちなみに、早慶上智の現役合格者は436名です。

平成29年度は、7校全体の東大現役合格者は65名と、2.4倍に増加しました。早慶上智への現役合格者は817名で、こちらは1.9倍となりました。

個別に見ると、それぞれの東大合格者は下記です。
日比谷高校:33名
西高校:14名
戸山高校:5名
国立高校:6名
青山高校:6名

さらに、気になる高校は以下の通りです。

新宿高校:2003年の国公立現役合格者が6名だったのが、2017年には95名に増加
国際高校:今年現役で早慶上智に84名合格(海外大学に54名が合格)
小山台高校:東大現役合格者を出し、国公立大学の現役合格者92名(早慶上智39名)
小石川高校:公立中高一貫校の躍進で、東大現役合格者11名(早慶上智77名)

うちの次男は都立高校の3年生ですが、いまも学園祭の準備で大わらわ。クタクタで帰宅。それでも深夜まで勉強しています。時間管理術は忙しいから身につくし、勉強への渇望は時間がないから湧き出てくるのです。

都立高校は、部活も3年生の夏休みまでありますし、秋の文化祭は3年生が主役です。そのため、現役合格ではなく、浪人するのが当たり前の雰囲気がこれまではあったのです。

一方、私学は中学校のうちから先取りで学習、高校2年で部活引退文化祭も高校2年生までという「受験モード」を都立高に比べて3年も早くとり、受験に備えるのです。そのため、私立は現役合格する比率が高いですし、付属の場合はエスカレーターで大学受験そのものがありません

なんだよそれ。どう考えても、あまりにも子供を甘やかしすぎです。子供を甘やかすと、ロクなことはありませんぜ。可愛い子には旅をさせろ、獅子の子落としですね。

次男の都立高校では、入学式に「塾には頼むから行かせないでくれ」と入学式で先生からきつくいわれました。学校行事と部活で塾に行くヒマはないです。勉強は生徒同士が教えあいます。そして、夏休みは先生方が特別講習を組んでくれます。ひとつの問題集をボロボロになるまで何度もやります。

Next: うちの教育方針~都立高校への進学で考えるべきこと



都立高校への進学で考えなければならないこと

公立中学から都立高校への進学には、内申書の点数高校入試試験の2本立ての作戦が必要です。内申書は、定期テストと提出物の内容でほぼ決まります。普段の提出物をしっかり出すことです。

肝心なのは、定期テストです。テストは真剣に受けること。できれば2週間前から勉強を開始、9割以上の得点を目指してもらいたいのです。「8割では恥ずかしい、9割以上を取れ」と伝えるのです。伝えるだけです。「9割以上を取りたいなら応援するよ」と伝えます。

我が家は、中学校では、クラス学級委員になること、部活ではキャプテンを務めること、内申書はまあ普通に「オール5」が望ましいと伝えます。

「オール5が望ましい」と伝えるだけで、やれと命令するわけではないのです。できなくても、伝えることが重要。目標は高く。子供を甘やかしてはいけません。

甘やかさないことの中で、学力をつけるために、絶対に妥協できないことがあります。それは、英単語漢字です。

大学受験をするのだから、中学校のうちから単語帳はすべて覚えること。隙間時間には単語のひとつでも覚えなければ、時間がもったいないと伝えます。伝えるだけです。「単語を覚えるなら応援するよ」と伝えます。

覚え方については、お兄ちゃんたちから教わります。見て覚えてもいい。書いて覚えてもいい。それぞれにやり方はあるのです。教科書全部、隅から隅まで暗記すべきだと伝えます。「暗記するつもりなら応援するよ」と伝えるのです。

常に「応援している」と伝え続けること

本日、紹介した都立高校は、うまく活用すれば塾は不要です。最近の塾、東進ハイスクールなどは、成績がよい生徒には無料で講座に招待しますので、本日紹介した高校の生徒たちの最上位層は無料で塾に通っています。都立高校に進学した後も最上位層に位置することで、民間の塾の費用が不要になる場合があります。

大学に進学した後も、GPA(Grade Point Average)が重要です。大学院に進学するときに高いGPAが必要ですからね。遊ぶヒマはありません。大学に入ってからは「オール優」でなければ、海外留学には選ばれない。国費留学生にはなれないと伝えます。伝えるだけです。「オール優を取るつもりなら応援するよ」と伝えます。

成績上位層は、大学の学費も免除になるケースがあります。優秀な学生は奨学金がもらえます。

受験をする際には、ギリギリで受かるのではなく、上位で受かればかっこいいと伝えます。伝えるだけです。上位で受かると楽だよ。「上位合格したいなら応援するよ」と伝えます。

大学受験も同様です。ギリギリで受かるのではなくて、圧倒的な学力を持って、最上位層で受かるようにと伝えます。伝えるだけです。「満点で受かるためにはどうしたらいいのかなぁ、満点を取る気があるなら応援するよ」と伝えます。「本気でやればできるはずだよ」と伝えます。

受験も試験も資格も、受かることを目標にするのではなくて、何割で受かるか。「かっこいいのは満点(1番)で受かることだよ」と伝えます。伝えるだけです。「満点とったらすごいぞ。満点とるつもりなら、応援するよ」と伝えます。

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ハードルは高く! 子は崖から落としましょう。可愛い子には旅をさせましょう。我が子には、厳しい受験を経験させましょう。満点を課しましょう。

そのためには、「中学校のうちから大学受験に通用する語彙をつけるべきである」と伝えます。伝えるだけです。「応援するよ」と伝えるのです。

(P.S.)長男と次男が小学生のころ、2人だけを飛行機に乗せて3泊の旅をさせました。親は一緒にいきません。2人だけで山陰地方に行き、海でダイビング。命の危険もあったようです。元気で帰ってきた。たくましくなって帰ってきました。

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億の近道』(2017年8月31日号)より一部抜粋
※太字はMONEY VOICE編集部による

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