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資産運用のビッグウェーブ「個人型確定拠出年金(iDeCo)」メリットまとめ=hiroki

法改正によって今年1月から20歳以上60歳未満のほぼ全員が加入可能となった「個人型確定拠出年金(iDeCo)」。無料メルマガ『年金アドバイザーが教える!楽しく学ぶ公的年金講座』では、著者で年金アドバイザーのhirokiさんが、法改正で変わった点と、この個人型確定拠出年金とは何か、そのメリットなど、初めて読む方にもわかりやすく解説します。

1月から現役世代のほぼ全員に適用拡大、iDeCoのメリットまとめ

老後資金を増やしながら節税もできる、個人型確定拠出年金(iDeCo)

今年1月から個人型確定拠出年金がほぼ全員加入可能になりました。今までは公務員や第3号被保険者の専業主婦(主夫)は加入不可だったんです。最近はこの個人型確定拠出年金にiDeCo(イデコ)って愛称がついちゃったりして親しみを持ってもらおうという動きもありました。確定拠出年金はよく、DCと呼ばれます。

国民年金が1階部分、厚生年金が2階部分にあるので確定拠出年金は3階部分の年金に位置するものと言えます。

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さて、確定拠出年金は何かというと、簡単に言ったら老後の為に資金を積み立てるものです。積み立てながら、自分が選んだ金融商品で運用しつつ老後の資金を自分で増やしていくんです。

確定拠出年金は最近できたものではなく、もう平成13年10月からある年金制度です。割と昔からあるんですよ(^^;; でも、個人型確定拠出年金は15年間も経つのに未だ27万人程度の利用者数(企業型は580万人くらい)。あんまり知られていなかったからですね。あと、投資が絡むから何となく敬遠されていたのかもしれません。自分で金融商品を運用しなければいけないですから

で、金融機関としても普通に投資信託を売るよりも利益にならないからあんまり確定拠出年金を知らせる事に力を入れてなかったようですしね。まあ、確定拠出年金は積み立てではありますが、単なる積み立てじゃないんです。特に税金の面で凄くお得なものなんですね。

厚生年金や国民年金がなかなか上がりにくくなる今は、やれるならやっていて損は無いものでしょう。ただ、老後の為の資金なので60歳まで引き出すことは不可と考えていたほうがいいですね。急に資金が必要になっても引き出せないということ。

個人型確定拠出年金(iDeCo)は、自営業のように国民年金第1号被保険者は月の掛金限度が6万8,000円(年81万6,000円)、1月から専業主婦(主夫)のように国民年金第3号被保険者は月の掛金限度2万3,000円(年間27万6,000円)、公務員は月の掛金限度額1万2,000円(年間14万4,000円)、掛金は5,000円以上1,000円単位です。

また、今までは企業が確定拠出年金を導入していたり、何らかの企業年金(企業が確定拠出年金を導入しているが他に確定給付年金とか厚生年金基金みたいな企業年金)を導入していたら個人型確定拠出年金に加入する事は出来ませんでした。

しかし、今月から会社が規約で定めていれば、企業型確定拠出年金を導入しているだけの企業であれば最大で月の掛金2万円で個人型確定拠出年金に加入出来て、企業型確定拠出年金だけでなく他の企業年金を導入している会社であれば最大月の掛金1万2,000円まで個人型確定拠出年金に加入できるようになります。

企業型の確定拠出年金は会社が掛金を払ってくれるから、個人的に所得税や住民税を安くすることは出来なかったけれど、個人型確定拠出年金で自ら掛金を支払えるようになると、所得税や住民税を下げることができるのです。

Next: こんなにある! 個人型確定拠出年金のメリット



こんなにある! 個人型確定拠出年金のメリット

さて、個人型確定拠出年金(iDeCo)に加入して掛金を支払うと普通の積み立てと違ってどうメリットがあるのか。

まず支払った掛金が全額所得控除(小規模企業共済等掛金控除)に使えます。結構、このことがいろんな所で強調されますが、国民年金保険料や厚生年金保険料も全額所得控除(社会保険料控除)に使えてますよ(笑)。まあ、普通の年金保険料を支払った場合の節税効果と同じってことですね~。

例えば、40歳の自営業の人(配偶者控除の対象の配偶者あり)が掛金5万円(年間60万円)を積み立てしていて売上1,000万だったらどうなるか。

必要経費600万、基礎控除38万円、配偶者控除38万円、社会保険料控除90万円としてみます。

売上1,000万で確定拠出年金の掛金を払ってなかったら、

1,000万円-必要経費600万-基礎控除38万-配偶者控除38万円-社会保険料控除90万=234万円(課税所得)

ア. 234万×10%-9万7,500円=13万6,500円の所得税
※注意:この記事では復興特別所得税(所得税の2.1%)は除いています。

イ. 住民税は基礎控除額とかちょっと異なりますが、10%取られるとして23万4,000円。税金総額37万500円。

じゃあ確定拠出年金の掛金60万円を所得控除に加えたらどうなるか。

ウ. 234万-60万=174万(課税所得)
174万×10%-9万7,500円=7万6,500円(所得税)

