前回の記事では、『世の中を分ける普遍の法則』として「2対8の法則」や「3:10:60:27の法則」を紹介して、トップ3%の人は常に明確な目標を持ち、それをノートに書いて段階的に実行していたということをお話しました。
【前回記事】「資産1億円」の正体。なぜ富裕層と呼ばれる人たちは意志が強いのか?=山田健彦
全体の60%+27%の人は、自分に対して自信がないので、何かに自分を変えてもらおうと考えていろいろな商材に飛びつくタイプ。ただ向き合う態度ができてないので中々自分は変わりません。
その他、自分で自分の脳を洗脳しよう、マインドセットが大事ということもお伝えしました。大きなお金を稼ぎ、それをコントロールするためには、それなりの精神状態を確立しておかないとすぐにお金は逃げていってしまいます。では「成功するためのマインドセットとは一体何か?」というところで終わったわけですが、今回は「成功」について考えていきます。(『資産1億円への道』山田健彦)
闇雲に追い求める前に…あなたにとっての「成功」とは何ですか?
金銭的な成功だけじゃつまらない
いろいろな成功哲学のセミナーやプログラムでは、「金銭的な成功」が唯一の成功のように宣伝し、理解されています。しかし、よくよく中身を見てみると、成功とは金銭的なものだけではありません。
筆者は成功哲学のプログラムやセミナーに、今まで600万円くらい投資しています。プログラムを買うときやセミナーに行く度に、家内から呆れた顔をされていました。なぜそれだけのお金をつぎ込んでいたのかというと、筆者の自分自身に対する自尊心というか、セルフイメージが低かったからだと思います。前回お話した『3:10:60:27の法則』でいうと、自分は27%の「何をしても上手くいかず、常に世の中に対する不平、不満を抱えている層」に属しているんだろうなとずっと思っていましたし、また、今でも時々そう思うことがあるからだと思います。
このことを人に話すと、「それは本来の自分の理想像がすごく高いところにあって、それと比べると現在の自分は…と考えてしまうからだよ。理想を高く掲げるのは決して悪いことではない」などと妙に慰められていまいますが、いずれにしても成功哲学を学んで、このプログラムに自分を変えてもらおうという甘えがあったのだと思います。
一つのプログラムを買って、しばらく時間が経って、それでも変わらない自分を見つけて、また別のプログラムを買ったり、セミナーに出たり。プログラム販売会社にとっては、良いお得意さんになっていたようです。
まあ、それでも「昔に比べると、だいぶ精神的に成長したわよね」と時々ではありますが、家内に言われ、そこそこの成果はあったのかな、とも思います…。前置きが長くなりましたが、「成功とは何か」に戻ります。
Next: 成功哲学あるある。「スケジュール手帳」を使った目標設定の落とし穴とは?
「ビジネス」と「プライベート」の2面だけでは足りない
日頃、スケジュール手帳を使っている方も多いかと思います。手帳の中には、「○つの習慣」という本に基づいた「○○○○○○プランナー」なんていう自己実現を謳った手帳もありますが、中を見てみるとビジネス中心に使うよう編集されていて、「今月の目標」というページも「ビジネス面の目標」と「プライベート面の目標」の2項目に分かれているだけです。
この手帳、筆者は長年使っていて毎年リフィルを買っていましたが、今ひとつ使い方がしっくり来ず、昨年で使うのをやめました。ふとしたきっかけで、目標設定のページがビジネス面とプライベート面という切り口のみだったのがしっくり来なかった原因だと気づきました。目標設定は、もっと細かくなければ、何を書いてよいかわからないのです。
目標設定はできるだけ詳細に、具体的に
ある成功哲学プログラムの目標設定は、「個人目標」と「ビジネス目標」に分けて、さらに以下のような詳細な目標を設定しなさいと書かれています。
1. 個人目標
1.1 健康面の目標
1.2 社会生活面の目標
1.3 教養面の目標
1.4 精神面の目標
1.5 経済面の目標
1.6 家庭生活面の目標
2. ビジネス面の目標
2.1 私の個人生産性目標
2.2 全体的なビジネス目標
2.3 私の成功の追跡
2.4 マネジメントツール
2.5 ビジネス面で達成した目標
それぞれの項目に数十個に渡る質問が並んでいて、それに Yes, No で答えていくと、自分がどのような面で優れていて、どのような面が劣っているのか、そしてそれらに対して「自分はどうするのか」を問いかけてきます。
例えば、「健康」面の質問では、
- 過去一年の間に全身の健康診断を受けたか?
- 過去8ヶ月の間に歯の検診を受けたか?
- 過去1年の間に視力検査を受けたか?
- 定期的な健康診断計画があるか?
