昨年チキンぶりを発揮したイエレンFRB議長が、年明けからえらく利上げに積極的になっています。株式市場で「暴落の引き金」を引いてしまう可能性が高まってきました。(『今市太郎の戦略的FX投資』今市太郎)
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危険な利上げ。酉年の株価はいつ大幅下落しても不思議ではない
年明けから利上げに積極的なイエレン議長
19日午前5時、サンフランシスコで講演を行ったFRBイエレン議長は、米国経済がFRBの2つの責務目標達成に近づいたとして、他のメンバーと同様に「年2~3回の利上げ」を予想していることを明らかにしました。それを受けてドル円は大きく上昇し、久々に115円台手前まで値を上げることとなりました。
2016年は「年間4回の利上げ」などと言いながら結局できたのは1回足らず、しかも株価が下がると体調が悪化するといったチキンぶりを発揮したイエレン議長。しかし、市場のコンセンサスを武器にしたのか、年明けからはえらく利上げに積極的で、今回のスタンフォード大での講演でも利上げ姿勢を鮮明に打ち出しました。
債券金利も上昇していますし、NYダウの株価も2万ドルに接近するレベルですから、とにかく今年以降再利上げのボタンを押すつもりなのでしょう。果たしてここからの利上げに株式市場はついてこれるのかどうか、非常に疑問の残る状況になりつつあります。
イエレン議長自身も「中立的な金利に向けて動き始めるのを待ち過ぎれば、過度のインフレ、もしくは金融不安定、またはこの双方というリスクに将来的に見舞われる可能性がある」と述べています。こうしたシナリオの下では、FRBは急激な利上げを余儀なくされる可能性があります。そうなれば経済は新たなリセッションに陥る恐れがあること、イエレン議長自らが示唆しています。
まず利上げにネガティブに反応するのはNY株式市場
FRBの金融引き締めに対して、即座に耐え切れなくなるのは「米国の株式市場」のはずです。すでに2015年末から数えて次回で3回目の利上げとなるわけですが、この直後あたりから、株価が大きく下落するきっかけとなることが強く危惧されている状況です。足元では債券金利も上昇するが株価も高値を更新するという、きわめて異例な状況が展開されています。
ここからの利上げに株式が持ちこたえられるとは到底思えない状況で、イエレンの再利上げスイッチオンとともに、NYダウが大きく下落の道をたどるリスクはかなり高まることになりそうです。
問題は、それが今年の3月なのか6月なのかということになります。CMEのFedWatchを見ると6月の可能性が高いようで、そうなると夏場にNYダウがドスンと大幅下落に見舞われることになるのかも知れません。既に「リーマンショック」から8年を経過して9年目に突入しているわけですから、ここからはいつ米国株価が大幅下落しても不思議ではない状況です。
市場にあわせて毎年数回の利上げを想定しているFRBは、次回の1回でえらく大変な決断をしてしまったと後悔させられる状況に陥りそうです。ここからのイエレン議長の判断に大きな注目が集まります。
Next: 10年債金利3%超で市場大打撃/トランプ政権とFRBの親和性に疑問
新債券の帝王ガンドラックは10年債金利3%超で市場大打撃を予測
新債券の帝王の異名をもつダブルラインキャピタルのジェフリー・ガンドラックCIOは、トランプ次期政権下で見込まれる財政赤字増大やインフレ率上昇に伴い、米10年債利回りが近々に3%に上昇する可能性があると指摘しています。そして、その場合には市場に打撃を与えると予想しており、株式市場や住宅市場の一部側面に特に疑念を招き始めるだろうと指摘しています。
企業収益もこれまでは低金利に支えられてきた側面が大きく、金利の上昇は株価に確実に、かつ短時間に悪影響を及ぼすことは間違いないでしょう。イエレン議長がとんだ引き金を引いてしまう可能性がかなり高まってきているといえます。
トランプ政権とFRBの親和性に疑問
今回のイエレン講演の中身を見ていますと、トランプ政権の政策に対して、イエレン議長自らが大きな不安を感じていることは間違いないようです。利上げ政策だけでその不安部分を解消しようとしても、株式市場はFRBのコントロールを超えてしまう危険性が高まっていることをあらためて認識すべきです。
これまでの米国の好景気と株高は、FRB自体が演出してきた「中央銀行バブル」によるものです。ですから、それとは大きく異なるいわばパラダイムシフトとなる高金利政策への変化で、株価がこれまでどおり継続して上げを維持するとはとても思えない状況です。このあたりをイエレン議長自身がどこまでしっかり認識して利上げを行おうとしてるのか、非常に気になります。くれぐれも株価暴落のボタンを、FRBが自ら押さないことを祈るばかりです。
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『今市太郎の戦略的FX投資』(2017年1月20日号)より一部抜粋
※太字はMONEY VOICE編集部による
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