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【9月米雇用統計】合言葉は「ハリケーンのせい」ドル円に押し目買い好機到来か=ゆきママ

今回の雇用統計のテーマはハリケーンの影響ということになります。読み解くのが難しい分、そこにチャンスがありそうですから、しっかりと展望について考えていこうと思います。(『ゆきママのブログでは書けないFXレポート(無料板)』『お値段以上!?ゆきママの「週刊為替予測レポート」(有料板)』FXトレーダー/ブロガー・ゆきママ)

方向性はロング(買い)、想定レンジは1ドル=112円~114円

ネガティブとは限らない!ハリケーンの真の影響とは?

8月の終わりから9月の初旬にかけて、アメリカは非常に大型のハリケーン「ハービー」「イルマ」に襲われました。被害総額は2,000億ドル(22兆円)を優に越えるとされ、影響が懸念されています。

なんと非農業部門雇用者数の予想の中央値は+8.0万人と、前回(8月分)の+15.6万人から大幅な減少が見込まれています。むしろマイナスになるのではといったエコノミストもいますから、念のため警戒しておいた方は良いでしょう。

とはいっても、悪ければ悪いでハリケーンの影響として処理されそうです。流石にマイナス、前月から減少ということになると、市場の衝撃もそれなりにあるでしょう。ですが、そういった極端な数字でなければ、失業率も完全雇用水準ですから、初動はともかくとして、市場が額面通りに受け取るということは無いように思います。

また、ハリケーンがネガティブな影響ばかりとも限りません。今回(9月分)は平均時給(賃金上昇率)が前月比+0.3%、前年同月比+2.5%と予想されていますが、レスキューや看護師、医師などといった比較的高給な人々がハリケーンの影響で労働時間が大幅に伸びたことによって、賃金が押し上げられるのではといった指摘もあります。

最近はとにかくインフレが重視されていますが、先週のイエレンFRB議長の講演が強気だったため、12月利上げへといった機運は一段と高まっており、注目度もさらにアップしていますから、ハリケーンのポジティブな影響にも期待しつつ、数字が出るのを待ちたいところです。

ISMは好調でも失業保険申請者は増加

それでは、先行指標を確認していきましょう。やはり目につくのはISMの好調さ。これはISM(供給管理協会)が購買担当役員へのアンケートを元に出している数字ですが、9月の総合指数は製造業が13年ぶり、非製造業が12年ぶりという高水準でした。当然、雇用指数も非常に高い数字となっています。

先行指標の結果(数値はいずれも速報値)と雇用統計の事前予想値

企業は、雇用に対してかなりポジティブになっているんでしょうね。ハリケーンの復興需要などを含め、かなりの財政出動があるのは間違いありませんから、それを見越してということもありそうです。

その一方で、新規失業保険申請件数は久々にかなり増加しており、ここにもハリケーンの影響が見て取れます。この辺は温度感の差というか、実態との格差があるのかもしれません。

いずれにせよ、失業者が増えたことは明らかですし、民間のADP雇用報告でも前月と比べて伸びが大きく低下していますから、こと雇用者という点においてはあまり強気になれないという点には留意しておきたいところでしょう。

Next: ドル円投資戦略:最強の言い訳「ハリケーンのせい」で下値は底堅い



上値も重いが、とりあえず狙いは押し目買い!

気になるドル円のトレード戦略ですが、ゆきママはズバリ「押し目買い」を狙っています。ドル円の日足チャートを見ると上値も重たい感じがしますが、一方で下値も底堅い状況です。仮に悪い数字が出てもハリケーンの影響と一応は言い訳の余地もありますから、方向性としてはとりあえずロング(買い)で見ておきたいところ。

ドル円の日足チャート

上値のポイントは113.00~113.20円でしょう。今週、先週と止められており、113円台での重さを感じさせます。しかしながら、ここをあっさりブレイクすれば7月の高値となった114.49円が見えてきますから、特に賃金上昇率が予想を上回って抜けそうなら、ポジションを少し持つか、もともと持っているのであればホールドし、もう一段の上昇を期待したいところでしょう。

下値については、目先は一目均衡表の転換線のある112.38円近辺がポイントとなっています。雇用統計前にこの水準に近づいていればチャンスかと思いますので、軽くエントリーしても良いと思います。

さらに、この下111.93円近辺にある200日移動平均線は、112.00円の節目とともに大事なポイントですから、ポジションを持っていて短期のデイトレ前提なら、ここを割り込んだら一旦損切りを検討しておきましょう。

また、仮に非農業部門雇用者数が予想を下回る、あるいはマイナスになるといった悪い数字が出て、ポジションを保有していない際は初動の動きを狙って、この112.00円近辺からチャレンジするのもありでしょう。この場合、一目均衡表の雲・上限のある111.37円辺りが損切りラインとなります。ただし、雇用者数に加えて平均時給も予想を下回ってしまったパターンなら、一旦様子見して底を確認するのが無難です。

Next: 想定レンジは1ドル=112~114円、ただし米国株動向には要注意



想定レンジは1ドル=112.00円~114.00円

想定レンジとしては、今日は1ドル=112.00円~114.00円と見ています。本校執筆時点で1ドル=112.80円台にあるため、ここからポジションを事前に持つのは少し高すぎる感もあるので控えたいですが、今回のメインシナリオは雇用者数は弱めでも賃金上昇率は予想並みかそれ以上との想定ですので、112.50円前後なら軽くポジションを持って発表を待つのも悪くはないかなと考えています。

いずれにせよ、雇用者数、賃金上昇率ともに予想を下回るといったことでもなければ、下落トレンド開始といった流れにはならなそうなので、基本的にはロングを念頭に置いてトレード戦略を練っていくのがベターかと思います。

一点だけ注意するとすれば、米国株NYダウの値動きでしょうか。昨日、VIX(恐怖指数)が過去最低を更新したとのことで、相変わらず市場心理は強気のままです。これが崩れてくるようであれば、ドル円も警戒しなければありませんが、そうでなければ底が支えられることになるでしょう。

今回はこんな感じで! 少し関係のない話になりますが、月末が忙しいことからプレミアムフライデーを月初にやることを検討しているとの話がありますから、今後は忙しいサラリーマンの方にとっても十分準備して雇用統計に望めそうですので、頑張ってやっていきましょう!

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本記事は『マネーボイス』のための書き下ろしです(2017年10月6日)
※太字はMONEY VOICE編集部による

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