等々の質問が並び、それぞれYes, Noで答えるようになっています。その結果に対して、自分自身で「これで良いのだと考えていれば○」、「改善すべきだと考えていればX」をつけます。
別のプログラムでは、
- 仕事
- 家庭
- 健康
- 経済
- 人間関係
というテーマで成功の分野を定義しています。
また別のプログラムでは
- 自分
- 家族
- 周囲の人との関係
- 学ぶこと
- 社会との関わり、社会貢献
- 社交
- レジャー
- 体の健康
- 心の健康
- 財政
の各項目に分けて、自分にとっての成功を記述するようなプログラムになっています。
やはり成功を金銭的なもので捉えてはいないことがわかります。
Next: あなたが目標を達成するプロセスは、ジグソーパズルに似ている!
目標達成とジグソーパズルの類似点
とある成功哲学のプログラムでは、人生における「成功」を、自分の目標を達成すること、それも人生の各分野ごとに目標を達成することと定義しています。各分野とは、下記の項目です。
- 健康面
- 社会生活面
- 教養面
- 精神面
- 経済面
- 家庭生活面
それぞれの分野ごとにサンプルとして幾つかの質問事項を掲げますので、Yes, Noで答えてみてください。次にその質問に対して、自分自身の評価を加えます。Yes(No)と答えたものに、「それで良いのだ」と評価するなら○、「それでは良くない」と考えるならX、という具合です。Xを付けた部分については、何がしかの修正行動が必要ということになります。
では、質問項目のサンプルです。
健康面の質問
- 身体の健康は私にとって極めて大切か?
- 私の習慣は健康生活にふさわしいか?
- 現在の健康状態は良好か?
- 現時点で医者の診察を受ける必要はあるか?
社会生活面の質問
- 友人の輪は広いか?
- 友人の輪はいくつかあるか?
- 社会生活の異なった分野で異なった友人のグループはあるか?
- 仕事を離れて趣味を同じくする友人はいるか?
教養面の質問
- 読書、観劇、芸術鑑賞よりも、社交的な会合、野外でのつきあい、テレビなどに費やす時間のほうが多いか?
- 歴史、伝記、その他ノンフィクションよりも小説を読むことのほうが多いか?
- 自分の教養を高めるために時間を確保しているか?
精神面の質問
- 他の人々の幸せに対して自分は、道義的または倫理的な責任があると思うか?
- そのような責任に地理的な境界はあるか?
- そのよう責任に国境はあるか?
そのような責任に人種的な垣根はあるか?
経済面の質問
- 経済面の充実は自分にとって大切な目標となり得るか?
- 「お隣と見栄を張り合う」ことはあるか?
- 友達や同僚の家、車、服装を羨ましいと思うことがあるか?
- 私は、私の家族に与えている物質的な生活を誇りに思うか?
- 家族にもっと楽をさせようとして自分に無理を強いていることがあるか?
家庭生活面の質問
- 家族は私の人生にとって重要か?
- 私の行動は、それを示しているか?
- 私が家族と過ごす時間は量的に妥当か?
- 家族とともに過ごす時間は前もって計画しているか?
- 家族とともに過ごす時間を変えたいと思うか?
これらの質問に答えていきながら、自分自身の心の底に隠れている価値観や自分自身が本当にしたいことなどを明らかにして、目標設定をしていきます。
これらの目標の設定と達成は、ジグソーパズルを完成させるイメージです。一つの目標に対して、ジグソーパズルのピースは最低でも100あると思ってください。つまり、一つの目標を達成するためには少なくとも100のステップに分解して一つ一つ段階を追っていくということです。
ジグソーパズルは、最初はとても難しくて時間がかかりそうで、「こんなのできるかな?」と思ってしまいますが、やり始めると結構面白くてどんどん先に進んでいくということが多いと思います。目標達成もこんなイメージを持ってもらうと良いと思います。
ジグソーパズルのピースを一つ一つ埋めていくと、次にどこを埋めればよいのかがだんだん見えてきます。さらにジグソーパズルは何人かで取り組むと、より早く完成しますが、目標達成も同じ目標を持っている人と取り組んだほうが勢いがついて、早く達成できるようです。
Next: 大きな目標を達成したいなら、まず単年計画思考をやめよう
単年計画思考をやめよう
私たちはよく「今年の目標」「来年の目標」などを意識しますが、これらは基本的には単年思考です。資産1億円達成に限りませんが、大きな目標を立てる場合は、単年思考を捨てなければいけません。
例えば「今から5年後に資産1億円を達成する」という長期計画を立てたとします。これがジグソーパズルの完成図になるのですが、完成に向けては、「では、今年は何をするか」「来年はどうするか」を考えて、それぞれの段階でどのピースが必要かを考えながら計画を練るのが目標達成のコツです。
この考え方を持っているかどうかで、結果に向けてのモチベーションに何倍もの差が出てきます。他の人生分野ともバランスを取れる計画表を作って段階的に実行するのが、筆者の経験では良い結果が出ています。
『資産1億円への道』(2016年12月14日,28日号)より一部抜粋
※太字はMONEY VOICE編集部による
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資産が1億円あるとゆとりある生活が可能と言われていますが、その1億円を目指す方法を株式投資を中心に考えていきます。株式投資以外の不動産投資や発行者が参加したセミナー等で有益な情報と思われるものを随時レポートしていきます。