エ. 住民税17万4,000円。税金総額250,500円。

税金が12万円安くなりました。つまり12万円戻ってくるわけですね。単純に個人型確定拠出年金の掛金60万円×20%=12万円節税になるってこと。コレって、運用益を出せなくても、税金が戻る事で20%の運用益出したのと同じ効果。しかし、税金が戻るという面では、1月から加入可能になる専業主婦(主夫)はあまりメリットが無いかもしれません。

次に積み立てた掛金の運用時。普通は金融商品で運用益を出したら20%は税金で持って行かれちゃうんですが、確定拠出年金を増やす為に使う金融商品で利益を出しても税金が全く掛かりません。だから複利効果が高い。

ただ、投資信託で運用している場合は信託報酬という手数料が保有している間ずっとかかるので注意(商品によって手数料率はバラバラ)。まあ普通に投信を買うより確定拠出年金に使う投信の信託報酬はかなり安め。

そして、確定拠出年金用の投資信託には原則として販売手数料はかからない(普通に投信買う時は2~3%くらい取られますが)。直接、投信を買うわけじゃないから。だけど、売却する時は信託財産留保額というのが0.3%くらいかかる場合もあります。

また当然の事なんですが、投資信託はリスク商品なので元本割れリスクがある。でもリスクを取らないと、リターンもあんまり無いわけで…。

Next: 受け取りもお得な確定拠出年金



そして、最後に確定拠出年金を受け取る時もまたお得。普通は年金として受け取りますが、一時金としても受け取れます。一時金として受け取ったら、退職所得控除が使えて凄く税金が安くなります

例えば、自営業の人が60歳まで30年間で1,800万円の確定拠出年金を貯めた場合、退職所得控除が800万円+70万×(30年-20年)=1,500万円

(1,800万円-退職所得控除1,500万円)÷2=150万円(退職所得)

150万円×5%=7万5,000円(所得税)
150万円×10%=15万円(住民税)

年金として受け取るなら、公的年金等控除というのが使える。公的年金以外に収入は無いものとします。

例えば60歳から確定拠出年金が年間90万円で、老齢厚生年金50万円の合計140万円貰うなら公的年金等控除額最低70万円(65歳以上なら120万円)が使える。この場合は収入が140万円だから、公的年金等控除額は140万円×25%+37万5,000円=72万5,000円。

140万円-公的年金等控除額72万5,000円=67万5,000円

基礎控除が38万円あるし、他に配偶者控除38万円とか社会保険料控除使って67万5,000円から引いたりすると税金は0円になる。ただし、確定拠出年金を年金として受け取る場合は年金振込のたびに毎回432円の手数料がかかる。だからあんまり、受け取り回数増やさないほうがいいかも。

また、個人型確定拠出年金に加入する際は、初回に国民年金基金連合会への手数料として2,777円が引かれます。そして、国民年金基金連合会に毎月の口座管理料月額103円、毎月の事務委託先金融機関手数料(資産を預かってる信託銀行とかに払う手数料)に月額64円支払う必要があります(どこの金融機関で個人型確定拠出年金をやっても同じ)。

つまり、年間{(103円×12ヶ月)+(64円×12ヶ月)}=(1,236円+768円)=2,004円の手数料が毎年かかる

そして重要なのは加入する金融機関(運営管理機関)への手数料がバラバラなので、自分の好きな金融商品があって手数料が安い金融機関を探すといいですね。年間2,000円~8,000円くらいと幅がある。それなりにまとまった残高があるという条件付きで手数料が無料という運営管理機関もある。

※個人型確定拠出年金を扱ってる運営管理機関を探すならこちらのサイトで探してみてください(国民年金基金連合会)。

個人型確定拠出年金

にしても、扱ってる所が201社くらいあるので、下記のイデコナビってサイトで手数料を調べるのもオススメ。

個人型確定拠出年金ナビHP(イデコナビ)

細々とした手数料はありますが、節税効果が高いので、運用益がなかなかうまくいかなかったとしても税金が戻ってきたりするのでプラスのほうが大きいでしょうね…。

なお、確定拠出年金の受け取りは基本的には60歳からですが、加入歴が10年未満だと加入期間により61~65歳に繰り下げられてしまう。ちなみに70歳まで貰わないで運用をやり続けることは可能掛金支払いは60歳以降は不可)。年金として貰っている間も積立資金を運用し続けることは可能。

大体5~20年の有期年金で受け取る。終身年金の場合もある。しかし、全額を一時金として貰わないのであれば、年金資金として保有している間は口座管理料とかさっきの年金振込手数料432円がかかってくるのでご留意ください。

なお、70歳以降になっても受け取らない場合は強制的に一時金支払いとなります。

※追記

個人型確定拠出年金(iDeCo)の掛金は自分の口座から毎月掛金支払う、または、会社の給与天引きです。会社が給与天引きしないなら、自分の口座から引き落とし。

なお、国民年金保険料を未納にしてたり免除してると加入出来ません。加入中に未納とか免除にしてしまうと掛金を支払えず、一旦後で遡って掛金を支払うことも出来ません。それに国民年金保険料みたいに1年分まとめて掛金支払う前納はありません。

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年金アドバイザーが教える!楽しく学ぶ公的年金講座』(2016年12月28日号)より一部抜粋
※太字はMONEY VOICE編集部による

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